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161、新米戦:テッペンハゲ

♢♦♢



「やっと見つけたわ、隠し通路!」

「よ…よかった。この神殿が思ったよりも小さかったしダンジョンっぽさも無かったから、きっとあると思っってたんだけど。」

「流石よバニラ!こういうのはバニラに任せるのが正解だわ。」

「自分やミントちゃんは直感至上主義っスからね。」

「……脳筋。」

「アンタもこっち側の人間だからね。」

「モロハちゃんは人間じゃなくてダンジョンコアっスよ。」

「そんなの言葉のアヤよ。」



中央の聖堂から伸びる廊下はあったものの数部屋をぐるりと一周して戻ってくるだけの簡単な構造だった【聖域】の神殿。

いつまでもコアルームと思わしき部屋が見つからなかったのを怪しんだミントたちは数十分をかけてようやく地下に続く隠し通路を発見した。

彼女たちのパーティーには斥候を担当するメンバーがおらず誰一人として隠し通路やギミックに関する知識を有していなかったのが発見が遅れた理由であった。



「そもそも通路自体が入り口の女神像の下にあって、それも別室の棚の裏にあるスイッチを押さないと一切動かないって誰が分かるのよ!しかもご丁寧にダミーのスイッチまで用意して!」

「ホントにここのダンジョンコアは性格が悪いみたいっス。」

「あの…あまり陰口を言わない方が……()()()()()も見てるから…」



消え入りそうな声で後ろに顔を向けるバニラの目線を追うと、そこには入り口で現れた六体のシャドウの内の後ろに回り込んだ二体のシャドウが今だに遠巻きにミントたちを付けていた。

彼女たちが攻撃をするとなるとモロハは距離を積める必要があり、ミント、ココア、バニラの三人の魔術師は攻撃までに準備時間を必要とする。

それを利用して二体のシャドウは自身の能力で影の中を行き来しながらミントたちの尾行を続けているという訳だ。



「いいのよ、あんなコソコソした見張りなんて付けてくるようなヤツはどーせ最後まで自分で手を出さないタイプなんだから。むしろ向こうから出てきてくれるならいつでもハゲジジイって言ってやるわよ。」

「あ…あの人はハゲてなかったと思うんだけど。立派なおヒゲも伸ばしていたし。」

「かばう必要なんてないわ、ああいうのはヒゲだけ立派なテッペンハゲって相場が決まってんのよ!見張りを付けててこの会話を聞いてないって事もあり得ないのに、これだけあおっても出てこないって事はほぼ確定でしょ。」



ご本人が居ない事をいいことにツラツラとデリケートな話に踏み込むミント。

()を創作して人間を騙す者を()の話で侮辱していく神経の図太さはある意味冒険者に向いているのではないだろうか。



「ハゲでもハゲてなくてもどっちでもいいっスから、さっさと来るっスよ~!」

「……ん。」


「あ、ちょっと待ちなさいよ!」

「ミ、ミントちゃーん!おいてかないでー!」


二人のどうでもいい言い合いに飽きたのか、ココアとモロハは既に隠し通路の先にあった階段を下りた先で手を振って待っており、それを見たミントとバニラが慌てて走り出した。


斥候が居ないのは百歩譲って仕方が無いとしても、このパーティはもう少し罠に対する警戒心を鍛えた方が良さそうである。

台詞を大幅縮小された挙句ハゲキャラまで定着させられる【聖域】さんカワイソス

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