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13、【怠惰】とジャイアントキラービー

そんなフェゴールの姿を見て調子に乗ってきたベル。

やや伸び始めたインスタント麺を気にしながらも次の妄想を始める。


「モンスターも何かいい子がいないかなぁ?」


モンスターのパラメーターにマイナスの数値を持つものは居ない。

なので鍵になるのはモンスターの持つスキルだとフェゴールはにらんでいた。


攻撃的なスキル、ブレスや超音波などのスキルの威力は大体がパラメーターの攻撃力や魔法攻撃力に依存している。

しかし威力こそなくてもスキルとして使える以上はいくつかの抜け道があるかもしれない。


攻撃的ではないスキルではあるが、あくまで生態の一つとしてとらえられているスライムの消化や、五大パラメーターではないMPに関わるスキルであるマナドールのマナバッテリーなど、このダンジョンで既に活躍しているモンスターはスキルによる恩恵が大きい。


それらの例があるなら、攻撃的なスキルにも何か抜け穴があるかもしれない、というのがフェゴールの考えだった。


しかしベルが攻撃的なスキルに魅力を感じるはすもなく、さらに注目した点はスキルでもなかった。


「おおぉ、ジャイアントキラービーだぁ!」

ハチ型モンスターの中で最も大きな個体よ。

同種同士の連携が取れていて巣に近づく者に対してとても好戦的、蜂型モンスターの中では珍しく毒を持たずに撃ちだした針の威力だけで戦う射撃型スタイルのモンスターね。」


そのサイズは環境によっては人間の身長すら超えることもあり、また飛行速度も羽の大きさに比例しているのかとても素早い。


そんなジャイアントキラービーの弱点、それは巣にさえ近づかなければ無害であることだ。

たとえば餌となる花の蜜を求めて遠出しているジャイアントキラービーと遭遇しても攻撃してこないし、危害を加えられたら反撃するものの一匹では連携できないため非常に弱い。


「一匹だけならDランクだけど、巣の攻略となると女王バチの存在も含めてBランクにまで跳ね上がる珍しいモンスターでもあるわね。」

「そうそう、だからこそ珍味なのよねー、ジャイアントキラービーの()()()()。」

「そうね、女王バチを含めた時の連携が…え、ハチミツ?」

「うん、ハチミツ。美味しそうだよねー。」


もしかしてハチミツが食べたいだけ?


そう思うと体が震えてきたフェゴール。

オリハルコンの時のような感動による震えではなく、不甲斐ない妹への怒りの震えだった。


「ちょ、ちょっとストップストップ!最後まで聞いてって。」


それを察したベルは慌てて訂正しようとするが、鬼の形相で肩を掴むフェゴールに阻まれる。


「最後まで聞かなくても分かっているからッ!1DPで出せる甘味がプリンとヨーグルトとチョコレートだけだとなげいていたからねッ!どうせこのダンジョンで養蜂だけでなく畜産や農業もはじめて食事のレパートリーを増やしたいだけなんでしょッ!」

「まあ、ゆくゆくはそうしたいんだけど…いてててててて!!」


攻撃力0のフェゴールに何をされたら痛がることが出来るのか。


ともかく火に油を注いでしまったベルはしばらく痛がり続けたのであった。






しばらくして…


「よくよく考えればジャイアントキラービーのハチミツは薬品の材料として用いることもあるし、ベルの言った通り珍味でもあるから価値は高いのよね。」

「そーなのー、攻撃力が0のジャイアントキラービーを無視してハチミツ取り放題だから効率がいいのー。」


フェゴールの怒りで完全に伸び切ったベルが疲れた表情でそう答えた。


ベルの言う通り『【怠惰】の烙印』の効果で戦闘力を持たないジャイアントキラービーを無視するのは難しくないだろう。

そもそもジャイアントキラービーの素材が貴重なのは、ジャイアントキラービーが強くて採取が難しいというだけで、別に採取量が少ない訳ではないのだ。

安定して採取できるようになるだけでちょっとした革命であり、そう考えるとベルの考えも悪くは無かった。


ただ甘い物を食べたいだけという動機を除けば、であるが。


そういえば、と何かを思い出したかのようにフェゴールか口を開く。


「さっきは勢いで言ったけど、本当に畜産や農業もはじめるつもりなの?」

「誰かがやってくれるなら試してもいいけど、まだ妄想だからね。」


そういえば妄想という設定だったのを思い出したフェゴール。

そりゃ【怠惰】の妄想なのだからダラダラするためのアイデアに偏るのは致し方がないのだろう。

思わずベルに怒りをぶつけてしまったが今度からは気を付けないと、と心に誓うフェゴールであった。


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