82、こう見えても空気は読めるにぇ
アナライズ結晶を素早く丁寧にポケットに入れた後、気絶した男を担ぎ上げて何事も無かったかのように移動を再開したにぇ。身長差が大きくて男の足が引きずっているけど、あの鑑定結果と比べれば大した問題じゃないにぇ。
まず名前と種族名と性別が書かれた一行目、本来はモンスターであれば種族名しか書かれていないにぇ。まぁ、フェゴールちゃんがネームドモンスターだって事はベルちゃんと名前を呼び合っている時点で確定していたのでもはやツッコミどころじゃないにぇね。
HPは人間よりは高くてゴーレムよりは弱い程度としか言いようが無いにぇ。この辺はレベルによって上下するんだけどにぇ、生き物ではなく無機物のマナドールにはレベルが存在しなくて生まれたままのパラメーターから変動しないんだにぇ。
そう、マナドールは成長しないにぇ。だから五大パラメーターが全部0なのも最初からそういう風に作られたって言うのなら納得できるんだにぇ。何でわざわざ能力を下げたのか作者の意図は分かりかねるけどにぇ。
問題はMPだにぇ。『鑑定不能』の表示自体は固有スキルや上位の魔法、また鑑定された本人が鑑定を妨害、または遮断できるスキルを持っていれば見る機会があるから驚きはあっても珍しいものじゃないにぇ。だけどフェゴールちゃんは対鑑定スキルは無いみたいにぇ。だからこんな鑑定結果になるってことは純粋に鑑定不能なほどに魔力を保有している事になるんだにぇ。
これが普通のモンスターであれば……いや、それもどうかと思うんだけれど、とにかくマナドールのMPを担っているのはマナバッテリー、それに使われている魔石が規格外の魔力を持っていることになるにぇ。
そう考えれば所有している魔法に関してはある意味納得できる結果と言えるかもしれないにぇね。これだけの魔法が魔石に封じられていたとしたら最低でも神話級魔法とやらを一発は撃てるほどの魔力は保有しているハズだからにぇ。
そもそも神話級やら竜魔法やら天使魔法やらどう考えたってヤバい魔法が並んでいるのに、まだ鑑定不能な魔法がこんなに沢山残っているのは興味以上に恐怖を感じるにぇ。魔術師ギルドのマスターとしてはフェゴールちゃんを解体してでもこのマナバッテリーを入手して研究するべきなんだろうけど、こんな危険物が変な人間の手に渡るリスクを考えると魔法攻撃力が0のフェゴールちゃんが持っていた方が安全……はっ!?フェゴールちゃんの製作者はそれを考えてあえてパラメーターを下げたのかにぇ!?
そういえば魔法のランクは初級、中級、上級、超級までは聞いたことがあるにぇけど、超級と神話級はどれほどかけ離れているんだにぇ?過去に一度だけ超級の炎魔法は見たことがあるにぇ。普通の炎と比べ物にならない程熱い白色の炎で相手を焼き切る魔法で、攻撃範囲を捨てて攻撃力に特化した魔法だったと思うにぇ。それが神話級だとどんな魔法になるのか想像も出来ないにぇ。
神話やおとぎ話で思い出せる事といえば、闇で覆いつくされた大地を照らし出すために太陽を手元に作り出して打ち出したとか、枯れた大地を囲むように大いなる海を呼び出したとか、とにかく規模の大きい話だけにぇ。そんなことを本当に出来るとしたらエンシェントドラゴンですらどうでもよくなっちゃうにぇ。
…おっと、考え込み過ぎて足が止まっていたにぇ。
とにかく今回の事はノーツちゃんにも教えられないにぇ。あの二人が正義の味方である間は神話級魔法がこの町に落ちることは無さそうだからにぇ。今はこの男を運ぶことに集中して余計な事を考えないようにしておくにぇ。
靴が削れたらゴメンにぇ。
作者「マナドールにレベルは存在しない!」
フェ「本当は?」
作者「前回で書き忘れた!!」




