第二十一話 制限なく願いを叶える能力を上手く使えば事実さえ書き換えられる
第二十一話目です。主人公の能力を本気で使えば都合の悪い事実を書き換えることすら可能になってしまいます。
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バグゥウウウウォオオオオオオオオオン!!!!
大正が気付いた時には既にドラゴンたちは全員消滅していた。訳もわからず命どころか世界が救われてしまったようだ。
「今、何が起こったんだ? 爆発?」
「時限反物質爆弾。仕掛けておいて正解だったわね」
大正がなにもかも理解出来ていないなか。死んだはずのガールフレンドの声が聞こえてきた。
「縄文さん……」
「全く。ドラゴン一匹まともに倒せないなんて」
大正の前に現れた弥生は冗談混じりで大正を罵る。大正は自分では気づいていないが罵られて喜ぶ。どうやら無自覚なマゾのようだ。
「そ、そういっても普通あんな化け物倒せないって!」
「……まあいいわ。街は全壊」
「いや、それどころか更地になっちゃったよ。そういえばシルルちゃんは?」
「……死んだわ」
大正の思考はここで数秒間停止する。彼女は、縄文弥生は何を言っているんだ? だが、もし仮にシルルが死んでしまったのだとしても、何故そんなに平然としていられるのだ。
弥生は妹の様な存在で大好きなシルルが死んでしまったのにも関わらず普通に平然としているのだ。
「な、なんでそんな平然としていられるんだよ!!」
「大丈夫よ、失敗したらなかったことにすればいい」
「は? 取り返しのつかない失敗だってあんだぞ!もっとも、街をこんなにしてシルルちゃんを死なせてしまったのは俺の責任だが!」
次の瞬間、弥生は満面の笑みになる。
「この、「街が滅んだ」「シルルとその他の街人が死んでしまった」この二つの事実を無かったことにすれば良いよの!」
「……あ、そうか! 縄文さんの能力でどうとでもなるのか! いやしかしシルルちゃんが生き返ったとしても一度死んでしまった記憶とか……」
「その点については問題ないわ。生き返らせないから☆」
「は? シルルちゃんが死んだままでいいとでも言うのか!?」
大正は色々責任を感じ焦っているので弥生の言葉をしっかり聞けば理解出来る筈のことが理解出来ないでいる。
「私は街を元に戻さないし街人を生き返らせなければシルルだって生き返らせない。(シルルも街人だけど)」
「?? 全てほっとくとでも言うつもりか?」
「そんな、とんでもないわ! 事実を書き換えるのよ。街が滅び、シルルたちが死んでしまったこと……いや、ゾンビドラゴンがこの街に再び来たと言う事実を無かったことするのよ」
「ごめんちょっと何言ってるのか分からん……」
実は大正。あまり頭の良い方ではない。
「そのままの意味よ。言葉通りの願いを叶えるわ」
――ゾンビドラゴンがこの街に再び、二度以上来ることは、二度と無かった……
弥生は願いを叶える能力を使った。そのままの意味だ。「ゾンビドラゴンがこの街に再び、二度以上来ることは、二度と無かった……」弥生はその言葉通りの願いを叶えたのだ。
ビカァッ!!!
