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第三章その6

 自警団の結成から一週間が過ぎたある日、フィンシードは執務室でデュラムらから報告を受けていた。

「……というわけで、自警団の活動は今のところ順調です。遠からず犯罪被害の減少という報告ができると思います」

「トラブルも起きていないんだな?」

「はい。今のところは、ですが」

 デュラムはそう報告を締めくくった。

「……殿下、あまり嬉しそうではありませんな」

「あ……うん、そうだな」

 フィンシードは力なく笑う。

「自警団の活動が上手くいって、それが治安の回復につながるのは良い事に違いない。でも……」

「でも?」

「覚えているかな? 初めてエドヴァルド将軍に会いに行った時の帰りに、何者かに襲われた事」

「ええ、覚えていますよ。大した奴らではありませんでしたが」

 ミーティアと共に直に剣を交えたデュラムが答えた。

「あいつら、今頃どうしているのかなって思って」

「………」

「金に困って犯罪に走っているのなら、自警団のせいで今頃は喰うに困っているんじゃないかって」

「……やれやれ、襲ってきた相手の事を心配するとは。殿下は本当に甘い方ですな」

「甘いのは自覚しているよ。ルーンバウムの人の事を心配しても、僕達にできる事は何もない事もね」

 フィンシードは自虐的に笑う。

 口を挟んだのは公使のラーカイラムだった。

「そこが殿下の良いところなのでしょう。甘いところも、その甘さを自覚していらっしゃる事も」

「それは私もわかっていますよ」

 苦笑いを浮かべるデュラムは、この中で一番フィンシードとの付き合いが長い。

「そう言ってもらえると僕も助かるよ」

 フィンシードも苦笑いを浮かべる。

 自分が大使を務めていられるのは王子という身分があるからではない。

 デュラムやラーカイラムらが自分の考えを認め、支えてくれているからだ。

 その時、執務室にノックの音が響いた。

「殿下、ちょっとよろしいでしょうか?」

 入ってきたのはクリーズだった。

 来客という事で、席を外していたのだが。

「どうした?」

「いえ、ちょっと面倒な事が……できれば殿下にご足労願いたいのですが」

「わかった。行こう」

「ありがとうございます。詳しい事は歩きながら説明します」

 そしてフィンシードとクリーズは執務室を出て行く。

 二人が向かうのは応接室……。

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