「戦え!機神エルベラ」その11
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『ムーちゃんの撃破──あらためておめでとうございます』
いかにも不服そうで、投げやりな声が響いた。
『エルベラの性能は十二分に観測できました。
つきましてはわたくし召喚兵器ミコト・サモンナイトは、
貴方の監視役兼相棒として、表から裏から常に付き従い、
従順に奉仕するよう上層部から命令されています…。
うー…ですから…今後とも…その…よろしくごにょごにょ』
いや…どれだけ僕が勝ったのが不満なんだよ。ちゃんと挨拶くらいしろ。
『(ちっ、死ねばよかったのに)』
聞こえてるし。
まったく…階級が無いことをさっぴいてもこいつの礼儀作法はかなり怪しい。
イチから教育してやらねばならんな。
厳格な階級社会に生まれついた僕にとって、それはそれで、新たな人間関係だった。
『かっかっか。どうじゃ婿殿、エルベラの乗り心地は』
やけに快活で朗々とした、それでいて不愉快な老人の笑い声が響いた。
『最高じゃったろ?ああ、機体の損傷については心配しなくても大丈夫。
わしが周りの村や自然を元に戻すついでに修復しておいてやるゆえ』
そんなこと出来るのか。つくづく化け物だなお前。
『誰も死なないハッピーエンドを約束してしまったからのう』
…そうか。まぁこれからも整備を担当してくれると有難い。
『ところでいつかこっそりチルちゃんの乗り心地の感想もきかせ』
僕は回線を切った。
「ジョージ様っ!?大丈夫ですか!?生きてますかっ」
生きてるよ。
「ああ良かったっ!」
さすがに全身ぼろぼろだけど…
というか僕っていつも満身創痍だよな…
怪我してない時の方が少ないってどういうことだよ…
「これからはジョージ様を傷つける輩は私が退治して差し上げますからねっ」
ふっ…今回僕を最も傷つけたのって多分貴様だけどな。
「えへへ、それは言わないお約束で…
私だって背中を串刺しにされたりしたんですよ?わすれがちですけど」
それにしても疲れた。もう体の感覚が無いよ。いまどんな姿勢かもわからない。
たぶん操縦室でひとり倒れてるんだろうけど。
「いいえ、ジョージ様はひとりじゃありません」
どういうことだ? …そういえば貴様だけ何だか妙に声が近いな。
「そりゃそうですよー。
ジョージ様はいま、わたしに膝枕されてるんですから」
こいつ。ここぞとばかりに勝手な真似を。
恥ずかしいやら悔しいやら。
でもまぁいい。優しく髪をなでるチルティスの指を跳ね除ける気力もない。
疲れたからとりあえず今後のことは一眠りしてから考えることにしよう。
操縦室でふたりきり。
寄り添いながら顔をみあわせていると照れくさいので僕は目をつぶった。
「お疲れ様でした。エルベラを守ってくれて有難う、小さな勇者さま。
じゃあ──ゆっくりおやすみなさい」
はいはい、おやすみなさい。
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