第十五話 弥生VS王女にまで惚れられた大正
第十五話です。大正は自身を召喚した王女(美少女)からも惚れられた。主人公じゃないのに(笑)
宜しければ評価など宜しくお願い致します。
大正はまず弥生を探すことに決めた。だがその前に魔法を覚えたいと思い、大正を召喚した王女。始生に魔法を教わることにした。
「ええと、始生さん。俺に魔法教えてくれませんか?」
「あ! た、大正様」
「大正様ァ!?」
「さ、先程は勝手に召喚してしまいすみませんでした!」
どうやらこの王女はこっちの都合で大正を勝手に召喚したことに対して申し訳ないと思っている様だ。中々良い性格をしている。
「い、いえそんな! 貴重な体験が出来るんですから寧ろお礼を言いたいくらい……」
「大正様! お礼を言ってくれるのは素直に嬉しいですけど、そんな半端な気持ちで魔王に挑もうとしていたのですか!」
始生は真面目な上心配性だ。素直に大正を心配してくれているのだ。
「そ、そんなことは……なのでほら、少しでも強くなるためにまずは魔法を教えていただきたく……」
「そうですか、それで私に魔法を教わりに来たと言うことですか」
「はいそうです。もしよろしければ俺に魔法を教えてください始生さん」
「一つ条件があります!」
「なんでしょう?」
今まで真顔だった始生の顔が行き成り笑顔になる。
「魔王を倒したらあなたは私のものになってもらいまぁーす♡」
「……え? ……」
まず聞き間違いを疑ったが、あんなハッキリとした声を聴き間違える筈もい。その言葉の意味を理解するまでに数秒掛かり、大正は王宮全体に響くほどの声で叫ぶ。
『ええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!』
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部屋の外、詰まり廊下の方からドタドタドタッ!! と足音が聞こえてくる。
「な、何事だああああ!!! 始生さま! 大丈夫ですか?」
大正の叫び声を聞いた兵士たちが始生の部屋へ集まってくる。ざっと二百人くらいだ。
「大丈夫ですよ。下がって下さい」
「「「「「ハッ!」」」」」
「「「「「承知いたしました!」」」」」
「「「「「御意!」」」」」
始生が兵士たちに下がるよう伝えると、面白いくらい色々な返事が返ってきた。大正は「御意」で吹いてしまう。
「あははははは。御意ってぷぷぷーー。本当に言う人いるんだぎゃははははははっは!」
「た、大正さんの世界を基準にすると、うちの兵士たちは変人扱いなんでしょうか……」
始生は優しい。大正がおかしいのではなく、日本人からして兵士の方が変人なのだと解釈してくれたのだ。単に大正のツボに入っただけなのに。
「……先程は取り乱してしまいすみません」
「い、いいですよそんな、悪いのは大正さんの世界とこの世界の常識とかが色々違うということなのですから!」
「あ、ありがとうございます始生さん」
「始生でいいですよ。敬語も要りません」
「え、でも王女さまにタメ口は流石に……」
「なにを言っているのですか? あなたは国民じゃないのであなたからしたら私はただの女の子じゃないですか? それにあなたは被害者なんですし……」
始生は不思議そうにタメ口で話していい理由を話す。その後大正も始生にタメ口で良いと言ったのだが始生は敬語の方が落ち着くとのこと。「不公平だぞ!」
そんなことを言いながら二人は魔法の訓練を始めた。
「まず一番簡単なのから教えてくれよ」
「ええと、簡単なのは透視でしょうか。こうやってやるんです」
始生は大正の胸辺りを凝視した。これが透視に必要な行為なのだろう。
「大正さんの胸ポケットの中の財布には百万円入っていますね……」
「な! 見えたのか! ってか通貨って円なの?」
「はい。この世界を創造してくださった紅雨神様が数十年前に通貨を日本円にしたそうです」
「紅雨神……聞いたことないな、少なくとも日本神ではなさそうだ」
大正は通貨が日本と同じだということを不気味に感じたが、すぐに楽しい空気に戻り、大正も透視をやってみる。
『透視!』
「何を見たんですか? ……ってどこ見てるんですか!」
「ああしまった! あまりに魅力的だったからつい……(意外と際疾かったなぁ……)」
大正が見たもの、それは始生の身に着けている下着だ。大正は無意識に始生の胸に見とれていて、その状態で透視を使ってしまったのだ。結果、透視が効きすぎて服全体が透けて見える事態に! パンティーまで見えてしまった。
「魅力的……」
始生は魅力的と言われ、赤面する。今更だが始生は既に大正に惚れている。大正は日本に居た頃から中々モテる方だったのだ。それなりのイケメンだし。
そうこうして数日魔法の訓練をし、大正は弥生の居る街へ向かった。千里眼を覚えたので割とすぐ見つかったのだ。だが見つけた時には弥生はゴブリンと戦っていたようだったので街で待ち伏せることにしたのだ。全ては計画的なものだった。
因みに大正は王宮を出る際始生を勝手に許嫁にされてしまった。大正は断ろうとしたが、無意識に顔がにやにやしてしまうのでそれは出来なかった。皮肉なことに大正の将来は既に約束されてしまったのだ。
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「……と、いう訳で、縄文さん。まずは実力を試させてもらうぞ!」
