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164、新米戦:一撃必殺

「地面が……光ってる!?」

「地面だけじゃない!壁も天井も、部屋全体に光の模様が溢れている!?」

「な、何が起こっているんスか!?」

「刮目せよ、この光を!これそこが我が固有スキルが持つ神聖なる力の一側面。多くの回復魔法は対象に触れておらんと使えぬが、『【聖域】の神気(サンクチュアリオーラ)』の中で唱えた回復魔法はその空間内に居る全ての味方に癒しの力を与えるのじゃ!」



部屋中を包み込んだ謎の光について朗々と語る【聖域】の顔は自信に満ち溢れていたが、ミントたちはいまいちに落ちないようだ。



「…ってそれだけ?」

「回復魔法が広がるだけの部屋に誘い出しただけで罠と言い張るのはちょっと無理があるっス。」

「その余裕はいつまで続くか見ものじゃの。やれ、ドッペルゲンガー!」

「承りました。」

「「「喋った!」」っス!」



そんな細かいところにツッコミを入れている間に詰め寄るドッペルゲンガーを迎撃するため詠唱を始めようとしたその時、自らの足元が何者かに捕まれている感触がした。

モロハ同様に他の三人の足元も地面から伸びた手によって拘束されたようだ。


しかし十分に予想できる奇襲なのでバニラはともかくミントとココアに焦りは見えない。



「きゃぁ、あ、足元に何かがいるぅ!!」

「そりゃモロハだけには付けないでしょうね。」

「でもこっちは遠くから魔法で貫くから関係ないっスよ!『螺旋を描く礫玉(ライフリングショット)』!!」



ココアが得意としている石ころを回転させて貫通力を持たせた攻撃を行う魔法は、見てからでは避けることが不可能ではないかと思える速度で飛距離を伸ばしていく。

重力など無かったかのように直線的に飛ばされた石ころはドッペルゲンガーの肩に見事命中して、その腕を派手に吹き飛ばした。

シャドウの上位というだけあり血が流れるようなことは無いようだが、腕一本を持っていく攻撃が致命傷でないはずがない。


だが──



「無駄じゃ!『治療球(ヒールボール)』」

「「『治療球(ヒールボール)』!!」」



【聖域】と手の空いているドッペルゲンガーが間髪入れずに回復魔法を詠唱する。

するとそれぞれの目の前に淡い光を放つ玉が浮かび上がり、その玉の光が部屋中に張り巡らされた模様を伝って全体に拡散されていく。

ふと視線を先ほど攻撃を受けたドッペルゲンガーに戻すと、吹き飛んだはずの腕が既に元通りの位置に、まるで何も無かったかのようにくっ付いていた。



「言い忘れておったが『【聖域】の神気(サンクチュアリオーラ)』にはもう一つの効果があるのじゃ。それはこの爺が呼び出した配下のモンスター全員が回復魔法を習得した状態で召喚される、という力じゃ。」

「つまりどういう事よ。」

「えーと、全員が回復魔法を使えてー、それでもってどこで回復魔法を使っても全員を回復する事か出来てー、つまり……どういう事っすか?」

「分からぬなら教えてやる、我々を倒すには一撃必殺以外には無いという事じゃ!」



どれだけ致命傷を与えたとしても直ぐに元通りに回復することが出来る鉄壁の回復地獄。

どうやらそれこそが【聖域】がふんぞり返っていられる自慢の戦術の正体であるようだ。



「ワーハッハッハー!!どうじゃ?絶望したか?それではドッペル──」

「『【諸刃】の一刀(オーバースラッシュ)』!!」

「──……んな!?」



小さく響いた少女の声。

あかく染まった銀の刀身が敵を文字通り一撃の元に下したのはその声の直後だった。

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