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第三章その4
「……どうして僕があなたの助手なんですか?」
数時間後、アルドは呼び出されて医務室にいた。
目の前には薬師のシルヴィールが足を組んで椅子に座り、にやにやと笑っている。
ついさっきまで言い合いをして、もうしばらく顔を見る事もないだろうと思っていたのに。
「どうしてだと思う?」
「……………」
「ただの嫌がらせに決まってるじゃないか」
「……………」
「医務室に一日中薬師が必要だと言い出したのはお前だし、助手を付けるのにも反対しなかったし、デュラム殿も快く許可してくれた」
「確かにそうですが……」
「まさかイヤだとは言わないよな? あれだけ強く主張しておいて」
「……………」
「まあこれからよろしく頼むよ。楽しみだなあ。明日からどうやっていびってやろうか」
「……………」
どうしてこうなったんだろう?
女は魔物というが、シルヴィールの笑顔は口の両端が耳元まで裂けた悪魔の笑いにしか見えなかった。