表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機神エルベラ  作者: 楽音寺
第一章 響け!ウェディングマーチ
12/71

「響け!ウェディングマーチ」その12

-12-



いつの間にか夕方になっていて山脈の空は赤く染まっていた。

綺麗だ。

雲がどこまでも遠くに続いている。


僕は母に背負われているようだった。

まだ頭がぼーっとする。酒の魔力か。

おんぶされるのは照れくさいが体が動かない。


目覚めたのね、と彼女は言う。



「ん・・・チルティスは?」

「先に帰ったわよ。彼女、いい娘ね。つきあうの?」



まさか。ばかばかしい。



「そうよね。まだちょっと早いわ」


短く言う。



なんだ、心配してるのか?


「あたりまえじゃない。母親だもの」


あっそう。




「ところで」


ジェノバは、僕を振り返ることなく、低い声で言った。



「──バレてはいないでしょうね」



どきん。

心臓が高鳴った。

僕がラグネロの刺客であることが露見していないか。そういう問いだ。


「もしバレていたらあんたも始末される。

エルベラの人間と必要以上に仲良くなるのはやめときなさい」



「……」

仲良くどころか結婚しようとまで言われている。

しかもジーンが出した条件は都合が良すぎて、破格すぎて、

僕が故郷を捨ててエルベラ側についたと憶測されるには十分なものだった。


作戦上の嘘だという言い訳が・・・果たしてラグネロ上層部に通用するだろうか?




僕は・・・「わかった」とだけ言って、沈黙した。



「そう、ならいいよ・・・


ああそうだ、今夜、魔獣バハムートが街を襲うからね。

あんたは領主ジーンをいいくるめて孤軍要塞"エルベラ"を起動させなさい。

一度エルベラの力を見ておきたいとの、上層部からの命令よ」



え。





非情なる運命の歯車は、ちっぽけな僕の思いなどお構いなしに回り始める。



少しづつ打ち解けてきたチルティスも。


好きになってきた街の住民たちも。


全てを破壊する力が──その夜、エルベラにやってきた。





→[[戦え!機神エルベラ]]へ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