『うぉおおおっ!!!』
弥生が願いを叶えたと同時に、目が痛くなる程の激しく、明るすぎる純白の光が大正の視界全体を包み込んだ。正しくは更地になってしまったが元々街があった場所を光が包み込んでいるのだが、大正には自分が光りに包まれているかのように感じられた。眩しすぎて、目が痛すぎて大正は思わず『うぉおおおっ!!!』ダサい声で驚く。
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「……ん? あれ? 俺……どうしてたんだっけ?……」
大正は気が付くと跡形もなく街と共に消え去ってしまった筈の「宿・ラヴホ」に居た。
「突然だけど! 明日から魔王城へ向けて出発するわよ!」
一度目のゾンビドラゴンの襲撃から数日後、いよいよ弥生は魔王城へ向けて出発することを決心し、シルルと大正に告げた。
「い、いきなりですね……もうちょっと準備などするために前もって知らせてほしかったです」
「悪かったわね!でも私たちに準備とか要らないんじゃないかしら? 明治くんはどうか分からないけど私とシルルは無限に強くなれるし」
「悪かったな!でもこれでやっと古墳さんを魔王の魔の手から救い出すことが出来る!!」
「む、無限って程じゃないですが……」
シルルは若干不安気味だが、大正は元々弥生探しと魔王の討伐が目的だったので全く迷うことなく大賛成だ。
「それじゃ、私は明日に備えて寝るわねお休みぃ」
「じょ、縄文さん!?(まあ確かに、縄文さんの強さなら魔王なんて寝てても勝てるイメージが出来るなぁw)」
「お、お姉様!! 危機感なさすぎですよ……」
こうして二人は弥生に振り回されながら一日が平和に過ぎようとしていた、そう、平和に過ぎない筈だったのだが……
「なにか……忘れている気がする、なにか凄いことがあった気がするんだけど……何だっけ? 思い出さないといけない気がする……だが何一つ思い出せない、その上そのことを考え、思い出そうとすればする程原因不明の恐怖に襲われ、体が震え、冷や汗が滝のように流れ出す……なんなんだ、一体……」
弥生の能力で街や死んでしまった人々は元通り、ではない。元通りにしたのではなく、初めからなかったことにしたのだ。分かりやすく言うと、時間を少々巻き戻した様な感じなのだが、時を戻すと言うことと決定的に違うのは、運命すら変えてしまうということだ。今後、この街にゾンビドラゴンが現れることは二度と無かった……そして、大正は街が滅んでしまった事実を忘れてしまった訳ではない。初めからそんな出来事は無かったのだから、大正の恐怖や冷や汗は全て、気のせいである。耳鳴りみたいなものだ……
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~次の日~
「シルル! 明治くん! 準備出来たかしら?」
「はい!」
「俺も準備万全だ!」
弥生たち三人は魔王城へ行くための準備を整え、宿の入り口に集合していた。
「食料は二週間分もあれば大丈夫だろ?」
「要らないわ」
大正は食料はこれだけあれば十分だろ。と弥生に確認をとるが、何故か弥生に食料は不要だと言われてしまう。
「は?」
だが当然食料が不要だと言われれば驚く、ここから魔王城までの距離は現実世界で例えると中国からアメリカ程の距離がある。当然この世界に現代にあるような飛行機や船は存在しない。弥生が瞬間移動を使えば良いのだが、三人共瞬間移動の存在を完全に忘れている。
「そのままの意味よ。要らないって言ってるでしょ?」
「いや、は? 詰まり、俺たちに飢え死にしろと?」
「それはだめぇ!!」
大正は弥生の言うことの意味が理解出来なかったので思ったことをそのまま口にした。
すると弥生は赤面しながら必死に「だめぇ!!」と可愛い顔と声で言いながらシルルと大正に抱き着いた。
「お。おおお姉様!?」
「じょ、じょじょじょ縄文さん!?」
面白いことに、シルルと大正の弥生に抱き着かれた反応は、ほぼ一致していた。
「シルルのことも明治くんのことも愛してるんだから死んじゃらめぇ!!」
弥生は普段とはまるで別人のように、シルルと大正の前で泣きながらそう言った。だがどう考えてもおかしいのだ。何故今、これから魔王城へ行くと言うこんな重要な時に弥生が可笑しくなってしまうのだろうか……
次の瞬間、シルルは昨日の夜のことを思い出しマズいと思った感じの顔で大正に昨日の夜、恐らく弥生がこうなった原因であろうことを大正へ告げる。
「昨日の夜、私が寝るちょっと前にお姉様が起きて私のとこへ来たんです」
「そしてどうなったんだ?」
「お姉様は『お酒が飲みたい』と言って来たので私はお姉様なら大丈夫だろうと思い、とびきり美味しいかわりに一般人なら死に至る程強いお酒を創り、お姉様に渡しました……」
「そ、それだぁああああああああああああ!!!!」
どうやら弥生はただの二日酔いの様だ。しかし一体どれほど強力な酒なのだろうか? しかし一般人が死ぬレベルの酒を飲んでこの程度で済んでいる弥生は、きっとシルルたちの思っている以上に、相当凄かったのだろう……
to be continued...
最後まで読んで頂き誠にありがとうございます!
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