第二十四話 しつこすぎるスカーレットドラゴン
第二十四話目です。スカーレットドラゴンは、何度も弥生にぶっ飛ばされても尚立ち向かって来る。単純に馬鹿なのか、それとも馬鹿ではないが異常にタフなのか。
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「あ、ああ。どどど、どうしましょう……お姉様が性獣(性欲の変態)となってしまった大正さんに、さらわれてしまいました! わ、私も……混ざりたいなぁ♡」
エントランスにいるシルルは、一人で欲情していた。
そして夜が明ける。
「コォオオケッコッコォオオオオオ!!!」
鶏の鳴く声が聞こえるが、鶏をそのまま巨大化したような魔物の鳴き声だ。
大正とそのまま一緒に同じベッドで寝てしまった弥生は、特に意味はないけど取り合えずエントランスに顔を出す。
「あ、シルル。おはよう」
弥生は偶然エントランスに居たシルルに明るく挨拶をする。
「あ、お姉様。おはようございます。昨晩は楽しかったですか?」
シルルも笑顔で挨拶を返すが、若干ゲス顔で大正とベッドでヤっていたことについて尋ねる。
「さあ? なんのことかしら? ちょっと外の空気を吸いに行って来るわね」
弥生は爽やかにはぐらかし、そのまま基地の外へ出ていく。
『待ってたよ縄文弥生ちゃん! 昨晩は邪魔しちゃ悪いかな? って思って今日来たよ!!』
外で弥生を待ち構えていたのはスカーレットドラゴンだ。どうやら懲りずにまた弥生に会いに来た様だ。
「帰りなさぁあああい!!!!!」
ドォゴォオオオオオオオオオオン!!!
前回はアッパーでスカーレットドラゴンを吹っ飛ばしたが、今度はハイキックで空の彼方へ吹っ飛ばした。
『うっはぁあああああああああ!!!!』
楽しそうな悲鳴をあげながらスカーレットドラゴンが飛んでいく。さてはドMだな?
「はあ、次会ったら殺した方がいいかしら? シルル、朝ごはん創造して?」
「はい、分かりました!」
三人はちゃっちゃと朝食を食べてしまい、再び魔王城を目指して歩き始める。
「ねえ、飛んでいいかしら?」
「は? 飛ぶって、空を飛ぶって意味か?」
唐突に弥生が空を飛んで良いかシルルと大正に尋ねる。大正は驚く、風魔法を使えば自分だって簡単に空を飛べることに気付かずに。哀れなDKだ。
「良いですね! 私は空飛べるようになる料理を創れば良いし、お姉様なら能力でどうとでもなるし、大正さんは勇者らしいので当然、風魔法で飛べますよね?」
「え? そうなの? 俺って飛べるの?」
「……知らなかったの? 馬鹿ね」
シルルが全員空を飛べるから良いんじゃないかと意見するが、大正は自分が空を飛ぶことが可能だとは思っていなく、普通に驚く。
空を飛べることを知らなかった大正に対し、弥生は容赦なく罵倒する。
「弥生さん酷くない?」
「!!!」
間違いない、つい昨日まで、大正は弥生のことを縄文さんと、そう呼んでいた。しかし今、彼は間違いなく弥生のことを、縄文さんではなく、弥生さんと言った。一体昨日の夜、ベッドの中で何があったのだろう? シルルは大正の「弥生さん」にぴくりと反応し、すぐさま餡麺麭を創造する。
「(この餡麺麭を食べると、過去を観ることが出来ます。「過去の餡麺麭」そう名付けましょう。これで昨晩、お姉様と大正さんがベッドの中でどんなプレイをして下の名前で呼ぶ程の仲になったのか、暴いてやります!)」
そしてシルルは過去を観た。因みに何故餡麺麭なのかと言うと、作者が適当に食べ物を考えていたところ、直感的に餡麺麭を思いついたからだ。
過去を観たシルルはショックを受けた。
「だって!! だってあの二人普通に愛し合ってたじゃない!!! そりゃあ名前で呼ぶようにもなるわよ!!!」
