第十二話 二股ジュースとかいうあり得ないメニュー
第十二話です。
良ければ評価など宜しくお願い致します。
「う~~~~ん!!!」
「なんか悩んでるみたいだけど本当だよ?私が弥生から逃れる為に保健室で隠れていたら、弥生が申し訳なさそうな顔しながらベッドまで運んで、このことは秘密だからね! って言って気絶した大正くんを私に預けて教室に戻っちゃった」
「……そうか、君が嘘をつくような女の子じゃないってことはなんとなく分かった。縄文さんが……そうか……あとで謝って礼も言わなきゃな……」
そういって大正は教室へ戻ろうとした……が。
「俺は教室に戻るけど古墳さんも戻った方が良いんじゃないか?」
「え? ホームルームはもう終わって今は放課後だよ?」
「な……俺が気絶してる間に学校が終わっていたなんて……」
当然ながらたった一人の為に先生が待ってくれるはずはない、間違いなく既に学校は終わり、放課後になったのだ。
「ところで、古墳さんと縄文さんは仲直りしたの?」
「ああ、弥生別にああいうのそこまで気にしないから、相手が私だからかもしれないけど本当はそこまで怒ってないんだよ?」
「そ、そうなのか……」
「そうなのっ!」
こんな会話をしながら二人は共に下校していった。
~下校途中~
「あ、ねえねえ大正くん!」
「ん? なに?」
「あそこのカフェ寄ってかない?」
大正はまさか高校入学初日に女子と下校した上、更に一緒にカフェにまで行けるなんて夢にも思っていなかった。
「ふふ、ふふふふふ! 遂に来た!! 俺のラブコメが来たぁあああああああ!!!!! はぁーはっはっはー!!!」
「ど、どうしたの? 頭の調子でも悪いの?」
そりゃあ飛鳥が心配するのも無理はない。大正は行き成り道のど真ん中で高笑いし始めたのだから。旗から見たら変人だ。
しかし大正は感情を抑えきることが出来なかった。今まで女子とまともに仲良くしたことがなかったので……
~カフェ内~
カランッ! (ドアの開く音)
「おお! これがカフェと言うものなのか? ファミレスとの違いが分かんねぇ」
「え?」
大正は初めてカフェに入ったので他のレストラン等との違いが分からない。それに対して飛鳥は驚くが、まあこれを書いてる作者もカフェと他のレストランって何が違うのか分かっていない(笑)
「いらっしゃいませー! 二名様で宜しいでしょうか?」
「あ、はいそうです」
店員が二人に声を掛け、質問してくる。それに答えたのは大正だ。女の子に任せっきりなのはよろしくないと思っての行動だ。素晴らしい。
「二名様ご案内致します」
大正たちは店員についていき、二人用の席はまで案内してもらう。
「お客様すみません。現在二人用の席はリア充共で埋め尽くされております。四人用の席なら空いておりますがそれで宜しいでしょうか?」
「り、リア……」
「はい! 別に大丈夫ですよ?」
「ありがとうございます」
大正はリア充という単語に動揺するが、飛鳥は冷静に対処する。大正は、何故この女はこんなにも冷静なんだと気になる一方だった。
「ではお客様、相席ですがこの席で」
「おい店員! 待ってくれ相席なんて一言も!! ん? ふぉあーーーー!!!」
「「あーーーー!!!」」
店員は勝手に相席にし、気付いた時にはもうその店員の姿はなかった。逃げたな。
しかしそれだけではなく、大正と飛鳥が席に来た時には既に先客が一人いた。縄文弥生だ。三人は声を揃えて驚く。
「縄文さん!!」
「な、ななななんであなたたちがここに!」
大正の中でクールなイメージの弥生だったが、弥生も普通に動揺して可愛いと思った。
大正はちゃんと可愛いとこあんだなと思い、ニヤニヤする。
「ちゃんと可愛いところあんだな! 良かった!!」
「はぁッ! ちょちょちょ何言って!!」
「なにニヤニヤしてるの? 大正くん」
「え? あ、いや……」
大正はまずいことをしてしまったと自覚する。
「くっくっく。ぐふふふ、楽しそうですねぇお客様方」