「そう、良いわよ。明治くんを倒した後その王女様に明治くんは渡さないと警告してくるから! ふふふふ」
「お、お姉様……」
弥生、大正、共に戦う気満々だ。シルルは心配しているが、この二人ならなんとかなるだろう。最悪街が滅茶苦茶になっても弥生が直すことが出来る。
「な、なんだ修羅場か、ぐふふふ」
冒険者たちは修羅場修羅場と興奮している。
「場所はその辺の草原ね」
「ああ!」
シュッ! と音を立て、二人は瞬間移動でその辺の草原へ行った。因みに弥生が前に隕石を落とした辺りだ。
「ここなら思い切りやれるわね。と言っても私が能力をフル活用して思い切りやったら宇宙そのものを破壊しかねないのよね」
「なに! 縄文さん……それがハッタリか真実か分からないが、こっちは全力で行かせてもらうぞ!」
「来なさい」
スゥウウウウウ
大正が背中の聖剣を引き抜く。
「喰らえ! 『炎の斬撃』」
ズボォオオオオオオオオオ!!!!!!!! 五月蠅い程の爆音が辺りに鳴り響く。
名前の通り炎の斬撃だ。剣で斬ったら炎の斬撃が飛ぶという仕掛けになっている。だが弥生にそんなものは通用しない。
「この程度? じゃあ『水の斬撃』」
弥生は思い付きで新しい魔法を使うことが出来る。適当に手刀で水の斬撃を発生させ、大正の放った炎の斬撃を消火した。ジュオオオオオ! という音を立て、同時に水の斬撃も蒸発する。
「な……縄文さんは水属性の使い手なのか!?」
「そう思うならこれで驚くが良いわ。ええと、名前は適当でいいや、『自然の斬撃』!」
ギュオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!! あらゆる属性が交じり合い、言葉で表現しきれない程の音だ。
「ぎぃやああああああああ!!! なにあれなにあれ!! 死ぬ死ぬ×9999999999999e+999999999」
弥生が思いついて放った魔法、自然の斬撃は、炎、水、風、氷、土、闇、光、等様々な自然を操る属性で斬撃を作ってしまうというものだ。普通そんな魔法を使える者は存在しない。改めて弥生は本当にぶっ飛んだ実力者、いや、ぶっ飛んだ能力者である。
大正は死を悟ったが最後まで諦めはしなかった。上下や左右に逃げても無駄だ。斬撃の大きさは途方もないので大正がダッシュで横に逃げようが、ジャンプして上空へ逃げようが斬撃が大正に直撃する方が遥かに早いのだ。因みに斬撃は地面すら抉っているので穴を掘って逃げても無駄だ。
「し、仕方ない! そっちが全属性ならこっちだって! うおおおおおおおおお! 『炎の壁』『水流の壁』『風の壁』『氷の壁』『土の壁』『砂の壁』『闇の壁』『光の壁』『時の壁』ぅうううう!!! そしてこれを量産だああああああああ!!!!!!!!!!」
大正はあらゆる属性の壁を自分の前に創り、それを量産していった。大正の魔力が尽きるのと弥生の自然の斬撃が大正の壁によって全て擦り減って消滅するのが先かと言う戦いになってしまった。
「く! くおおおおおおおおお!」
「私相手に良くぞここまで、褒めてあげるわ明治くん♡ ふっふふ」
悪役の様なセリフを吐きながら楽しむ弥生。しかし思いもよらない想定外の事態となる。
「チェックメイトだよ縄文さん」
「――! な!」
気が付くと弥生は後ろから大正に剣で首をロックられていた。
「め、明治くんいつの間に!」
「俺の作った壁の中には「時の壁」というのも含まれていた。斬撃の時を止めたんだよ」
「成程、その隙に逃げてここまで来たって訳ね……でも甘いわよ!」
シュッ! 定番の音を立てながら、弥生は瞬間移動で大正の剣から逃れる。
「あなたに私を攻撃することは絶対に出来ないわよ?」
「く! 喰らえ! これでどうだ!」
スパァアアアアン!!! 聖剣が弥生を斬り裂く。
「え? ……未来予知が出来ない……」
「やはり予知も使えたか縄文さん!」
「く! 長期戦は避けた方が良いわね! だったら「結果」そのものを操って私が明治くんを倒したことに……って能力が使えな……」
「やはり、縄文さんは能力に頼り過ぎている、だからそれを無効化されれば成すすべがない……ゴブリンの時もそれでシルルちゃんに助けて貰っていたな……」
大正は千里眼で弥生とシルルがゴブリンと戦っているのを一部始終見ていたのだ。そこから作戦は始まっていた。
「……明治くんの能力はあのゴブリンのような能力の無効化?」
「いや、俺の能力は「形無き者すら斬る」だ。例えば実態のない幽霊を斬ったり、今回みたいに能力を真っ二つに斬って一時的に無効化することもできる」
大正はこれで戦いは自分の勝利で終わり……そう思っていた、しかしそうはいかなかった。
「『漆黒之炎』ハァッ!」
ズグゥオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!
「なッ! ぐ! ぐわあああああ!」
大正の能力で斬られた能力は数分で再生する。のんびり話していたのが運の尽きだ。しかも弥生は大正の能力を上書きしたのだ。もう二度と大正の能力は効かない……と。
大正は漆黒之炎という超強力な魔法で街の方向へぶっ飛んだが弥生はちゃんと加減しているし、漆黒之炎に回復魔法も混ぜてあるので死ぬ前に全回復する仕組みになっているのでなにも心配要らない。
to be continued...
最後まで読んで頂きありがとうございます!
宜しければ第十六話も宜しくお願い致します。
本日の連続投稿はここまでとします。