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ワンコイン・ライブ  作者: 藻塩 綾香
残り3日 一緒にゲーム
24/43

23話 マリオカート

 テレビで先程まで流れていた映画が終わり、スタッフロールが流れる。黒い背景に淡々と作品に協力したスタッフや、映画に投資した会社などさまざまな情報が流れていた。


 横でテレビを見る、綾香は凄く満足げな表情でテレビを見ていた。


「いやぁ、こういうのって私見たことないからなんか新鮮だったなぁ」


 そう言いながら、腕を組み伸びをする結衣。途中で、こくりこくりと船を漕いでいたのは、きっと俺の気のせいだと思いながら胸の中にとどめておく。


「結衣って普段どういう映画見るんだ?」

「まぁ、ディスニー映画とかジフリとか見るよ。他は、金曜ロードSHOWとかでやってるのとか」

「へぇ~」


 そう思いつつ、俺は立ち上がりテレビの近くに設置してあるブルーレイディスクを取り、ケースにしまう。そしてそれを店貸出の袋に入れて完了である。


「綾香はどんな映画を見るんだ?」

「私は、今みたいな洋画も好きですし、日本の映画も好きですよ。でも、映画なんて見る暇が少ないので、機会もあまりないのですが」

「絢香って忙しいんだ」

「まぁ」


 そう言って、俺は袋を机の上に置いておく。


「あっ!! マリオカートがある!!」


 結衣が指を差しながら言う。


 一応、この前発売された新媒体でのマイオカートは買っていた。妹がどうしても欲しいというので、俺とお金を半分づつ出し合って買ったものだ。

 しかし、俺が使用する機会も少ないので基本は妹が使っている。


「なんだ? やるか?」

「えっ、良いの?」

「別に悪くはないだろ? 一応コントローラーは四つあるし」


 俺はコントローラーを四つ取り出し、綾香、結衣、妹にそれぞれ渡す。そして、更に漁りこのゲーム専用のコントローラーを取りだす。


「なんか、雄一って無駄に準備が良いのは昔から変わらないね」

「あぁ、まぁ色々とあったときに楽だからな」

「その色々がわからないんだけどなぁ。まぁ良いか」


 そう言いながら、結衣は手馴れた手つきでコントローラーをはめていく。しかし、綾香は慣れていない様子でコントローラーをガチャガチャやっている。まてまて、壊れちゃうから。


「綾香、中央にくぼみあるだろ? そこに向きを合わせてつければ入るぞ」

「えっ、はい」


 そういうと、結衣の完成品をみてようやく理解したのか、ガチャっとコントローラーをはめる。これで、一応完成だ。


 俺は、その間据え置きゲーム機を起動させる。電源ボタンを押し、テレビで軽く設定をいじる。すると、画面が切り替わりゲーム機のホーム画面へと移行する。


「お兄ちゃんって、乗り物系のゲームがすごい苦手なんですよ。綾香さんでも、勝てちゃいます」

「いや、今のところ三勝しかできていない妹に言われたくないな」

「お兄ちゃん、嘘は良くないぞ」

「嘘ついているのは、お前だろ……」

 

 自分の妹だと思うと、とても情けなくなってしまう。これが、俺より成績がいいと考えるだけで、きっと勘違いだろうと思いたくなる。


 設定が終わり、いよいよゲームが開始する。


 画面が再度移り変わる。


 青色の画面が印象的なホーム画面へと移り変わる。そして、赤い帽子を被ったキャラクターが「オリオカート、エイト!!」と元気な声でオープニングを知らせる。


「あ~、このキャラクターCMで見たことあります」

「結構有名だしな。見たことくらいはあるんじゃないか?」


 隣で画面を食い入るように見つめる、綾香を横目に心が踊り立つような感覚に駆られていた。


 こんな中途半端は形とはいえ、自宅に来るなんてことがあるとは予想外だった。しかし、うれしいのも本音である。


「まぁ、案外簡単だから大丈夫だろ」

「雄一、一応難易度は簡単なやつでいいよね?」

「良いだろ。俺も、あんまり詳しくないし」


 画面に出てきた難易度の中で一番簡単な『50cc』を選択。久しぶりすぎるせいか、不安になってくる。


「合ってるよな?」

「大丈夫、合ってるから」


 そういうと、キャラクターを設定する画面に変わる。なんか、毎度思ってしまうのだが頭だけの表示に違和感を覚えてしまう。


 このキャラクターには、重量と言うものが存在する。重量によって、速度や加速といったスピードから、曲がりやすさすべりやすさなどが設定されている。

 