大正たちに話しかけてきたのは、さっきの大正たちを勝手に相席に案内したムカつく店員だ。
「あ、あんたは!! よくも飛鳥たちを勝手に私のとこに連れてきたわね!! 許さないわ!」
「大丈夫、許しを請うつもり等毛頭ない。それよりも、お客様方に超お勧めのメニューが御座います」
「縄文さん落ち着いて。それで、そのメニューとは?」
「二股ジュースで御座います」
二股ジュース、堂々と二股をする者の為に開発されたジュースである。
『絶対ヤバいやつだ!!』
『ふふふ二股って誰が! まさかこの状況を明治くんのハーレムとか勘違いしてるんじゃ……』
弥生と大正にはこのジュースがどれ程狂ったものなのかを理解していた。しかし飛鳥は……
「二人共なに騒いでるのか分からないけど、二股って何?」
『『二股を知らないぃいいいい!!!』』
そう、飛鳥は二股を知らない純粋な女の子だったのだ。
「?? なんでそんな、二人共二股がなにか知ってるの? 教えてよ」
純粋な飛鳥は無邪気に二人に「二股」の意味を問う。
「飛鳥!! 二股っていうのはね!!」
「古墳さんそれはとても悪いことだ!!」
こんな純粋で良い娘を汚してはならないと、二人は二股の意味を誤魔化す。
「余計気になるでしょ? ちょっと頼んでみるね」
「「やめろおおおおおお!!!」」
「すみませぇーん!! 二股ジュース三つ下さい」
弥生と大正が全力で阻止しようとするが、飛鳥は好奇心で二股ジュースを頼んでしまう。それと同時に店員がにやけ、周りの客は驚いたり、引いたり、丁度カフェの窓が開いており、飛鳥の「二股ジュース三つ下さい」は通行人や近所の住人にも聞こえてしまう。勿論みんな引く。弥生と大正に至っては死んだ魚のような目になっていた。
「え? ……なに? みんな???」
二股の意味もセ●クスも知らなそうな飛鳥には、自分が如何にぶっ飛んだものを頼んでしまったのかを理解することは出来ない。
~三分後~
「っくっく、お待たせ、ふふ、致しました、くっくく。二股ジュースでございまぷーーー! くすくす」
三分後、店員が飛鳥の注文してしまった二股ジュースを持ってきた。笑いながら。
「あーーーー、持ってきちゃった……」
「ってかヤバいわねこれ」
「ああ、ヤバいな。しかし幸い三つある。一人一つずつ飲めば良かろう」
「あ……あ……なに……これ……」
三人は二股ジュースを凝視する。一つのガラス製のコップにストローが三本付いており、一つのハートの形を作っている。カップル用ジュースを悪化させた? 進化させた? 感じだろうか。とにかくとんでもない代物だった。しかもそれが三つも来てしまったのだ。
「取り合えず、周りの視線が痛いが、一人一つずつ飲むか。なんならハートの形を分解して飲むって手もあるし、な? 縄文さん、古墳さん」
「そ、そうね。明治くん。それが最善だわ!」
「まさかこんなものだったなんて……」
そして三人が別々のジュースを手に取ろうとしたその時であった。
ピーーーー!!!!
突如防犯ブザーの様なブザーが鳴り、またさっきの店員がやってきた。
「ルール違反です。この二股ジュースは文字通り二股して飲まないといけないのです! 詰まり男一人に対して女二人か若しくはその逆。女一人と男二人で飲まないといけません! 因みに男三人というホモプレイは禁止です。逆に女三人。レズなら問題ありません!」
「なんで女ならいいいんだよ!」
「店長の趣味でございます。店長はホモが大嫌い。でも女同士は見てて興奮する。とのことです」
「明治くん! そこはどうでもいいわ! 問題は私たち三人が間接キスしないといけないってことよ!! 飛鳥とならいいけど、あ、あなたとなんて……」
弥生と飛鳥は既にそういう関係をヤってるので何の抵抗もないようだ。しかし大正と間接キスすることに弥生は抵抗があるようだ。赤面して可愛い。大正はそう思った。
「わ、私は。別にいいけど、他の男の子と間接キスなんてヤだけど、大正くんなら……良いよ?」
飛鳥は赤面しながらも大胆なことを口走る。こいつ、既に大正に惚れてやがる!
