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121、【怠惰】とガスティア

作者「GWにかまけて遅れました」

フェ「相変わらず定期的な不定期更新ね」

西の空もすっかりと暗くなり焚火(たきび)で揺らめく灯りが頼もしく見える時間になったころ、ダンジョンの外れにあるテントの集合地帯には1()8()人の冒険者が集まっていた。



「…いや、ここにいるBランクのパーティって三人って聞いてたんだが何で四人いるんだ?てかそっちの三人とは樹海で会ったはずだから例のパーティなんだろうけどそっちの女は誰だよ!?」

「随分と小さなことを気にする人間ですわね。将来は他の追随も許すことなくキレイにハゲるに違いありませんわ。」

「あらあら~、キレイな赤髪でもキレイなハゲでもどっちもカッコいいんじゃないかしら~。」

「質問に答えろあとまだハゲる気はねぇ!!」



ジャンの目の前には目的の冒険者パーティである『忘れられた黄金』の三人組、オルス、エストリア、ハーデスの三人……だけではなく、ギルドで聞いていた情報にはない緑色の髪をなびかせる謎の女性も優雅に立っていた。

その格好は一件冒険者のようだがその正体はベル同様服装を冒険者風に装った【突風】であった。


午前中の探索ではジャンとテムジンが冒険者たちに接触することは出来なかったが、その実直な行動は確実に実っていた。

ジャンが声をかけた職人の何人かが『忘れられた黄金』に「君たちを探していた集団が居た」と伝えていたため円滑に合流することが出来たのだ。



「そこまで言われたからには名乗りましょう。わたくしの名は【とっ──」

「けふんけふん!」

「──失礼、私はガスティアと申します。以後お見知りおきを願いますわ、人間の男。」

「俺はジャンだ、覚えとけ高飛車女!」



エストリアのわざとらしい咳込みでガスティアという偽名を名乗った【突風】。

この名前を付けたのもエストリアで、その理由はベルの時と同様に【突風】という言葉が名前のニュアンスとして違和感があるからだそうだ。

ちなみに突風をそのまま言い換えるとガストになるのだが、それだとイメージ的に合わないと謎のこだわりを見せたエストリアの思いつきによってガスティアとなったそうだ。



「あ、あの~、そのガスティアさんとはどういう関係なんですか?」



おずおずとした態度で鋭い質問を飛ばしたのは意外にもバニラであった。

それもそのはず、真っ先にこの手の質問をするであろうミントやベルはバニラの視界の横で転がっているからだ。



「ふあぁ……」

「ふぃぃ……」

「これは…本当に良いものですね…」

「でしょ?クッションはまだまだあるからケンカしちゃダメだよ。」



クッションが争いの種になった理由は一つしかなかったからであるがベルが複数のクッションを持ち歩いていたことで一気に解決したため、現在はこうしてミント、タージャ、アルフレッド、ベルと並んで和やかなムードで決着している。

それでいいのかお前たち。


それはそれとしてバニラの質問に答えたのは剣と盾を持った男性、リーダーのオルスであった。



「ガスティアは他の町の冒険者だそうだ。だがモンスターの襲撃によって自分たちのパーティのメンバーと離れ離れになってしまったらしい。町に戻ろうにもコンパスを持っているのはリーダーだけ、保存食と水は全員で分配してたおかげで数日を凌いでこの場所までたどり着いたって話だ。所々ガタのついた建物しかなかったが何もないところで待っているよりは人工物のある場所で待ってた方が確立が高いから悪い判断ではない。実際に俺らと出会ったわけだし、な!」

「そんなみっともない事など私は認めていませんわ!」

「な、なるほど、そういう関係だったんですね。」



あらかじめ決めておいたであろうウソのシナリオをすっかり信じた様子のバニラ。

その場においても真っ先に怪しむであろうミントやアルフレッドが不在のためサクサクと話が進んでいく。


なお少々慌てた様子だったガスティアのセリフは一見ツンデレの常套句のように聞こえるが、本当のところは『変な設定を勝手に付けるな』と言っているのである。


何故か【突風】ことガスティアも混ざっているが、ともあれこれでようやくベルのダンジョンに行く用意が出来そうである。

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