第十四話 ロリのベッドで眠る男子高校生
第十四話です。大正がシルルのベッドで寝る……しかし興奮して……
良ければ評価など宜しくお願い致します。
食卓テーブルの上にはとても豪華な朝食が並んでいた。弥生は一人でそれを作ったのだから凄いとしか言いようがない。
「なんだこの卵焼き! 卵焼きじゃねえ!ふんわりしすぎてなんだこれ! 今まで食ったことのないくらい高次元の美味さだ! うわっ! これベーコンかよ! 程よいカリカリ感がたまらん! 一瞬ポテチかと思った! 癖になる! ベーコンで癖になるとは思いもしなかったぞ!」
「そ、そんなに褒められたら……」
「ありがとう縄文さん! これからも宜しく!」
「————うん!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
〜そして現在〜
「って言うのが私と明治くんの出会い」
「はわわわわ。っていうことはお姉様は大正さんのことが」
「ええ、愛してるわ」
「ちょっ! マジで? ってかなんで縄文さんそんな堂々と言えんの!?」
「うわあああああん! お姉様実は二股だったんだ! 私と大正さんで二股しちゃってたんですね! 本命はどっちなんですか? お姉様ぁ!」
弥生と大正の過去を知り、弥生は大正のことを愛していることすら知ってしまったシルルは動揺して敬語が途切れる。ゴブリン戦の時がそうだったが、シルルはどんな状況であっても敬語を保ち続けることが出来る。しかし弥生が大正を愛しているということを知った途端、それが保てなくなったのだ。
それ程、シルルにとって衝撃の事実なのであった。
「大丈夫よシルル!あなたのことも愛しているわ!」
「結局二股じゃないですかぁああああ!」
「そ、そんなことよりほら、俺この街に来たばかりだから宿屋とか教えてくれない?」
「来たばかりってそういえば明治くんはどうやってこの世界に来たの?」
「ああ、それはその内教えるよ」
そういって三人はシルルの働いているホテr、じゃないや、宿屋「ラヴホ」に向かう。
「へえ、シルルちゃんは宿屋の看板娘やってるんだ」
「そ、そうなんです……でも今空き部屋がなくて……」
「「ええ!」」
なんということだ! シルルが言うに、宿屋に空き部屋がもうないらしい。弥生と大正は〇・一秒のずれもなく同時に驚く。
部屋は全て他の客で埋まってしまっているのだ。これでは大正は弥生と同じ部屋で泊まるしかないのだろう。しかしシルルはそんなこと許さない!
「し、仕方ないわね! 明治くん私と同じ部屋に来なさい?」
「え? いやまずいだろ!」
「そうです! お姉様と大正さんを同室になんて絶対にさせません! 絶対どっちかが襲ってしまいますからぁああ!」
弥生はなんの迷いもなく大正を自分の部屋へ誘導しようとする。大正とシルルは全力でそれを阻止しようとする。
「でもシルル。私と同じ部屋に明治くんを泊めないと明治くんは野宿することになるのよ?」
「大丈夫です! 大正さんは私の部屋に泊めます! 従業員用の部屋があるんです!」
「シルルちゃん! それもっとマズいから!」
「そして私はお姉様の部屋で寝ます♡」
色々言い合っていたが、最終的にシルルのが最適だと弥生と大正も納得し、採用した。
~シルルの部屋~
「……いやまあ確かにこれが一番安全、俺も縄文さんみたいな人と寝たら理性失ってあんなことやこんなことをしでかすだろうからな……しかし、よく考えてみたら女の子の部屋に泊まるってことだよな……なんか部屋も可愛いし、落ち着いて寝れるわけない!」
等と大正は愚痴るが、大正はシルルのベッドの下にとんでもない、絶対に見てはいけないものを見つけてしまう!
「な、なんだこれ! シルルちゃんベッドの下になんてもの隠して!」
大正が見たもの、それはシルルが隠し撮りした大量の弥生の写真であった。しかもただの写真などではなく、これは日本だと犯罪レベルだ。
「これは縄文さんの写真!? この世界に写真って概念があること自体驚きだがこれはヤバい! 普通の日常的な写真から過激なものまで……なぁっ! これは着替え中の……はぁ、はぁ、ヤバい! 理性が! あああ! これは我慢できなくて●っちゃった写真!」
『シルルちゃんなんてもの撮ってんだよぉおおおおおおおおおおおおおおお!』
その後、これ以上写真を見ていると性欲が爆発してしまう恐れがあると判断した大正は、そのまま寝た。
~弥生の部屋~
「うふふ~、シルル、今夜は寝かせないんだから」
「お、お姉様駄目ですそんなぁ!」
意味深な会話をする弥生とシルル。しかし別にいやらしいことをしているわけでは決してない!
