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ワンコイン・ライブ  作者: 藻塩 綾香
残り3日 一緒にゲーム
27/43

26話 その力はどこから……

「綾香すごいじょうずじゃないか?」

「いえ……そんなことはありませんよ」


 そういいながら、少し緊張した面持ちで画面を見つめる。


 画面が切り変わる。

 次のコースは、スイーツキャニオンというコースだ。


 このコースは先程のマリオカートスタジアムや、ウォーターパークに比べ、とてもカーブが多く、ハンドリングが難しいコースとなる。

 更に、カーブの先には落下箇所が設置されており、落ちると大きなタイムロスを生んでしまう場所もあるため、先程のコースに比べて難しく感じてしまう。


 画面に映し出されたのは、ケーキで作られた山にハチミツの滝。さらには、背景全てがお菓子で構成されたコースだ。

 全体的に茶色で、クリームの塗ってないケーキ生地を思わせる。

 

 実質、ケーキの生地が多く使われており、クッキーやチョコレートなど茶色を思わせる色が多く含まれている。


「綾香」

「はい?」

「このコースは、曲がり角が多いから注意な。あと、コースからはみ出たら落下する箇所とかもあるから気をつけて」


「落下する箇所ですか?」

「まぁ、落とし穴でタイムロスって思ってくれれば良いと思う」


 俺がそういうと、綾香は「落とし穴……タイムロス……」と唱えだす。


 しかし、実際そんな箇所はあまり多くは配置されておらず、あくまで少し配置されているだけだ。カーブの中腹にあったりと、カーブをまっすぐ進むなんて事をしなければ、まず落ちる危険は無い。


 画面の中には、CPUを含めたキャラクターがずらっと並んでいる。その中で、一位から四位までを俺達が占めていた。


 観客席には、どこかのおとぎの国でみたことがあるような、人型のクッキーがこちらに向かって、声援を送っている。


 画面下に『3rdレース』と表示され、画面中央では大きな文字でカウントが始まる。


「綾香、ロケットスタートの仕方は大丈夫だよな?」

「はい。さっき教わりましたし」

「なら良い」


 そういうと、俺は数字が二になったと同時にボタンを押す。


 俺の操るキャラクターが乗るカートから、灰色の煙がマフラーから溢れ、今か今かとばかりにタイヤが回転しだす。土煙を上げながら、時が来るのを待つ。


 カウントダウンがゼロになり『GO!』と表記されたのと同時に、カートは大きくスタートダッシュを切る。


 前にいる綾香もうまくスタートダッシュが切れたようで、同じように加速のエフェクトがついている。後ろの二人も、加速エフェクトがついており、俺達をおう構造となっていた。

 

 俺の前に走るのは綾香。スタートしたばかりで、距離はあまり開いていないが、ここからどれだけ離されずに、追い越せるかが重要になってくる。


 加速エフェクトが消えたと思ったら、スタートからの直線が切れる。そして、アイテムが並んだカーブが見えてくる。


 俺は一歩前で、ミニターボをかける。

 ガードレールによって仕切られたコースからはみださないように、コーナリングを切っていく。ギリギリを狙って、ハンドルを回す。


 一番内側のアイテムを取る。


 画面の左上で、アイテムがランダムでシャッフルされる。


 アイテムは、順位によって出てくる確率が違ってくる。


 順位が高いほど、バナナやトリプルバナナといった設置するアイテムの確立が高い。逆に、順位が低いほど、ミドリこうらやアカこうらなどが高くなる。更に順位が低くなると、キラーやキノコといったアイテムの確立が増えてくる。


