144、選手紹介
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……え、もう始めてもいいんスか?今日参加するダンジョンコアって四人なんスよね、会場入りしているダンジョンがまだ三つしか見えてないんスけど。
……『ちゃんとダンジョンコアは全員来ているから大丈夫』っスか?あ、本当だ、遠くて見にくいけどちゃんといるっスね。OK!んじゃ皆、リハーサル通り俺たちは頑張って盛り上げてこーぜ!
映像班、カメラ回して!
段雷(祭りや催し物が開催されたことを告げる音花火、運動会で打ち上げられるアレ)、発射ッ!!
ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!!
「YAAAAAA!!今日この日を今か今かと待ちわびた老若男女のダンジョンコアの諸君、ついに、ついについに、つーいーにー、新たなダンジョンコア同士の意地とプライドのぶつかり合いのォォォ!!ダンジョンバトル、新・米・戦!!それが今日、ついに、始まってしまうんだぜぇー!!」
ウオオォォォォォォ!!
「申し遅れましたァ、今日の実況もこのオレ【騒音】の苛烈なビィートに乗っけてェ、お送りいたすんだぜェ!!」
ウオォォォォォォ!!
「さてさてェ、試合開始まではもう少~しばかし時間があるようなのでェ、この時間を利用して今回の新米戦で熱い戦いを繰り広げるヒヨッコどもを紹介するぜェ!ちなみに情報ソースは創世神サマから直々に手渡された物なのであまり参考にはならないから注意な!!」
なんてたって創世神サマは俺らダンジョンコアと比べて大分時間間隔とか価値観が違ってらっしゃるうえに同じ場所ばかり見ている訳にもいかないからな。
悪く言ってアバウトな性格の神様が片手間に作った情報なんて鵜呑みにしない方が良いってのはダンジョンコア達の常識なんだぜ。
「まずは一人目ェ!!山火事で全焼した帝国領のとあるハゲ山に現れた動く鉄鉱山、鉄分豊富で頑丈なアイアンゴーレムどもを切り札にして後に続くは土人形のクレイゴーレム!自らがツルハシを振るい拡張したお手製ダンジョンは他選手の優勝を阻む鉄の要塞と成りえるのか!?【鋼鉄】選手だァ!!
いかつい顔面に学ランに鉄下駄、時代錯誤の漢の生きざまをその目で確かめろッ!!」
ウオォォォォォォ!!
「続いて二人目ェ!!共和国に突如現れた謎多き聖職者のおじいちゃん、その正体は教会とダンジョンの二世帯住宅で人間をハメ倒すインチキオヤジ!神の教えを人々に説きながら信者を神の元に直接ぶち込む腹黒詐欺師はいかなる手法で優勝をだまし取ろうと言うのか!?【聖域】選手ゥ!!
悪人はいつだって善人の顔を被って近づいてくるぞッ!!」
ウオォォォォォォ!!
「まだまだ行くぜ三人目ェ!!大樹海に人知れず舞い降りた可愛らしいベッドの番人、なのに率いるモンスターは新米とは思えない程に規格外!ポテチにスケルトンキングにプリンにエンシェントドラゴンとえげつない召喚歴は果たしてウソかマコトか、それとも創世神様の勘違いか!?【怠惰】選手ゥ!!
寝る時くらいはゴシックドレスを脱いでパジャマにした方が良いと思うぞ!」
ウオォォォォォォ!!
「最後に四人目ェ!!王国の冒険者ギルドにフラッと現れた新人冒険者、最初の依頼で迷子のネコを追いかけて次の護衛依頼で大樹海方面へと活動拠点を移動させたようだ!!ってなんだよこの情報、ダンジョンもモンスターも全然出てこねェ!?本当にやる気があるのかァ、【諸刃】選手ゥ!
なおモンスターでは無くパーティメンバーと思わしき三人の人間と共にエントリーだッ!!」
ウオォォォォォォ!!
「誰が勝つかはまだ分からない、されど結果は一つしか残らないッ!開始までの時間はまだ残っているがうるさい外野の案内は一旦終了させてもらうぜ!この後の新米戦の実況も引き続いてオレこと【騒音】が担当になるので、また会おうぜお前ら!じゃあな!!」
ウオォォォォォォ!!
よーし、とりあえずこんなもんだな。
そうそう音響担当は誰だ?俺が何か言うたびに「ウオォォォォォォ!!」って効果音付けられると盛り上がりはするけど喋りずらいんスよ。もうちょっと音量を──