「取り合えず私と大正くんを別々の部屋にするのはいいけどなんでシルルの部屋なのよ?」
「え? いえそれは空き部屋がなかったので……それにお姉様も賛成したじゃないですか」
「あれは仕方なくよ、明治くんに良い印象を持たせる為のね! でもシルルの部屋に明治くんを泊めてベッドの匂いとか嗅いだらどうするのよおおお!」
文句だ。弥生が言っているのはただの文句だ。一晩中文句を言い続けるから「今夜は寝かさないんだから」と言う意味になる。
「ああ……で、でも……あ!(お姉様の写真見られてないよね……大丈夫かな……)」
シルルが心配した時には既に遅かった。大正は既に見てしまったのだから……シルルが作った「お姉様♡」と書かれた弥生の写真集を!
~次の日~
「寝れなかった!」
シルルの部屋で眠った大正は全然寝付くことが出来なかった。寝る前に弥生のHな写真集を見つけ、駄目だと分かっていたものの、中を凝視してしまったのだから普通に寝付けないのはDKとして寧ろ健全と言えるだろう。
「っと、取り合えず縄文さんの部屋に……そういえばどの部屋か聞いてないな。まあいい。」
――千里眼!
「見つけた!」
大正はあらゆる魔法を使うことが出来る。その中の一つが「千里眼」だ。目の届かないところを見ることが出来るのでこれにより弥生の居場所が分かる。そして、見つけた様だ。
~弥生の部屋~
弥生の部屋は元々一人用なのでベッドは一つしかない。必然的に弥生とシルルは密着して眠ることになるのだ。
「お、お姉様苦しいです」
「うふふぅ~。シルルの体柔らかぁ~い」
「お、おね」
朝になった今。シルルは起きているが、弥生はまだ寝ぼけており、力強くシルルを抱きしめている。
コンコンッ!
部屋にノックをしたのは弥生の部屋を特定した大正だ。
「縄文さん? シルルちゃん? ……入るよ?」
ガチャッ!
「なぁ!?」
「あ……た、大正さん! どうして……此処が」
大正は見てしまった。パジャマが乱れ、胸が見えかけている二人を。しかもその状態でシルルが弥生に抱かれている!
「あ、あはは(なんか見てはいけない……ってかあの写真からしてやっぱりそうなのか! シルルちゃんと縄文さんはお互いのことlikeじゃあなくloveなんだ! いやこれいっそlove超えてる!)失礼しましたー」
いけないものを見てしまったと確信した大正は、ガチャッ! バタン! と勢いよくドアを開き、冷や汗をだらだらと流しながら部屋を去った。
「くそう! ヤバいヤバい! ってか千里眼でもうちょっと細かく見て警戒しておくべきだった!」
などと言いながら大正は食堂へ向かう。と言ってもこの宿で料理を創るのはシルルだけだ。そのシルルが弥生に抱かれているので今食堂へ行ったところで料理は出てこない。
「よう初めて見る顔だなぁ! 昨日からか?」
大正に話しかけてきたのはかれこれ一年以上この宿に泊まり続けているベテランの冒険者だ。食堂には既に大勢の宿泊している冒険者や一般人(主におっさんが多い)がいた。因みに宿泊はしないが食事だけという客も居るので朝、夜は大勢の人で賑わう。昼は冒険者たちがダンジョンなどで食事をとることが多いので客は朝の半分くらいに減る。
「あ、はい。昨日の夜からですね」
「お前も冒険者か? なにか分からんこととかあったら遠慮なく言ってくれよ! お前まだ若そうだしな!」
感じの良い冒険者だ。この街の住人の殆どは変態なのでこの様な常人はとても珍しい。
「ありがとうございます! 俺は明治大正と言います。宜しくお願いしま」
「明治大正だってぇえええええ!!」
「なぁ! 気付かなかったけどそいつよく見たらつい最近召喚されたっていう勇者じゃねえか!」
そう。勇者なのだ。明治大正は数日前、人間の王の娘。詰まりこの国の王女が魔王を倒してもらうために召喚した勇者なのだ。
「あ、ああ。気付かれてしまったか……そう! 俺こそが魔王を倒すもの! 生きる伝説明治大正!」
「まだ伝説じゃないでしょ? 明治くん!」
「お姉様気付いてたんですよね初めから」
「縄文さん! シルルちゃん!」
「な、なんだ! 勇者様は既に弥生ちゃんとシルルちゃんと知り合いなのか?」
「きゃあああああ殺人姫と勇者って言うのもいいわねぇええ!」
野次馬が五月蠅いが、どうやら弥生は初めから大正が召喚された勇者だということに気付いていたようだ。
