28、蒼天とプリズムドラゴン
27話
冒険とは、険けわしきを、冒おかすとこ。─省略─
3話
いや、この世界に漢字の概念は無いのだが─省略─
変なところで矛盾が発生してましたが、色々忙しいのでこのミスはしばらく放置します。
迷いの無い足取りで新種と思われるモンスターの元へと向かう『蒼天の探求者』の4人、その顔から恐怖心はすでに消えていた。
冒険者としての経験は少ないが、それでもこの4人で乗り越えてきた困難は少なくはない。
自分たちに何ができるかという一点に重きを置き、出来ないことはしないという前提で立てられた今回の作戦は、あの巨体を目の前にしても揺るがない自信となったのだ。
その作戦の内容は主に隠密行動が中心となる。
まずは周囲の探索能力が最も優れている弓使いのタージャを先頭に、目的地付近で何が起きているかの確認をする。
その後、素材のお零れにあずかれるチャンスがあれば足に自信のあるジャンが駆け出して素材を奪取し逃走を図るという作戦だ。
なお、目的地付近に隠れられるような場所が無かったり新種のモンスターの付近にいる『何か』と敵対する場合は即撤退となる。
作戦と言うにはお粗末な内容ではあるが目的地付近の状況が分かっていない現状で立てられる作戦はこの程度が限界であり、裏を返せば彼らはこの程度の作戦しか思いつかなくても町のために動くことが出来るほどの正義感を持ったパーティだということであった。
これが正義感ではなく『新種のモンスターを発見した名誉と報酬』が目的であったなら、目の前のバケモノに立ち向かうほどの勇気は湧き起らなかっただろう。
「そういえば、一々『新種のモンスター』って言うのも面倒くさいから取りあえず仮の名前を付けておいた方がいいよな?アイツの事を指すのに毎回新種のモンスターって言う訳にもいかないし。」
「おや、ジャンにしては良い意見ですね。」
「一言余計だ!」
単純な煽りにも引っかかるジャンを無視し、テムジンは少し考え込んだ。
見た目通りにドラゴンと呼べばいいのだろうが、万が一通常のドラゴンが居た場合に名前が混同してしまう恐れがあるため違う名前にしておきたい。
いや、本来は万が一の確立であってもドラゴンっぽいものが2体同時に発見されるのもおかしな話なのだが、備えはあった方がいいという判断だった。
「…そうですね、見る角度によって鱗が七色に輝くドラゴンですから『プリズムドラゴン』はどうでしょうか?」
「かか、カッコいいんだな!」
「分かりやすい、問題ない。」
「ならアイツを仮にプリズムドラゴンと呼称するぞ。」
「名前を付けはのは私ですよ、いいところだけ持っていかないでください。」
「分かった分かった、そういうことにしておくから。」
「……はぁ。」
ため息を隠す気も無いテムジンだがリーダーであるジャンが意見を取りまとめるのは常識の範囲であるため、それ以上の追求を行うことはなかった。
そこからしばらくの間は会話も無く周囲を警戒して進行を続けていたが、索敵を担当しているタージャが右手を横に出して後続に続く3人に静止を促した。
「鹿が2頭、正面から、隠れて。」
頷く時間も惜しいため、各員がそれぞれ身近な場所に身を潜める。
体型の都合上トントンのお尻が隠れ切れていないが、それでも問題なく鹿2頭が走り去っていった。
「もも、もう大丈夫なんだな?」
「おかわり、グレーウルフの群れ、正面から。」
「げっ!?」
ジャンは苦虫を嚙み潰したような顔になってしまった。
今は出来るだけモンスターとの戦闘は避けたいのに、よりによって鼻の利くウルフ種であるグレーウルフが群れで接近してくるのだからジャンの反応は無理もない。
しかし、グレーウルフはジャンたちに気が付くこともなく、そのまま通り過ぎて行った。
最初は先ほどの鹿を追いかけているものだと思っていたが、鹿の逃げた方向とは別方向に駆け出していくようで、群れの後方の個体に至っては先行した群れを見失いかけており散り散りになりかけていた。
「おいおい、どうなってるんだコレ?」
「……プリズムドラゴンから逃げてきたのではないでしょうか?」
「逃げて来たって……アイツはまだ暴れているような素振りは見せてないぞ?」
「あのような巨体が突然現れたのです、驚いて逃げてくるのも無理は……突然現れた?」
何故今まで気にも留めなかったのか。
プリズムドラゴンの存在自体が印象に残り過ぎていたためか、真っ先に疑問に思うはずの問題を完全に見落としていた。
プリズムドラゴンは何故唐突に目の前に現れたのか?
そもそもモンスターが突発的に現れるという現象は存在しているのか?
これらの疑問を今考えるだけの余裕は無いため、結局は問題の先送りとなった。
「……まぁ、ギルドに報告するべき案件が増えただけです。この件の手がかりになりそうなものがあればついでに回収すればいいでしょう。」
「そうだな、運がいいんだかプリズムドラゴンは大分温厚なようだ。土煙があんなに大きくなってきてるのに、今だ戦闘行動は起こしていないからな。思っていた以上にゆっくり探索できるかもしれないぜ。」
「油断、大敵。」
「だな!だな!」
更に足を進めること数分後、プリズムドラゴンの足元が見える場所までたどり着いた4人だったが、そこで目にしたものはある意味でプリズムドラゴンを上回る光景だった。
「信じ、られない。」
「あの少女は…服装からして貴族の子でしょうか……それが…」
「マーブルウルフに跨って戦っている…だと?」
「だ、だな……」
彼らが発見したマーブルウルフに跨る貴族っぽい少女は勿論ベルのことであり、モンスターと共闘している謎の少女が戦闘している事への衝撃は凄まじい物であった。
その傍らで支援魔法を使っているフェゴールが無視される程度には。
早くも2種類目のウルフ型モンスターが登場
モンスターのボキャブラリーが心配になってきました