シルルは感情が高ぶったり、精神的にやられると、敬語が崩れる。どんな危機的状況になってしまってもシルルは基本的に敬語を保つことが出来る。弥生と大正が夜のベッドで愛し合っていたという事実を知るということは、きっとシルルにとって相当なダメージなのだろう。
「……明治くん。やっぱり、まだ慣れないわね、下の名前で呼ばれるの、呼ばれる度に興奮しちゃうわ。はぁ、はぁ」
「お姉様は大正さんのこと苗字で呼ぶのですか!?」
シルルがここまで感情的に突っ込んだのは人生で初めてのことだ。
「うん? だって恥ずかしいじゃない」
赤面しながら恥ずかしいと言った弥生を見たシルルと大正は、萌えた。
「「なにこの萌える生き物!」」
「可愛いすぎるだろ!!」「可愛いすぎます!!」
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三人が空を飛んで移動していると、前の方から赤い巨大な生物が接近してくる。
『縄文弥生ちょわぁああああああん!!! 会いに来たわよぉおおお!!!!』
スカーレットドラゴンだ。本人は弥生に会いに来たと言っているが、実質吹っ飛ばされに来たようなものだ。
「しつこいわね。なんか毎回口調可笑しくなってる気がするし」
『今度こそ飛ばされないわよ?』
スカーレットドラゴンとの物理的な距離は、どんどん縮まってくる。弥生たちは空中で静止しているが、流石はドラゴン。弥生たちが静止していても凄い勢いで近づいてくる。尚、シルルは飛行出来るようになる焼き鳥を創造して食べたので、静止出来ない。浮遊と飛行は違うのでシルルはずっと飛び続けなければならない。つまり、シルルはとまりたくても止まれない。一応止まること自体は可能だが、飛行しか出来ないシルルが止まるということは、陸に着陸するという意味になる。ここは上空千メートル程だ。一一着陸していたら面倒だ。ということでシルルは、スカーレットドラゴンとの面倒ごとが終わるまで、弥生の周りをぐるぐると飛行し続けている。時速三百キロで。
『そっちの娘はなにをしているのかしら?』
「隙あり!!! 帰りなさい! 『只の強風』!!」
ゴォッ!!!
『うっほぉおおおおお!!! なんか、癖になってきたわぁあああああ!!! 私マゾなの!? 目覚めちゃった? きゃああああああああ!!!』
物理的に吹っ飛ばすのも面倒になってきた弥生は、弥生の周りをぐるぐると回っているシルルに気をとられている隙を突き、風魔法でスカーレットドラゴンを遥か彼方へと吹っ飛ばした。
風魔法と言うが、もうこれは技とは言えないだろう。だって只の強風をスカーレットドラゴンに当てただけなのだから。上空でなにもないのと、弥生の魔力が膨大すぎたのが原因で、ちょっと風を起こすだけで風速三百メートルは出る。そして、ドラゴンの癖に、スカーレットドラゴンの体重は結構軽いのだ。
そして、吹っ飛ばされているというのに、スカーレットドラゴンは滅茶苦茶楽しそうだ。やはりドMか!
「よし! もう大丈夫よ。魔王城へ向かうわよ」
「ああ!」
「は、はい。疲れましたけど、頑張ります!」
シルルはずっと三百キロで弥生の周りをぐるぐる回っていたので、流石に疲れが出始める。弥生は能力で疲れることはないが、大正も少し疲れが出始めてきたので、途中何度か休憩を挟みながら魔王城へ向かう。休憩の度に魔物に襲われるが、全て返り討ちにした。三人共チーターを名乗れる程の実力の持ち主なのだから。
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「うぉりゃあ!!」
グシャア!!