 確定したアイテムは、バナナだった。この順位ならば、仕方がないといえる。


 アイテムを確認すると、バナナを後ろに設置。当たるか当たらないかは、運しだいなので、なんとも言えない。


 そしてすぐさまカーブに差し掛かる。そして、そこでもこまめにミニターボをかける。


 トンネル内にはいり、カートがライトをつけコースを照らしていく。しかし、画面が明るいので、効果は薄い。


 かなりの急カーブを曲がっていく。


 その途中で、ミニターボの火花の色が青から金色へと変わる。その瞬間に、すぐさまボタンをはずし加速。


 だが、そこで終わらない。まだカーブは続いているのだ。


 そこで、更にミニターボをかけていく。二段構えでの、ミニターボだ。最初のミニターボでは少しだけの加速となるが、二回目は本命での加速。


 カーブが終わり、直線の道へと入っていく。そして、火花の色が青から金色へと、色が変わった瞬間に、加速。


 グンッとカートが加速して、同じように加速をしている綾香を追い抜く。


「あっ……」


 となりで、綾香が小さく声を漏らす。しかし、それ以外に気にならないほど、今はこのレースに集中していた。


 結衣も妹も、小さく会話することはあっても、ほとんど無口となっていた。それだけ、この試合は白熱していた。


 開始して何秒という短い時間だが、ここで前に離されるわけにはいかないのだ。まだ、二周も残っているのだ。ここで離されたら、追いつくのはかなり困難になってくる。


 カートがまだ加速している最中に、トンネルを抜けると同時に青いラインを踏み、カートが空を飛ぶ。


 カートからは、グライダーが開き空中でものすごいスピードで飛んでいく。まるで、大砲から発射された、砲弾にでもなっている気分だ。


 ハチミツの海が、画面いっぱいに広がり黄色が多くなる。しかし、すぐさま次のコースへと、着地。グライダーが自動で収納される。


 ここからは、螺旋階段のようなコースになっている。どれだけミニターボがかけられるかがかぎになってくる。


 ケーキのパン生地のような壁に沿って、少しずつミニターボをかけていき、金色へと火花の色が変わった瞬間に、加速。加速が終わったと思ったら、すぐさまミニターボと接続させる。


 ミニターボが2回し終わったとき、画面下にアカこうらのアイテムが表示される。これは、後ろからアカこうらが来ていることを知らせるためだ。


 アカこうらを避けるのは、不可能といって良いほど難しい。


 カートにアカこうらが激突。そして、カートが二回ほど空中で回転すると同時に、加速が止まり速度がゼロになり、完全に停止。


 後ろから綾香が加速しながら、俺を追い抜いていく。


「雄一さん、お先です」


 嬉しそうに、俺を追い抜かしていく綾香。それに続いて妹と結衣も「ざまぁ」と言いながら追い抜いていく。


 少し二人にイラッとしながらも、ここで負けるわけには行かないので、再度アクセルを踏む。カートがゆっくりと、進み、そこからカートの速度が上がっていく。


 しかし、ここで俺の順位は一位から四位へと一気に下がったわけだ。ここから、どう追い返していこうと考える。


 そしてすぐにでも、かーとはマックススピードに到達する。


 そして、カートは目の前にある水の中へと、何の躊躇いもなく突っ込んでいく。さりげなくアイテムをとりつつ前進。


 アイテムは、ミドリこうらだった。当てるのが苦手なので、良いとも悪いとも言えないアイテムだ。


 カートはコースに引かれている青いラインを踏んだと思うと、反重力モードへと移行。多少の加速時間をはさみながら、コースを進んでいく。


 進すんでいくと、水中から陸上へと変わるが、反重力モードのままで走行していく。


 少し前には、妹が見え、次に結衣が見えた。

俺は、妹に何とか追いつこうとする。


 すぐさまカーブに差し掛かり、俺はここも見逃すことなくミニターボをかけていく。できるだけインコースを意識して、走行。

 

 火花が金色へと変化した瞬間に加速。次のカーブでも、ミニターボをかけ加速。


 そして、すぐにも妹の後ろに付く。そして、俺は妹の後ろまで追いつくと、ミドリこうらを使用。


 妹は呆気なく、ミドリこうらにあたり大きく回転して、タイムロスをする。


「ちょっと、お兄ちゃんヒドイ」

「いや、ヒドイもないだろ。こういうゲームだし」


 ミドリこうらは、まっすぐにしか飛ばないアイテムだ。アカこうらのような自動追尾の性能はない。だがら、わざわざ後ろまで回りこみ、回避できない距離まで近づいてから使用する。


 すると、自然と回避できずミドリこうらの餌食となるのだ。


「えっ、コレって私ピンチ」


 そういいながら、二位の結衣がいう。

 

 距離だけで言ったら、近いといえば近いが、遠いといえば遠いという、微妙な距離感にある。追いつけそうで、追いつかないといった距離だ。


 アイテムは今は何も持っていないが、目の前にアイテムがあり、それを見逃さずに取る。


 だが、ここで取ったアイテムはトリプルミドリこうらだった。つくづくミドリこうらに好かれているようだ。


 それを確認しつつ、ハンドルを操作してジャンプ台でジャンプ。すると、カートが加速する。


 ここからのコースは、うねうねとしてまるでSのようなカーブが続いていく。


 ここではいちいちインコースは取っていけないので、ミニターボをかけながらコースの真ん中をうまく突き抜けていく。


 結衣との距離もずいぶん近くなって来た。もう少しだ。


 だが、この先大きなジャンプ台も設置されており、そこを向けるとスタート地点は目と鼻の先になる。


 結衣はとの距離は少しだけ離れているが、俺はミドリこうらを三つのうち二つを使用。カートから投げられた、ミドリこうらは、結衣のいる方向へと向かっていくが、当たるには至らず結衣を追い越していく。


 結衣が大きなジャンプ台でジャンプした後、俺もその後ろに続きジャンプ。


 もう、結衣との距離は徐々に縮まりつつある。


 俺は、残った一つのミドリこうらを、運任せに使う。投げられたミドリ甲羅は、結衣も元へと行き、思いっきり激突。


 カートは大きく回転したと同時に停止。


 その横を俺が、抜いていく。


「雄一ずるい」

「お前もそれを言うか。こういうゲームだから仕方がないだろ」


 そういいつつ、俺はスタート地点を越える。


 残り二ラップとなった。

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