第二十五話 音速のシルルVS光速の弥生 〜謎の戦い〜
第二十五話目です!
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「あ、あれ? お姉様。結界って目に見えないんでしょうか? それに、普通に通れるみたいですけど?」
シルルは腕を結界に通しながらそう言った。
「ああ、シルル。あなたが音速でジグザグに移動したことによって発生した風圧によって、人間界と魔界を隔離する為の結界がぶっ壊れてしまったわ」
「「えええええええええ!!!!」」
大正とシルルは声を揃えて驚き、叫ぶ。
「シルルちゃんのステータスの「素早さ」を見てみたいが、結界って風圧でぶっ壊れる程もろいものなのか!?」
「違うわよ? シルルの作り出した風圧が異常だったのよ。しかも只の風圧ではなく、切れ味のある風圧よ。きっと結界は粉々に切り刻まれてしまったのね……」
大正はとにかく驚くが、弥生は常に冷静だ。
「……でもこのままではマズいわね。きっと人間界と魔界の空気や魔力が混ざったり、魔族と人間が自由にお互いの国を行き来したり出来るようになってしまう……世界は滅茶苦茶に……でもそれはそれで面白いかも……」
『弥生! 面倒なことになる前に結界直せ! 汝の能力なら容易い筈だ』
弥生が結界は別に直さなくても良いかも? と思っているところ、結界を直すよう頼んできたのは、弥生をこの世界に転生させた神、紅雨神だ。
「誰だ?」
「こ、この方は!!」
「あ、神様じゃないですか。なんか喋り方変わった?」
大正は紅雨神のことを全く知らないが、シルルは一度対面し、能力も紅雨神から授かったのだ。紅雨神のことは相当慕っている。
対して弥生は、自分自身、神に匹敵する程の力を持っているからか、軽い感じだ。
「まあ神様の頼みなら仕方ないですね。『結界よ直れ!』」
すぅううううううう!!! と言う音を立てながら結界が修復していく。
「ついでに、あんなもろかったらまたすぐ壊れそうだから強化もしておくわね。ところで神様はいきなりどうしたんですか?」
『ああ、汝が結界をほったらかしにしたら数年後に世界滅亡しておったところだ。我は面倒だったが、仕方なく直すよう汝に伝えたのだよ』
「やっぱり面白そうだから壊そうかなぁ」
『やめろ!!』
弥生はこの世界の創造神であり、もっとも信仰されている皆の憧れの神と対等に話しているのだ。会話を聞いている大正は紅雨神のことを知らないので、取り合えず凄いと思っているが、シルルは口を開けたまま動かなくなってしまっている。
「あ、紅雨神さまと、対等に……お、おおお姉様、凄すぎますぅー!!」
「な、なんか私、神様と会話するだけで超人扱いされているのですが?」
『これ以上はマズいな、弥生よ。一先ず今日はここまでにしよう。テレパシーでいつでも呼べるから会話したくなったら我を呼ぶが良い! ではさらばだ』
そういって二人の会話は終了した。しかし弥生は気付いてしまった。
――あの神様、友達居ないのかな?
シルルが落ち着いたあと、結界を潜り、魔界へ入っていく。シルルが落ち着いたのは、弥生と紅雨神の会話が終了してから三十分後だった。
「すみません。私のせいで時間を無駄にしてしまって……」
「大丈夫よ。『時よ戻れ!』ほらこれで三十分前に戻ったわよ?」
「え?」
「知ってたことではあるが、弥生さんやっぱなんでもありだな」
シルルが自分のせいで三十分無駄にしてしまったと落ち込んでいたので、励ます代わりに弥生は時を三十分戻した。
結果、励ますというより、再び驚くことに……
「そういえば弥生さん」
「ん?」
「俺たちってどうやって結界通ったんだ?」
大正が素朴な疑問を弥生に聞く。
「ああ、本来結界っていうのは破壊しないと入れないんだけど、破壊したらまた直すの面倒だから結界を通るふりをしてテレポートしてたのよ」
「それなら初めから瞬間移動でここまでくれば……」
「なに言ってんのよ! それだと面白味がないじゃない? それに、もしテレポートで魔王城までひとっとびしてたら明治くんと夜を過ごすことだって無かったよの♡」
そんなことを言われれば、大正は興奮するだけだ。因みに瞬間移動とテレポートは言い方が異なるだけで、同じ技だ。
「い、行きますよお二人とも!!」
弥生と大正のやり取りに嫉妬したのか、シルルは若干膨れた顔ですたすたと早歩きで先に行ってしまう。
「ちょ、し、シルル!」
「待ってくれよシルルちゃん!」
二人は必死に追いかけるが、シルルは二人に追いつかれないようにどんどん速度をあげていく。
「はぁ、はぁ。もう駄目だ! あとは頼んだ弥生さん!!」
「分かったわ! 犠牲になった明治くんの分まで頑張るわ!」
音速の持ち主であるシルルの速度に、大正は付いていけなくなってしまい、バテた。流石に時速三百キロを一時間耐久は、普通の勇者には無理があったようだ。
周りの魔物や魔族たちは、シルルが発生させた風圧で飛ばされてたり、弥生とシルルから放たれる強力な魔力によって、本能的に避けたりしている。
「待ちなさいシルル!!」
「ふ! 今回ばかりは嫌です。お姉様!」
シルルが通ったことによって生じた風は「ビュッ!!」という恐ろしいほど早い感じの音を立てる。
遂にシルルの速度はさっき結界を破壊した時と同じ、時速二千キロにまで達した。
「くっ! こうなったら! 『光速!!』」
シュン!!
「え?」
光速、つまり光と同等の速度だ。あまりにも速すぎて瞬間移動のような音が鳴り、シルルが気付いた時には既に目の前に弥生が立ち塞がっていた。
「ここまでよシルル!」
「お、お姉様……すみません」
弥生が子供を叱る感じで注意すると、シルルは素直に謝る。こうなった原因は殆ど弥生にあるのだが、弥生はそんなことに気付きはしなかった。
そして、そうこうしている内に、いつの間にか弥生とシルルの足元に巨大な魔法陣が現れ、光り出す。
「な、なんですか!? これ」
「なっ! ま、まるで異世界召喚みたいな展開じゃない! ここ既に異世界なのに!」
――ああああああああ
特に意味は無いが、ああああ、と取り合えず二人は叫んでみる。
気が付くと、弥生とシルルは魔王城の食堂にいた。
「何処!?」「何が起こったんですか?」
流石の弥生も多少パニックになる程、訳の分からない状況だ。いきなり召喚され、気付いたら何処かの食堂にいたのだから。
二人はここが魔王城であることは知らない。ただ、何処かの食堂であるという認識だ。
「どうも。強制的に召喚してしまい申し訳ございません。私の名はカリミア・エクタシィ。お詫びと言ってはなんですが、一緒にお食事でも如何ですか? 魔王であるヱミリアお姉様が普段口にする超高級なお食事ですよ?」
to be continued...
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