第十三話 出会って初日のクラスメイトと添い寝する
第十三話です。大正が弥生に添い寝されます。妬ましい。
良ければ評価など宜しくお願い致します。
「そういえば縄文さんに礼を言うの忘れてたな……明日言うか……」
そんなことを考えながら大正は家の前まで着いた。しかしそこには……
「な、な!!!」
「あなた……私になにか言うことがあるんじゃあないかしら?」
――縄文さん……
「遅かったじゃない?」
そこには、大正の家の前には弥生が門番の如く立ち塞がっていた。
「じょ、縄文さん、なんで……」
「あなた私に言いたいことがあるんじゃないかしら?」
「あ、ええとその、良かったらまた今度三人であのジュース飲まない?」
クワァッ!!
思っていた回答と別な回答が来たのと、三人で、と言ったので弥生は怖い顔をする。
「え? ナンデスカ怖いですよ」
「……もう、今度は二人きりで、ね?」
「え? な、ちょ何を!」
弥生は大正と二人きりでカップルジュースを飲みたい様だ。彼女も飛鳥と同じく大正に落ちたか。
「って!! そうじゃなくて!!」
「え?」
「なにか、他に言いたいことがあるんじゃない?」
「……そ、そうだな。じゃあ」
――今日は倒れた時助けてくれてありがとう。古墳さんから聞いたよ。縄文さんが気絶した俺を保健室まで運んでくれたんだってな。
大正は弥生にディスられて精神が崩壊し、廊下で気絶し倒れたのだ。弥生はそれを自ら助けた。
「――! わ、私は、ただ、ただ、自分のせいで人が気絶するなんて思ってなかったし、流石にあのまま教室に戻るのは気が引けたというか……心が痛んだっから。かっかか勘違いしないでよね! べ、別にあなたのこと心配したからとかじゃないんだからね! ふんっ!」
「あ、あれぇ? 縄文さんってもしかして。ツ・ン・デ・レ? (ってか可愛すぎだろ! もう俺のにしたい! 彼女にしたい! 弥生さん可愛いよはぁはぁ。っていかんいかん! 理性を保たねば! もう日も暮れている! 家に親も居ない! このまま理性が崩壊し本能に身を支配され様ならば……家に弥生ちゃんを連れ込んでせっくsっていかんいかん!!)」
実は弥生は重度のツンデレだったようだ。めちゃめちゃ可愛いぞ! 精神と理性が崩壊して何をしでかすか分からなくなるくらい。「月の光は人を狂わす」と言うが、ツンデレも人を狂わす力を持っていると言うことが分かった。
「う、五月蠅い! ツ、ツンデレ言うなあああああ! うう……」
「……あ、あの縄文さん。立ち話もなんだし、俺の家、入らない?」
「……いいの?」
「ああ! ただ、家に親とか誰も居ないから頑張って理性失わない様に気を付けないと!」
「え?」
「あっ」
大正は別に下心があって弥生を家に招こうとした訳では決してない。ただ、夜は冷えるから親切心で家に入れようとしただけなのだ。
ガラッ! と家のドアを開け、結局弥生は大正の家へ入って行った。
「……(明治くんの匂い……ああ、わたしやっぱり明治くんのこと好きになっちゃったんだ……)」
弥生は改めて大正のことが好きだと実感した様だ。
「すーはーすーはー」
「あ、あの……縄文さん? すーはーすーはーってなにやってんの?」
「――! あ、その……」
バチン!
弥生が夢中になって大正の家の匂いから大正の匂いを嗅ぎ分け、すーはーすーはーやっているのを大正に指摘されると赤面し、大正にビンタを喰らわせた。割と強烈なのを。
「痛って! 何を! (だが悪くない。寧ろ気持ち良い! っていかんいかん! マゾに目覚めてしまう!)」
「そ、そういえば、明治くんの家、今他に家族とか居ないって本当?」
「あ、ああ本当」
大正は下心を表に出さないよう気を付けながら弥生の質問に答える。
「ジュースある?」
「コーラならあるけど? どうするんだ?」
弥生の企みに気が付かない大正はこの時は深く考えずにいた。
「ストロー二本」
「な!! おまっ! まさか!!」
ここで大正は弥生の企みに気が付き、一気に焦り始める。
「あ、あったあった♡」
弥生の計画、それは家でカップルジュースを再現することだ。ハート型とまではいかないが、ストロー二本とジュースがあれば誰だって再現可能なのだ。
それと、一緒に飲む相手は必須だ。
「じょ、縄文さん! (声が裏返る)待て! 落ち着け! 俺たち、別に付き合ってる訳じゃ、つか今日会ったばっかなんだよそういえば! 考え直せ!」
「何を言ってるの? もう既に二股ジュースを三人で飲んだわよね? それ以上にキスも済ませたじゃない? 今更何言ってるのよ」
弥生の言っていることは事実だ。既に普通にキスしたのだから今更間接キスなんて朝飯前という論理的な考え方だ。
対して大正の言っていることも正論だ。いくらキスしたからと言って、付き合ってもいない今日出会ったばかりの相手と、そんな易々と間接キス出来るものだろうか。
「だから駄目だって! 縄文さん!!」
「えー? いいじゃないけちー!」
「縄文さんだんだん性格変わってない?」
「ほんらことないわよー。ほら、口付けて!」
弥生は酔っ払った人みたいな感じで大正にストローを咥えさせようとする。
だが大正は全力で阻止する。ここでストローを加えては、もう退くことは出来ない。絶対途中で理性が崩壊して弥生を襲ってしまうだろう。お互いのこれからの為にもここでストローを加えてはいけないのだ!
