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136、【怠惰】と一時間後

「──って、そんな感じで新米戦どうしよーって思っていたらダンジョンの仲間たちが先にダンジョンを創っててくれてたんだよね。」


コトッ……


「あら?ベルはダンジョンの創造をモンスターに一任されているのかしら?いいえ、その前にダンジョンの創造という大事な仕事を自身の配下とはいえモンスターにさせているのですね。」


パチンッ!!


「『配下』じゃなくて『仲間』だよ!私もまさかダンジョンを任せたって言っただけでダンジョンの拡張までしているとは思ってもみなかったけれど、私のために知恵を絞って頑張ってくれたんだから最低でも新米戦では仲間の創ってくれたダンジョンで戦ってみるつもりだよ。具体的に何をするかはまだ知らないけど。」


コトッ……


「……『配下』じゃなくて『仲間』……ふむ……つまりは名前通りの怠け癖が出た訳では無く信じたうえで任せたと?」


パチンッ!!


「さっきも言ったけど結果的にダンジョンを任せたようになっちゃったのは偶然だし、ぶっちゃけサボれてラッキーとも思っているよ。だけど私が作るよりもいいダンジョンにはなっているハズだよ。」


コトッ……


「その心は?」

「私って優しいみたいだからね。」

「……そうなのかもしれないわね。」


パチンッ!!


「……あの~、一つ言ってもいい?」

「何かしら?」

「さっきから石を置くときの音が怖いんだけど!」

「あら失礼。」



人にもよるが碁石を打つ際になる音は意外に響くものだ。

周りが開放的で音がこもらない樹海の中でも、目の前で強く石を打たれてビクッと来るのは仕方がない。


ガスティアの話は主に新米戦を中心とした雑談のようなものであった。

現在のダンジョン経営の調子はどうだとか、新米戦における意気込みはどうだとかのダンジョンコア特有の話題を囲碁の片手間にぽつぽつと話す程度で、どうやら何かしらの重要な事を伝えたかったような様子では無いようだ。

ベルが自身のダンジョンの管理を配下のモンスターに一任している事にはダンジョンコアとしてどうかと思ったようだが、ガスティアは黙認してくれるようだ。


石の音に対して苦言されたガスティアは先ほどまでと同じく背筋をピンと伸ばした体勢から出来る限りゆっくりと石を置く。

動きは遅くなったのに一連の動きが違和感なく行われている様子をベルは少しだけカッコいいと思ったようだ。






「皆集まっているな。今日はいよいよエンシェントドラゴンの偵察を行うぞ。」



オルスの一声に場の空気が一気に変わる。


時は変わり翌日の朝、いよいよ当初の目標であったエンシェントドラゴンの元まで移動する事になった。



「分かっているとは思うがあくまで偵察だぞ!目標に出来るだけ見つからないように近づいた後オニキスさ……ちゃんが持ち込んだ魔道具で鑑定を行う。この時点で向こうから発見されていなかったらトリルを中心にエンシェントドラゴンの存在を示せる痕跡を探ることになる。欲を言うなら素材になるものが良いそうだが、別に糞尿の類でも作戦としては上々だそうだ。何にせよ無理せず無事に帰還する事を最優先って書いてあったからな、変に欲をかかないようにな。……ジャン、ここからダンジョンまでどれくらいかかる?」

「一時間もかからないハズだ。」

「だそうだ。何か質問は?」



しばらくの沈黙の後、質問は無いと判断したオルスが続ける。



「じゃあ進行開始だ!!」

「「「おお!!」」」



先に歩き出したオルスに続いて各々が自分の荷物を担いで歩き始める。

そんな中ベルが変な顔をしているのにフェゴールが気が付いた。



「……どうしたのベル?」

「また頭の中に新米戦に関するメッセージが届いたんだ。」

「それで?」

「新米戦は一時間後だって。」

「……そういう情報はもうちょっと早めに送って欲しいものね。」



どうやらダンジョンバトル新米戦はオルスたちがダンジョンに到着してから数十分後に始まるようだ。

創世神の情報の遅さにフェゴールはため息しか出ないのであった。

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