第14話 野営メシ
次の街へ出発!外で食べる食事って美味しいですよね。
早朝、ルミナーラへ出発する。
今日の道中でキースも合流する予定だ。
朝早い出立だったので、宿の料理長がサンドイッチを持たせてくれた。
ソーセージとキャベツの酢漬けのサンドイッチ。
この地方の定番らしい。
うーん、この酸味がいいのよね。
それをもぐもぐと食べながら、
ルミナーラの資料について思い出していた。
最近、
・小麦畑が部分的に枯れた
・小麦価格の高騰
・魔物の出没の増加
・行方不明者の増加
商業ギルドと騎士団、農村の視察が必要よね。
小麦関連は、作物の育ちが悪ければ、買い占める人がでてくることも想定内。
その原因と、あとは魔物か・・・
宿は貴族の別荘地にある小ぶりな屋敷を借り上げてくれたらしい。
確かにその方が気が休まっていい。落ち着いて考えることもできる。
料理人やメイドも用意してくれるとのこと。
「ねぇ、ヴェル。魔物が増える原因って何かある?」
「そうだな、結界が弱くなっているか、
瘴気が増えたか。
または、何かを使って魔物寄せをしてる奴がいるか、だな」
「うーん、なるほど。
そういえばヴェルって結界は大丈夫なの?」
「オレくらいになると問題ない」
「え、それって結界の意味なくないかしら・・・すんなりフェンリル通しちゃうって。」
「大丈夫だ、オレは普通の結界なら無効化できる。
たいていの魔物はちゃんと結界で弾かれるはずだ。
それが目撃情報が増えたり被害まで出ているとするなら、なんらかの問題があるということだ。」
王領セレーヌでは、特に作物に関しては問題がなかったようだけど。
「まぁ、小麦が不作になるのは、パン好きとしては見過ごせない。」
「「そういう理由?」」
私とエイミーのツッコミが入った。
「まずは今日の宿ですが」とエイミー。
「ええ、どんなところかしら?」
期待に胸を膨らませていたら、
「今日は、野営です...」
「えええ...野営...」
本当に私って王族なわけ?
いつも思うけど旅が過酷すぎない?
どこでも生きていける自信がついてきたわ。
「レオノーラ様、大丈夫です。野営の準備と買い物はしてきましたから。
あとは野営に慣れているキースが合流してくれれば問題ないはず、です。
トーマスも昔はよく野営をしていたそうですから」
「え、トーマスも?そうなの、みんなすごいわね」
「火の番はお任せください!」
「いや御者は寝なくちゃだめでしょう!逆に危ないわ」
ヴェルは、
「オレは獲物を狩ってくるかな」
「いや、誰が捌くのよそれ。」
「「できますよ」」
エイミーとトーマスがハモる。
え、何、みんなすごすぎる。
「さぁ、今日はここで野営です」
水場も近くにあり、以前誰かが使ったのだろう、焚き火のあとがある。
キースとはここで待ち合わせらしい。
「レオノーラ様ー!」
おお、噂をすれば、キースだ。
「よかった、合流できました。」
「今から野営の準備なの。手伝ってくれる?」
「もちろんです。まずはテントを張りましょう。」
トーマスは馬に水を飲ませに水場へ。
ヴェルは姿が見えない。まさか本当に狩りに行ったのかしら。
エイミーが火を起こしている。手慣れたものだ。
「わたし、何かすることない?」
「「いいえ」」
「レオノーラ様は座っていてください。
今、お湯を沸かして簡易的ですがお茶を用意します」
お茶をずずっと飲んでいると、
ガサガサと音がして、キースが一瞬警戒するが、
草むらからひょっこりくるんと巻いた黒い尻尾が見えた。
ヴェルが戻ってきたらしい。
うさぎを2羽咥えていた。
キースが驚いて、
「おお、このワンコはすごいですね。狩りもできるのですね」
(ワンコ言うな)
とジト目で見ている。
キースにはまだヴェルが喋れることは内緒なのだ。
それをキースが手早く捌き、炙り焼きに。
あとは、塩漬け肉をアイテムボックスから出してシチューを作ることに。
コトコトとシチューが煮えてきて、
じゅうじゅうと香ばしい匂いがした頃、
「アイテムボックスからパンを出そうかしら?」
と言ったところ、キースが
「レオノーラ様、ここでパンを焼きませんか?」
「ここで?」
「ええ、今朝出立した時に報告で領主の館に寄ったら、
パン生地をもっていくように料理長のサムに言われたんです。」
と荷物の中から出てきたのはもっちりと発酵したパン生地だった。
それをどうするのかなと思っていたら、
長めの木の棒を探してきて、
「こうやってパン生地をまきつけて・・・火で炙るんですよ」
くるくると器用に薄く木の枝に巻きつけていく。
『おおお、でかしたキース。お前はいい奴だ』
ヴェルの念話(というか独り言)が聞こえた。
「すごいわね、野営で熱々の焼きたてパンが食べられるわ」
炙り焼きとシチュー、そして焼きたての棒パン。
野営もなかなか楽しいものなのかもしれない。
みんなでワイワイ食事をして、
女性陣は馬車、
そして男性陣はテントで休むことになった。
ヴェルは焚き火のそばで。
トーマスとキースが交代で火の番をしてくれるらしい。
馬車の座面に毛布を敷いて横になったら、
あっという間に眠りに落ちていった。
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