第13話 エイミーとヴェルの対峙
エイミーの秘密...
<今回はエイミー視点です>
ルミナーラへの出発の前、
馬車で買い出しにでかけていた。
なぜか今日はヴェルもついてきている。
「おい」
急に話しかけてくる。
私はこいつを警戒している。
レオノーラ様に害を加えないとは限らない。
しかも何かを隠している。
一言で言えば胡散臭く、気に入らないのだ。
聞こえないフリをしてみた。
「おい、聞こえてるんだろ」
「はいはい、なんですかー?」
「お前、何か隠してるよな。その変に抜けたキャラも芝居だろ」
子犬のフリをしてパンをねだるアンタに言われたくないわ、と心の中でつぶやく。
「はぁ?ヴェルこそ何か隠してるわよね」
「オレは隠しているわけではない。余計なことは言わないだけだ」
物は言いようだわ。
「ところで、さっきも言ったけど、お前、猫かぶってるだろ。
猫っていうか、そもそもお前誰だよ」
「どういうことかしら?」
「誰の命令でレオノーラのそばにいる?」
「私は昔からレオノーラ様付きの侍女ですよ」
「そうか、お前の身のこなし、暗部のそれだよな。絶対に今も武器を隠し持ってるだろ」
「だったらどうなんですか?」
やっぱりバレていたか。
「お前の目は、ノクスヴァルト公爵家に連なるもの。
滅多に出ないそうだがな。もう何代も出ていないはずだ。
あまり知られていない話だが、
その目を持つ者が出たら、男でも女でも継承者になるのだろう?
身体能力、魔力全てにおいて比類なき才を持って生まれると聞く。
でもお前の名は公爵家の家系に出ていない。
でも本来の跡取りはお前なんだろう?
エイミー・ローゼンリット伯爵令嬢
いや、正確には、
エイミリア・ノクスヴァルト公爵家次期当主。
ノクスヴァルト公爵家は王家の暗部だからな。
そして部下ではなく、継承者、跡取りを護衛につけるとは。
レオノーラは相当大事にされているか、それとも監視されているかどちらかな」
はぁっとため息をついた。
本当にコイツは何者なんだ。
公爵家が暗部であることは、一部の人間しか知らない話だ。
私の目は琥珀色。
一見して普通だが、ある一定の条件になると瞳孔が縦になる。
「竜眼」と言われるものだ。
一種の先祖返りと言われている。
生まれてから、目が開いた時に竜眼であることがわかった。
成長するにつれ、それを隠すことができるようになる。
でもいつバレたのか。あの窓からの襲撃の時か。
「レオノーラ様は何も知りません。私の出自も、目のことも。
私は伯爵家の三女です。実際に家系図としてもそうなっています。
この目で生まれた時、すぐに養子に出されました。
ただ、教育は公爵家で受けています。
公爵家での行儀見習いから公爵家経由で王宮の侍女になりました。
一度レオノーラ様がまだ小さい時に、攫われそうになったのを、
身を挺して守った、ということでおそばに仕えることになったのです」
「へぇ、結構あっさり認めるんだな」
「ヴェルは今のところ、レオノーラ様に害を加えないようですし、
周りは、ワンコ、もといフェンリルが何を言っても信じないでしょうし。
今のところは協力体制をとった方がいいでしょう」
「でもまだ隠してることがあるだろう」
「それはお互い様では?
なぜ王家に近いものしか知らない情報を魔獣が知っているのですか?
これからも、レオノーラ様は、私のことは少し腕が立つ侍女という認識なので、
そのつもりで接していただければ」
「まあ、これからはそうも言ってられなくなるだろうな」
と言って、馬車の座面でくるんと丸くなった。
今日はここまで、ということなのだろう。
何か面倒ごとが増えそうな予感に少し気が重くなる。
そう、私には絶対に失敗できない任務がある。
私の目と、この任務は生まれながらにして決まっていることなのだ。
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