表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/41

第九話 共犯



お薬ふにゃふにゃ事件の翌日、私は、まだすやすやと眠るお姉さんの部屋に来ていた。

右手には……フォルスさんと一緒に作った紙の剣。

 フォルスさんは「すみません、リーシャン様……私も…後処理には協力はしますが……っ……実行に移すのは……勇気が……!」と言っていたため、私だけで実行する事になった。あとでたらふくお菓子を貰わないといけない。

標的は……毛布にくるまってぐっすり寝ているお姉さんだ。


「ぎゅ~っ……と抱きしめて……私を抱き潰した……お返しだよっ!」


 紙の聖剣を思いっきり振り抜き、風を切る音が私の耳に入る。


 パァァァァン!!……と、気持ちの良い音が部屋に鳴り響くと共に、お姉さんの体がビクッと跳ねる。


はやく逃げて……剣はフォルスさんに燃やしてもらう!……証拠を消せば、きっとバレない!


そう思い、足早に部屋の扉まで駆け出そうとしたのだが……私の足にかかった何かにより、それは叶わなかった。


「……リィィィシャ〜ンちゃぁぁぁん〜?」


それはもう、ゴコゴゴゴッ……と空気が重くなった様に感じるほどに、とてつもない圧だった。いつのまにか、お姉さんに足を掴まれていたのだ。


「あ……っ……!」と言う間もなく、私はお姉さんのベッドの中に引きずり込まれて、寝ていたお姉さんの体温で温められた毛布の中の空気が、私の肺いっぱいに侵入してくる。


「……ねぇ、リーシャンちゃん?……こんな悪い事をしちゃう悪い猫さんには……どうするべきか…………分かるかしら?」


お姉さんが毛布の中を覗き込み、私の顔を楽しげな顔で見つめる。


「……ど、どうするべき……か……?」

「そう、どうするべきか……よ」


 お姉さんは私の猫耳を慈しむようにひと撫でした後、ガッチリと肩を掴み私をベッドのシーツの上に固定し始めた。


「……正解はね?……こうよ!」


そう言い、お姉さんは私の身体を抱き寄せ、猫耳の付け根をゆっくりと揉みながら、毛布を整えてまた眠る姿勢になり始めた。


「……え、えっと……?」

「……ふぁ……お休みなさい……リーシャンちゃん……」


「すぅ……すぅ……」と、背後のお姉さんのほんのり温かい寝息の音が聞こえ始める。……さらに、トクン……トクン……と、お姉さんのゆったりとした、優しくも力強い心音が、私の身体に直接振動として響いてくる。まるでお姉さんと一体化してしまうような、そんな感覚になり始める。……完全にお姉さんの抱き枕にされてしまった。毛布の中は、お姉さんに続いて私も入った影響でさらに熱を持ち始めて、少し汗が出てきそうだ。

逃げ出そうにも、耳の付け根を触られているせいで、心地良さで上手く力が入れられない。そもそも、魔族のお姉さんの腕に捕まった時点で、逃げられないかもしれないけど…。


「……リーシャン様……!いったいどうし……あぁ……ご武運を」


いつのまにか開いていた扉が、無慈悲にもバタンと閉められる。フォルスさんの声がしたが、毛布の中にいるため顔は見えない。シーアルさんといい……フォルスさんといい……。このお家には、私を最優先でお姉さんから助けてくれる人がいないみたいだ。

 

猫耳を撫でる手が完全に止まり、お姉さんの意識が完全に深くまで沈んだのが分かった。……相変わらず、私が逃げれないよう、ぎゅ~っ……と抱き締められたままだけど。


 (……まぁ……いいか……あったかいし……)


私もそっとまぶたを閉じ、お姉さんと一緒に、深く深く……二度寝をし始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