そして周りの視線が更に痛くなる。
「く! ええい! お前ら! 仕方ない! 仕方ないけどやるしかないんだ! 行くぞ! 飲めええええ!!!!」
「明治くんは……そう、仕方なく私とキスするのね……本当はしたくないのに」
「――! ……そ、そんな、ことは……この際だ! 本音を言うが、縄文さんみたいな可愛い人とキス出来るなんて夢みたいなもんだ! 俺は全然嫌じゃない! 勿論古墳さんも!」
「……そう」
chu♡
弥生は向かいに座っていた大正にキスをした。間接キスではなく、普通の唇と唇を合わせるやつだ。
「「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」」」」」
そして店内は歓声に包まれた!
「ん、んっ♡、はぁ」
「ややや弥生! なんてことを!!」
「う、く、はあ……縄文さんなにを!!」
大正は無理矢理弥生を自分の唇から引き剥がした。
「んっ。もう終わり?」
「だからなにを!」
「夢……だったんでしょ? 私みたいな女の子とキスするの」
「い、いやまあ確かに嬉しかったけど……」
大正は赤面しながら答える。
「良かった! 私はあなたと既にキスしたわ。これでジュースもなんの抵抗もなく飲めるでしょ?」
「い、いやまあそうだけどなんで……」
「……それは……嫌じゃ、ないからよ」
そう言って弥生は二股ジュースを飲み始める。大正も既にキスしちまったんだから何も遠慮することないという考えに至り、飲み始める。
ジュージュジュゥー
チュウチュウッ
「ん、おいひい」
「ほ、ほうらな」
二人はエロい音を立てながらジュースを飲んでいる。勿論意識的にエロい音を出しているわけではない。異性と同じジュースを飲んでいるという事実から自動的にそういう音になってしまうのだ。二人とも意識しすぎているのかもしれない。しかし意識しないってのは無理ってもんだ。お互い好みのタイプなのだから。
「ず、ズルい!! 私も飲むぅ!!!」
やけになった飛鳥が乱入。
ジュージュジュゥー
チュウチュウッ
ブチュブチュ
更に音がヤバくなる。そして、三人は気が付いたら夢中になってジュースを吸い続け、ジュースはあっという間になくなる。三人の唾液は混ざりまくってお互いに飲んでいるだろう。そう考えると三人はいつの間にか妄想を膨らませ、無意識に次のジュースを飲み始めていた。
ジュージュジュゥー
チュウチュウッ
ブチュブチュ
「ん、おいひい」
「ほ、ほうらな」
「んっやよいぃ、たいしょう、くん」
「「「はっ!!!」」」
三人は同時に我に返る。
「まさか、何時の間に夢中に……」
「二つも飲み干していたなんて……」
「は、はわわわわわ……」
「どうする?」
「最後、三杯目……いく?」
「……」
暫く沈黙が続いたが、このジュース。癖になり、三人は同時に三杯目のジュースのストローにガバァッ!! と思いっきり口を付ける。
ジュージュジュゥー
チュウチュウッ
ブチュブチュ
ジュージュジュゥー
チュウチュウッ
ブチュブチュ
~~~~~
~~~~
~五分後~
「……お、美味しかったな……(ヤバい、ムラムラしてきた。縄文さん、古墳さん……)」
「そ、そうね……(な……ム、ムラムラ……してきたわ。明治くぅん……あすかぁ……)」
「……ま、また飲みたいね! (ど、どうしよう。ムラムラしてきた……やよいー、たいしょう……くん……)
三杯目の二股ジュースを飲み終えた三人であったが、急いで会計を済ませ、瞬時にトイレへ駆け込んだ。しかしその理由はムラムラしたからである。男女三人で長時間間接キスをし続けていたのだから当然だろう。三人はトイレで共通のことをシた。しかしそれがなんなのかはご想像にお任せするとしよう。
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「はあ……まさかあんな……」
大正は二股ジュースを飲んでいたことを思い出しながら一人で帰宅途中だ。三人で帰るとお互いを襲い合ってしまいそうなので別々に帰宅することにしたのだ。勿論弥生と飛鳥。女子同士でもだ。
「……また、来たいな。この三人で!」
「そういえば縄文さんに礼を言うの忘れてたな……明日言うか……」
そんなことを考えながら大正は家の前まで着いた。しかしそこには……
「な、な!!!」
「あなた……私になにか言うことがあるんじゃあないかしら?」
――縄文さん……
to be continued...
最後まで読んで頂きありがとうございます!
良ければ第十三話も宜しくお願い致します。