表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/43

第三章その5

 それから数日後の事。

 ハーディングとクリーズの二人が揃って食堂にやってきた。

 居合わせたのはメイド三姉妹の次女ルナである。

「ルナちゃん、ちょどいいところにいた! お祝いだ! 酒持ってこい!」

「こら! まだ昼間だろ! ルナちゃん、麦茶を持ってきてくれないか?」

「は~い♪」

 ルナは元気に返事をすると、軽やかなステップで厨房へ駆けていく。

 程なく、琥珀色の液体が入ったコップを三つ持って戻ってきた。

 コップの中身に口を付けて、ハーディングは相好を崩し、クリーズは眉をひそめた。

 ルナもちゃっかり自分のコップに口を付けてニコニコしている。

「アリシアさんには内緒ですよ♪」

「そうだな。俺達はもう立派な共犯者だし」

「俺は巻き込まれただけなんだが……全く、しょうがない奴らだ」

 ぶつぶつ言いながら、クリーズも結局は「コップの中身」にちびちびと口を付ける。

「ところで何か良い事があったんですか?」

「うん、実は自警団ができる事になったんだ。これで治安回復の道筋ができた事になる」

「わあ! おめでとうございます! これで安心して出歩けるようになりますね!」

「……いや、自警団はまだできてないし、できても効果が上がるのはそのまた先だよ」

「ええ~、そうなんですか~? がっかりです~」

 しょんぼりと落ち込むルナ。

「まあ仕方ないんだ。急いでも良い事は何もない。何事もゆっくり焦らず、だよ」

 苦笑いを浮かべるクリーズ。

 自警団を提案するまでが自分達の仕事であり、実際に作るのはルーンバウムの人達である。

 自分達にとっては肩の荷が下りたところだが、ルーンバウムの人達にとってはまだまだこれからという事になる。

 成果が得られるまでは指をくわえて見ているしかない。

「やあ、みなさんお揃いですね」

「あっ、アルドさん」

「ルナちゃん、麦茶をもらえるかな?」

「は~い♪」

 パタパタと駆けていくルナ。

 アルドは適当な席に座る。

「えらくご機嫌じゃないか。薬師の手伝いは慣れたのか?」

「ええ、薬師の勉強も楽しくなってきたし、何よりシルヴィールさんが良くしてくれますから。知ってました? 服装も髪型も無頓着な人だから気付かないかも知れないけど、シルヴィールさんって結構美人なんですよ」

「……………」

「……………」

「アルドさん、麦茶ですよ」

「ありがとう。いただくね」

 アルドは麦茶のコップを受け取ると、ぐいーっと一気に飲み干してしまった。

「じゃあ行きますね。シルヴィールさんは午後からは留守だけど、勉強しなくちゃいけないんで。怪我とかしたらすぐに来て下さい……とは、まだ胸を張っては言えませんけど」

「……………」

「……………」

「……………」

 そしてアルドはしゅたっと片手を挙げると、呆気にとられる三人をよそに食堂を出て行った。

 クリーズとハーディングは呆然としながら言葉を交わす。

「……医務室で何があったんだ?」

「……俺が知りたいよ」

「……女は魔物だな」

「……その通りだな」

「あのう……何がどうしたんですか?」

「ルナちゃんは知らなくて良い事だから」

「そうそう、できれば知らないままでいてくれ」

「はあ……」

 二人はしみじみと語り、ルナは首を傾げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