第十八話 大正、シルルを金縛りで動けなくしてしまう
第十八話です。勇者さんシルル(ロリ)を金縛で動けなくしてしまう。
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『教えてやろう! 我はゾンビドラゴンなのだ。体の一部、〇・〇〇〇一ミリでもあれば再生出来るのだよ。さっきの爆発は流石に肉片が完全に消滅してしまいそうで危なかったがな!』
大正のフラグ発現によって突如現れ、街を燃やし、汚し、弥生を気絶させるまでした重罪人、いや重罪竜の汚いドラゴンは実はゾンビドラゴンだったのだ。
「なに! ゾンビだと……道理で生き返るわけだ。いや、そもそも死んでるのか? 死体が動いてるだけだもんな!」
「大正さん! 逆に言えばこのドラゴンを完全に消滅させればいいんです!」
「簡単に言うけどあんな巨体を消滅させるのは縄文さんじゃなきゃ無理だ。その縄文さんは気絶している……あのドラゴンまさかこれを狙って……ゾンビの癖に頭使いやがる!」
『くっく! その通りさ! (やべぇ縄文弥生を気絶させたのがただの偶然だなんていえねぇ フフッ)』
ゾンビドラゴンは心の中で苦笑いをする。
「く、取り敢えず縄文さんが眼を覚ますまで俺たちでなんとか持ちこたえよう! シルルちゃんは戦えるのか?」
「はい! 戦えます(お姉様の目を覚まさせることが出来るようになる料理を作って食べるには時間が掛かってしまいますね……やっぱりお姉様が目を覚ますまで戦った方が良いですね)」
大正とシルルはそれぞれこの、弥生じゃないと倒すことの出来ないゾンビドラゴンと戦うことを決心した。
『ガァーハッハッハー!! 行くぜ! 死ねぇええええ!!』
「俺が前衛に出る! 援護を頼むシルルちゃん!!」
「分かりました!」
『多重火弾』
『汚火球』
大正は『多重火弾』を放ち、ゾンビドラゴンは『汚火球』を放つ。ドドドドドドドド! という発射音と共に。
大正の放った『多重火弾』というのは文字通り無数の火の弾を放つ技だ。
対してゾンビドラゴンの放った『汚火球』とは汚い色の火の球を放つ技だ。汚火球は大正の多重火球よりも巨大であった為簡単に多重火球を消し去ってしまう。
紛らわしいが、隕石にならず大気圏で燃え尽きる火球とは関係ない。
「く! あの汚い炎は喰らいたくねえ! 『水壁』」
シュォオオオオオオオオ!!
水壁によって汚火球は掻き消される。同時に水壁も蒸発して消える。
『金縛りジュース(オレンジ味♪)』
シルルはオレンジジュースを能力で創り、ちゅうちゅうと飲む。
だがシルルは決してジュースが飲みたかった訳では断じてない。相手に金縛りを掛けることの出来る効果を付与するのにはオレンジ味のジュースが最適だったのだ。だが大正はシルルの能力を全く知らない。
「ってシルルちゃんなに呑気にオレンジジュースなんて飲んでるの! 今は戦闘中だ! これは没収な!」
「ああ! か、返してください! それがないとわたしぃ………だめっ、なんですぅっ!」
「あとでいくらでも飲んで良いから。これは没収しておく場所がないから俺が飲むぞ?」
「だめです! だめです! かかか間接キスになっちゃいますからぁ!!」
チュウチュウと音を立てながら大正はシルルの金縛りジュースを飲む。
シルルの能力を知らなかったと言えど、大正のしたことは普通に最低だ。間接キスだけど大袈裟に言うと、女の子に無理矢理キスをしたようなものなのだから。しかし大正にもシルルの料理の効果は出る。
「な、なんだ?」
「きゃっ! た、大正……さん…やめ、やめて、くださ、い」
「え? なんでシルルちゃん動かないの?」
初めて能力の付与されたシルルの料理を食べた大正には、いきなり使えるようになった能力をコントロールすることは出来ず、無意識にシルルに金縛りを掛けてしまう。
「あ、あとで……あとで私の能力について説明しますから、はやく金縛りを解いてください。幽体離脱してしまいます」
「なんで幽体離脱!? ええと、取り敢えず……こうか? 解除?」
パァアアン! と割れる様な音と共にシルルの金縛りが解ける。
「やった! 動けます!」
因みに何故幽体離脱と言う単語が出てきたかと言うと、幽体離脱をすることの出来る条件が金縛りになるということだからだ。
「ところで、さっきからゾンビドラゴン襲ってこないな。それどころか随分大人しい……あんなに五月蠅かったのに」
「あ! みてください大正さん!」
「ん? あああ!!」
『『汚いドラゴンが既に金縛りに掛かって動けなくなってる』』
大正とシルルは金縛りに掛かって動けなくなってしまったゾンビドラゴンを見て驚きながらも、語尾に「w」と付いていそうな感じで軽く笑う。
どうやらさっき大正が能力の制御を誤ってシルルに金縛りを掛けた時に、ゾンビドラゴンにも同時に金縛りが掛かってしまったのだ。その後、シルルを金縛りから解いたのは意図したものだったので無意識に金縛りに掛けてしまったゾンビドラゴンはずっと金縛りにかかり続けたのだ。
「あ、あはは、ちょ、丁度良いです! 元々このドラゴンには金縛りを掛けて動きを封じるつもりでしたから! 予定より随分と強く効いてるみたいですが!」
「じゃあシルルちゃん! そのままドラゴンを攻撃してもらって良い?」
「はい! 『創造! 電気入りの無味パン! 雷撃』!!」
――ぱく! もぐもぐ。ごくん!
シルルは雷を操れるようになる味のないパン(その代わりパンそのものに電気が含まれている)を創造し、食べ、そして雷撃をドラゴンに打った! スュバァアアアズビリビリビリ!! 恐ろしい程の電流と電圧だ。因みに人間は電圧では死なない。実は死ぬのは電流なのだ。
ドラゴンは金縛りプラス雷を喰らったので最早動くことなど夢のまた夢となってしまう。因みに途中、あまりに強すぎる電圧故、ボカァアアアアアン!! と爆発すら起こす。爆破でドラゴンの皮膚が結構八十パーセント程消し飛ぶが、流石ゾンビ! 気付いたらそんな爆発初めから無かったかの様に元の消し飛ぶ前の状態に戻っていた。
「おお、これなら縄文さんがいつ目を覚ましても大丈夫だな! ってかやっぱシルルちゃんなんか食べるんだな」
「私の能力についてはまた今度教えてあげます」
「おおありがとう」
「う、う〜ん……あれ? 私……」
大正とシルルが、大正は楽しく、シルルは真剣に会話していたところ、丁度弥生が目を覚ました!
to be continued...
最後まで読んで頂きありがとうございます!
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