表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/288

70、エンシェントドラゴン対策会議2

「この鱗の正体は魔術師ギルドの協力のおかげですでに判明している。オニキス、後は頼んだぞ。」

「やれやれ、いっつもノーツちゃんは面倒ごとばかり押し付けてくるにぇね。えーとにぇ、我ら最強の魔術師ギルドの精鋭たちによる鑑定結果や第一発見者の彼ら『蒼天の探求者』からの目撃証言により、この鱗の正体は!何と!あの!伝説の!エンシェントドラゴンの鱗だと断定されたんだにぇ~!!」

「「「え、エンシェントドラゴンだと!?」」」



重大な役を押し付けられた割にノリノリなオニキスにより公開された情報は、当人の軽い声色とは正反対の重たくのしかかる内容であった。

だが先ほどよりざわつきが大きくなったものの、逆に言えばその程度の反応しか返ってこなかった。



「エンシェントドラゴンってアレだよな、伝説とかおとぎ話で出てくるアレでいいんだよな?」

「伝説って言っても一応ドラゴンが成長した姿だからありえなくは無い…のか?」

「いやいや、幼いドラゴンなら見落とすこともあるだろうが、ドラゴンが成長する過程の中で必ず何かしらの災害が起こってしまうものだ。餌を求めて空を飛べばたちまち暴風が巻き起こり、たどり着いた場所に着地すれば地面を割くほどの衝撃となる。そんな相手をさらに成長してしまうほど長い間ほっといたりしないだろうさ。」

「でも現れちまったんだろう?一体どうなってんだ?」



あまりにも突拍子の無いタイミングで、そして突拍子の無い伝説上のモンスター(エンシェントドラゴン)の名前が登場したことは混乱よりも困惑の方が大きいようだ。

この場に集った人数を考えると混乱が広がらなかったことは幸運だったと言えるだろう。


そんな中、ロングコートのような服を着た男が静かに手を挙げた。



「待ってくれ。確かドラゴンは黄色い鱗で生まれて成長するごとに赤みがかってくるはずだ。そんな真っ白…とも言い難い何とも言えない色のエンシェントドラゴン…いや、そもそもただのドラゴンだとしてもあり得るのか!?」

「そういうオジサンは確か歴史研究家を名乗っている人だったかにぇ?オジサンの言う通り()()()ドラゴンの鱗の色に関してのその知識は間違っていないにぇよ。」



エンシェントドラゴンどころかその一段階下のエルダードラゴンの目撃例も全くないのだが、ドラゴンに関しての歴史的な戦いはいくつか語り継がれている。

フェゴールが見つけたドラゴンとの戦いが描かれた絵本もその一つである。

また、書籍として保存されている以外にも寿命の長い種族が実際に目撃し今も覚えていることもある。


つまり歴史研究家を名乗るこの男は、下手な冒険者よりはドラゴンの生態に詳しいという事になるのだ。



折角なのでこの世界におけるドラゴンの生態をおさらいしておこう。


ドラゴンは成長度合いによって違う名称で呼ばれ、卵から生まれたばかりの個体は『ドラゴンパピー』と呼ばれており、その体は淡い黄色の鱗で覆われている。


その後若い世代のドラゴン全般を指す『ヤングドラゴン』から成体を指す『ドラゴン』に成長する過程の中で鱗は赤みを帯びてオレンジ色となっていく。


先ほどざわついていた参加者の一人が言っていたように、体が成長すれば成長するほど体内に魔力を蓄えて強力な個体となるドラゴン種は出来る限り若い間に倒す相手であり、ドラゴンと呼ばれるほど成長してしまっては既に手遅れである。


そんな()()()()()()に当たるのが赤い鱗の『エルダードラゴン』、そして赤茶色の鱗を持つ『エンシェントドラゴン』なのである。



「本来の…つまり今回のドラゴンは新種、もしくは変異種とでも?」

「先ほども言ったけど魔術師ギルドでの鑑定の結果はエンシェントドラゴンと出ているにぇ。だからエンシェントドラゴンの変異種でほぼ間違えないにぇ。」

「まさか…そんなことが…」



オニキスの説明を聞いて青ざめた表情となる歴史研究家の男。

そのやり取りをいまいち理解できていない他の参加者たちが集まり小さな声で話を始める。



「…おい、変異種って何のことだ?俺はあまりモンスターに詳しくないからよく分からないんだ。」

「自分もよく分かってないが、同じ種類のモンスターなのに見た目が違ったり、いつもと違う魔法を使ったりする個体の事だったと思う。そういうモンスターは同種のモンスターに比べて強いことが多いからあの男の反応も分かるさ。当然のことだがドラゴンなんて普段から見かけるようなモンスターでは無いから変異種は珍しいなんてもんじゃないぞ。」

「だよなぁ…あんな吸い込まれそうなほど美しい鱗を纏ったドラゴンがそうそう居てたまるかってな。」

「アレを美しいって思うのか……俺には触れた物を凍られる氷の刃のようにさえ見えるよ。」



見る角度によって違う色を写し、美しい暗さを見せながら怪しく輝く姿も見せる()()の鱗。

それはまさに人によって美しく見えたり恐怖を覚えたりする()そのものと言えよう。



「じゃあそろそろ本題に戻るけど、いいにぇ?」

「ほ、本題だって!?まだこれ以上の話があるっていうのか?」

「勘違いしてもらっちゃ困るにぇ。こっちはエンシェントドラゴンが出たって話をしたい訳じゃなくて、出てきたエンシェントドラゴンをどうやって倒すかって話をしたいんだにぇ。」



エンシェントドラゴンに勝つ。

その言葉によって冒険者ギルド全体が大きくざわめいたのは言うまでも無いだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