「なんでよぉ、明治くん私とキスしたいって言ったじゃないのよぉ……」
「なッ言ってな」
スゥースゥーと寝息が聞こえてくる。
いつの間にか縄文弥生は眠っていた。相当疲れていて眠かったのだろう。恐らくその眠気のせいで、酒に酔ったかのようにおかしくなっていたのだろう。きっと。
「……縄文さん……まあそりゃそうだよな。高校入学初日にクラスの男を気絶させてしまい。その上その男とキスする羽目になってしまったのだから。いやしかし、縄文さんは自分の意思で俺にキ、キスを……縄文さん俺のことどう思ってるんだ? 少なくとも嫌われてはいない? と思う。取り敢えずベッドまで運んでヤるか! ここここれはけけけ決して疚しい気持ちがあるわけではなく、あくまで縄文さんの為だ! こんなとこで寝てたら風邪引いちまうからな!」
大正はそう理性を失って弥生を襲わない様に自分に言い聞かせ、弥生をお姫様抱っこしながら空き部屋へ向かう。
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「俺の部屋の隣が空き部屋だから縄文さんにはここで寝てもらおう」
大正は空き部屋に弥生をお姫様抱っこで連れて来た。丁度ベッドもあったのでそこで寝かせるつもりだ。
大正は優しく弥生をベッドに寝かせ、ふわりと毛布をかける。
「それじゃ、縄文さんお休み」
大正はその後、夕食を食べたり風呂に入ったり歯磨きをしたりし、自分の部屋で就寝した。
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~次の日の朝~
ドゴォオオオオオオオン!!! 大正のスマホから異音が鳴り響く。ただのアラームだ。
「ふああああ。ああ眠い。今日もまた、一日が始まってしまった……」
大正は朝に弱い。寝起きはどうもネガティブになってしまう。
むゅにゅ! むにゅむにゅ
「ん……んん」
「ん? なんだ? 誰の声だ? ってかこの柔らかい感触まさか!!!」
「ん? あぁー。めいじくんおはよー」
「縄文……さん?」
大正の隣、詰まり大正と同じベッドで弥生が寝ていたのだ。夜中、大正が寝ている間に忍び込んできたのだろう。
「……ま、ままままずい! 縄文さんまずい! ってかなんで俺のベッドに!!」
「明治くんはもうちょっと寝てて良いよ?」
「いや駄目だろ! 朝ご飯作んないと!」
「大丈夫。温めなおして盛り付けるだけだから」
「は? は?」
「じゃあ、あとで呼ぶから、お・や・す・み♡」
弥生はそのまま寝室を後にした。
バタンッ! とドアを閉める音が静かな寝室に鳴り響く。
「ん? ん? ん? ん? 意味が分からない」
よくわからないが、弥生は笑顔で朝ごはんを作りに行った? ようだ。
大正は混乱中だ。なんで昨日出会ったばかりの同級生の女子に朝ご飯作ってもらってるんだろう? 何故こうなった? この状況はなんなのだ? 夢か?
~七分後~
「明治くーん! 出来たよー!」
「あ、ああ、今、行くよ」
よくわからないまま大正はダイニングへ向かった。
「な! こ、これ! 縄文さんが一人で作ったの?」
「そうよ! 心を込めて作ったからきっと美味しい筈よ!」
食卓テーブルの上にはとても豪華な朝食が並んでいた。弥生は一人でそれを作ったのだから凄いとしか言いようがない。
「なんだこの卵焼き! 卵焼きじゃねえ! ふんわりしすぎてなんだこれ! 今まで食ったことのないくらい高次元の美味さだ! うわっ! これベーコンかよ! 程よいカリカリ感がたまらん! 一瞬ポテチかと思った! 癖になる! ベーコンで癖になるとは思いもしなかったぞ!!」
「そ、そんなに褒められたら……」
「ありがとう縄文さん!これからも宜しく!!」
「————うん!!!」
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「って言うのが私と明治くんの出会い」
to be continued...
最後まで読んで頂きありがとうございます!
宜しければ第十四話も宜しくお願い致します。