休憩中、大正にオーガが襲い掛かってきたので叩き切る。何度も魔物を倒したから聖剣は血でべとべとだ。
「この血が白かったらなぁ……って! 何考えてんだ! とうとうそこまでの変態に成り下がっちまったのか? 俺。まあ取り合えず魔王城に着くまでに聖剣研いどかないとな!」
「あら? そのオーガの死体、見苦しいから消してあげる。それと、これが最後の休憩になると思うわ。魔族の国はもう間近なのよ。魔族の国に入ったら魔王城にはすぐ着くから聖剣は今のうちに問う研いでおきなさい?」
そう、いよいよ人間界の果てまで来てしまった。魔族の国、詰まり魔界はもう目と鼻の先だ。
ジョリ、ジョリ、ジョリ。大正が聖剣を研ぐ音だ。剣の切れ味を良くする魔法があるのだが、大正はそんな魔法があることを知らない。砥石を使って剣等の刃物を研ぐと言う行為は、魔法の使えない弱者、若しくは原始的な方法として扱われてしまうのだ。
「た、大正さん……今度色々魔法教えてあげましょう、可哀想です! 勇者さんなのに!」
大正が原始的な方法で聖剣を研いでいるのを見たシルルは、この世界の人間なので可哀想だと思ってしまう。因みに弥生も刃物の切れ味を良くする魔法があることは知らない。
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弥生たちは空を飛び、遂に魔界の入り口の上空まで到達した。
「遂に来たな」
「来ましたね」
「……降りるわよ」
弥生と大正は地上へ降り始める。だがここで問題が起きてしまう。
「あれ? シルル。降りないの?」
「な、まさか!」
弥生が上を見上げると、上空千メートルの地点でぐるぐると回っているシルルが居た。
そして大正には、シルルが何故降りてこれずにぐるぐる回っているのかが分かってしまう。
「そうか、もしかしたらシルルちゃんは真っ直ぐ降りられないんじゃないか? 飛行しか出来ないシルルちゃんにとって、真っ直ぐ地上に降りると言うのは墜落を意味するんだ。そして、目の前には巨大な結界がある。人間界と魔界は結界で区切られているのか……」
「そ、そうね。なるほど。シルル!! そのまま飛行能力を解除すれば良いわ! 私が受け止めるから!」
このままではシルルは地上に降りることが出来ない。結界のない左右や後ろを使って斜めに降下することは出来るが、何しろ上空千メートルだ。結構弥生たちと距離が離れてしまうし、時間が結構ロスしてしまう。弥生はともかく、大正は飛鳥を助けることに義務感を感じており、時間の無駄を許さない。
「ありがとうございます! でも大丈夫です。私ジグザグに降りればいいですから!」
「でもそれだと無駄に時間が掛かるわ」
シルルが笑顔で大丈夫だと宣言するが、弥生は時間の方を気にする。弥生は早く魔王と戦いたくてうずうずしているのだ。
「大丈夫です。速度を上げれば良いんですから! 私の最高時速は二千キロメートルです!」
シルルは笑顔でとんでもないことを言う。シルルは本気を出せば音速で飛べる様だ。
「「大きく分けると音速じゃねえか!! マッハで表せば良いんじゃないかな?」」
弥生と大正は目を丸くして驚き、全力で突っ込む。
グゥオッ!!!!
気が付くと、シルルは既に地上に降りていた。地上まで到達するのに掛かった時間は、数秒か、数十秒か……唖然としていた弥生と大正には速過ぎて頭が可笑しくなっていた。
因みに弥生が本気を出せば宇宙の膨張速度の数百倍の速さで動くことが出来る。詰まり光速よりも遥かに速い訳だが、物理的に光速を超えてしまうと時間が逆戻りしてしまうので、弥生が本気で走る日は多分、絶対に来ないだろう。
「あ、あれ? お姉様。結界って目に見えないんでしょうか? それに、普通に通れるみたいですけど?」
シルルは腕を結界に通しながらそう言った。
「ああ、シルル。あなたが音速でジグザグに移動したことによって発生した風圧によって、人間界と魔界を隔離する為の結界がぶっ壊れてしまったわ」
「「えええええええええ!!!!」」
to be continued...
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