 俺は、一通りキャラクターを目に通す。


「私、これしよっと」


 結衣は自分のカーソルを移動させると、『ベビーロゼッタ』というキャラクタを選択した。

 ロゼッタという金髪の女性キャラがいて、その赤ちゃんバージョンがこのキャラクターである。


 妹もキャラクターを選んだようだ。選択したのは『クッパ』というキャラクターだ。

 クッパは、マリオシリーズのボスキャラとしている。亀のような容姿だが、背中にゴツゴツとしたトゲが生えていたり、牙が生えていたりとボスキャラらしい容姿をしている。


「雄一さん……私何にすれば良いんでしょうか?」


 隣で小首をかしげながら、こちらに反応を求める綾香。


「マリオカートなんて、キャラクターは特に気にしなくて良いから、自分の好きって思ったキャラクターで良いよ」

「そうですか……」

「もし、すごい悩んでるならあの赤い帽子の人か、緑の帽子の人が使いやすいかな」


 そういうと、綾香は悩んだような表情をすると、カーソルを動かす。そして、選んだのは赤い帽子は赤い帽子なのだが、背丈が違った。『ベビーマリオ』というキャラクターだ。

 マリオシリーズ主人公のマリオが赤ちゃんバージョンがこのキャラクターである。


「綾香さん、かわいいの選びましたね」

「雄一さんが、赤い帽子の人をおすすめしてくれたので、折角なので選んでみました」

「雄一は何にするの?」


 結衣が聞いてくると同時に、キャラクターを選択し終えたところだった。


「俺は基本ヘイホーだからな。今回もこいつだな」


 ヘイホーは赤い服に白色の仮面をつけた、マリオシリーズでは敵キャラとしてのイメージが強い。


「お兄ちゃん、もうちょっとちゃんとした人を選べないのかな……」

「おい、それは意味をはきちがえるから止めろ」

「はいはい」


 そんな雑談を交わしつつ、画面が移動。

 今度は、カートを選ぶ画面へと移る。


 マリオカートでは乗れる乗り物は、カート、バイク、バギーの三種類に分けられる。

 

 それ以外にも、乗り物のパーツを設定することも可能となっている。パーツは、マシン、タイヤ、グライダーの三つに分けられ、変更が可能となっている。


 パーツの組み合わせによって、スピードの加速や曲がりやすさなども曲がってくるの。マリオカードで時間を争うなら、慎重に選びたいところでもある。


 結衣と妹は慣れた手つきで、カートをカスタマイズしていく。

 

 結衣は毎回バイクを選択しているのだが、そのカスタマイズに統一性は一切無く、毎回ランダムな組み合わせにしている。このランダムもなんだか、慣れた手つきに見える。


 妹はスピード重視の組み合わせで、ターボ・ワン、スリックタイヤ、もくもくバルーンでカスタマイズしている。それぞれ、スピード特化といってもいいほど、速度が出る。


 しかし、選択したキャラクターがクッパだけに、曲がりにくいのが難点でもある。


 隣の綾香を見てみると、カートなどをひとつひとつ見て回っているようで、なかなか決まらないようだ。


 カートが全部そろっているところなどを見ると、過去の頑張りが思い出される。


 キャラクターのアンロックに加え、マシンパーツのアンロック、最後にハンコというのがあるのだがそれも半分以上取っている。それを、思い返すと自分の頑張りを褒め称えたくなる。


 そんな感情に浸りながらも、自分もカスタマイズしていく。

 選んだマシンパーツは、ターボ・ワン、スカイローラー、もくもくバルーンである。


 ほとんど妹と同じような構成だが、パーツの少なさや性能を考えたら、どうしても片寄りが生まれてしまっている。


 自分のカスタマイズをし終えると、綾香のほうを見る。今だに悩んでいるようだった。


「雄一さん、何かおすすめの組み合わせないですか?」


 そういうと、綾香はこちらにリモコンを渡してくる。


「お願いします」


 そう良いながら、少しだけ赤面した表情でこちらに頼んでくる。

 そんな言い方されたら、断れないじゃないか。そんなことを思いつつ、リモコンを受け取ると、心の中では張り切っている自分がいた。


 綾香が初心者だということを考慮すると、あまりスピードを出しすぎて壁に当たってしまうことや、コースからの落下などが起きない事を考えると、スピードは捨てて良いだろう。


 重要なのは、操作のしやすさだろう。

 そう考えると、最善なのはスピード重視などではない、バランスがちゃんと取れている組み合わせが一番だろう。


 そう考えると、一通りの組み合わせが思いついた。その組み合わせは、ターボ・ワン、スリックタイヤ、もくもくバルーンだろう。


 やはり、なんだかんだ言いつつ同じような組み合わせになってしまった。しかし、やっぱりこれ以外思いつかなかったので、今の自分の中では最高のカスタマイズではないだろうか。


「こんな、感じかな?」

「ありがとうございます。雄一さん」


 完了したのを確認すると、リモコンを綾香に渡す。


 綾香は小さく微笑むと、すぐに画面へと顔を向ける。

 その微笑が、わざとなのか、それともたまたまなのかはわからないが、確実に俺の心臓が大きく跳ね上がったのを感じた。


「それじゃあ、コースを選んで始めるか」

「おー!!」


 元気な声で腕を上げる結衣。それにつられ、妹も「おー!!」と元気にいう。綾香も、少し緊張気味なのか、リモコンのハンドルをぎゅっと握っていた。


 俺は、コースを選びながら、綾香の肩にそっと手を添える。


「まぁ、ゲームだからあんまり緊張しなくても良いぞ」

「……そうですね」


 そういった綾香の肩は、緊張が解けたのか肩の力が抜ける。


「はじめるか」

今回、任天堂様のマリオカート8を使用させていただきました。

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