「縄文さん。俺は数日前日本からこの世界へ王に召喚された。そして俺に与えられた使命は二つ! 一つは魔王の討伐! そしてもう一つは縄文弥生の正体を暴くこと!」
「なんで王が私のこと!」
「王が言うに、日本人とは神の血を引く直接の神の子孫であり。日本人なら誰もが強力な魔力を持っていた。そう、嘗ては……」
~~~~~~~~~
「しかし純血人間は数を減らしていった。詰まり外国人と神の血を持つ日本人の混血は次第に増えていき、その魔力は弱まっていった。しかし極少数。いや、本当に数える程度だけ膨大な魔力を持つ者が居た」
「まさかそれが!」
「そうじゃ。それがお主、明治大正と縄文弥生、古墳飛鳥なんじゃよ」
大正は王宮の中にある超厳重に兵士たちが固めている王の部屋で王と話している。大正と会話している爺さんこそが王だ。
「な! 俺だけじゃなく縄文さんと古墳さんまで! そういえばこの前、古墳さんも俺と同じように魔法陣で……でも俺とは色が違った。俺を召喚した魔法陣から感じる魔力に比べ、古墳さんが召喚されたとき俺は魔力なんて感じられなかったけど今なら分かる! なんと言うか、魔力の質が違った。何というか、魔族みたいなイメージが……イメージだけど……」
「そうじゃ、中々鋭いのおお主!」
「え?」
「そうじゃ。その嬢ちゃんは魔族に召喚されたんじゃ。そして、嬢ちゃん自身魔族となってのぉ」
「それ! どういうことだよ!」
大正は行方不明になっていた飛鳥が魔族に召喚されていたことを知り。混乱しならがも、王相手に堂々と怒りを見せる。
「まあお茶でものんで落ち着くんじゃよお主」
「さっきからお主お主って……なんかただの爺さんって感じだな、はは」
「話を戻すがお主」
「ほらまた言った」
大正は笑いながらそう言う。
『いいから聞くんじゃああああ!お主』
大正が王に対して口調を指摘し、とうとう笑うと王は怒鳴ってしまう。
「はい」
「宜しい。ではお主よ。だからお主を娘に召喚させたんじゃよ」
「は?」
「は? じゃないわい!」
「いや意味わからんよ爺さん!」
『じゃ・か・ら!儂は腐っても王サ・マなんじゃって! 言うとろうに! こんのクソガキ』
大正は思った。このジジイ短気だなあと。
「すみません。もうちょっとわかりやすく説明お願いします」
「じゃから膨大な魔力を持った飛鳥って嬢ちゃんが魔族側に着いたから同等の力を持ったお主を召喚して人間側に着けようって魂胆じゃよ、くっく」
大正は思った。飛鳥を利用しようとする魔族も許せないが、このジジイ俺を利用しようとしているだけなんじゃないのか? だが大正にとっては寧ろ好都合であった。自分が勇者となって魔王を倒すことが出来れば飛鳥を救うことが出来るのだから。
「わぁーたよ! 爺さん! 俺強力するぜ! 絶対に魔王をぶっ潰してみせる!」
「その意気じゃよお主! 因みに鷲には心を読む魔法がある」
「げぇっ! まさか俺の心の声聞いて……」
「大丈夫じゃ大丈夫じゃ! 気にすることはない! 儂は見ての通り心が広いんじゃ! 心の中でいくらジジイジジイ言ったって別にええんじゃよ? 儂怒らんからな? な?」
ジジイは怒りに満ちた顔で無理矢理笑顔を作っている。眉間に皺をよせ、目は血走り、恐ろしく魔物よりも悍ましい何かを感じる。
しかしジジイは自覚していないのか? 誰がどうみてもこのジジイは短気である。こんなのによく王が務まるものだ。
「あ、そうじゃそうじゃ! ついでに縄文弥生という嬢ちゃんについても調べて来てくれんか? お主ら仲良かっただろ~」
「じょ! 縄文さん!? そんな、彼女は既に死んで……ってかなんで俺たちが仲いいって知ってんだよジジイ!」
「それは秘密と言う奴じゃ! さあ行って来るが良い! 儂の名は太古 冥王じゃ。因みにお主を召喚した美少女、儂の娘は太古 始生じゃ。年齢的に孫みたいなもんじゃがなフフフ、なんせまだ15歳じゃし」
「あの人15歳なんですか!」
そういって大正はまず弥生を探すことに決めた。だがその前に魔法を覚えたいと思い、大正を召喚した王の娘。始生に魔法を教わることにした。
「ええと、始生さん。俺に魔法教えてくれませんか?」
「あ! た、大正様」
「大正様ァ!?」
to be continued...
最後まで読んで頂きありがとうございます!
宜しければ第十五話も宜しくお願い致します。