187、新米戦:作戦会議
「考えても分からない事は一旦おいておこう。ネコさん、前にチラっとダンジョンを見せてもらったけどアレってちゃんと防衛に使えるの?」
モロハの理不尽さはとりあえず棚上げすることにした。
分からない事に時間を割いて無駄にしてしまうよりは、分かる事を整理する方が未来の役に立つ。
少なくとも手のひらを返した今のベルは勝利を目指しているのだから時間の使い方は重要なのだ。
「当然ニャ!見た目通りテーマパークとしての機能を残しつつダンジョンとしての防衛力を両立するためにこのダンジョンに住まう数々の仲間と共に無い知恵を振り絞って尽力したのニャ!」
「テーマパークとしても機能するんだ…」
いつぞやの夜に見かけたテーマパークのようになっていた自分のダンジョンを思い出しながら呟くベル。
あの時は観光気分で輝くイルミネーションを輝く瞳で追いかけていたが、いざ防衛面を考えると余計な機能が付いている自分のダンジョンが心配になってきたようだ。
「むしろそこには特に力を入れたのニャ。我が生まれた時には骨っ子から聞いた話でしかチビッ子を知らなかったけど、曰く【怠惰】の主は毎日本を読んでつまらない日常を誤魔化しながら生活している高貴なお方だって言っていたのニャ。」
「私ってキングさんからそんな風に思われていたんだ…」
「毎日コミックとライトノベルを読みながらカップ麺を食べていたあの頃のベルを考えると妥当な評価だと思うわ。」
「あれが楽しいんだけどなぁ…」
随分と食い違った印象を持っていたスケルトンキングの価値観も気になるところではあるが、今は重要な話ではないのでベルは本題に戻すことにした。
「そうじゃなくて防衛!そっちはどうなの?」
「もちろん抜かりなくニャ。ただ、あくまで娯楽施設の充実がメインだから大っぴらな罠は皆無にせざるを得なかったのニャ。チビッ子が自由勝手に歩き回って罠に引っかかったら目も当てられないからニャ。」
「むむむ…否定できない…」
「そこは否定してちょうだい。」
「そんなこんなで防衛用の仕掛けは手動で起動できるものか、テーマパークっぽいオブジェに偽装して設置しているのニャ。」
なるほど、とひと段落ついたケットシーの説明を納得したべる。
この後はモロハがこのダンジョンにたどり着くまでの間、ダンジョンに仕掛けられたトラップを確認したのであった。
(自分のダンジョンの仕様を配下のモンスターに教わるってどういう気分なのかしら?)
フェゴールの心の声は外に出る事は無かった。