第10話 ヴェルの呟き
晩餐を終え、レオノーラとエイミーはお茶を飲んでいる。
少し考え事がしたくて、
オレは少し離れた場所で毛布の上で丸くなり、寝たふりをする。
明日、出立か。
今日のパンはイマイチだった。
オレは硬いパンは苦手なんだよ。
パンは柔らかいのに限る。
それより、あの黒フード男、
何でオレの前世の名前、知ってるんだ。
あいつ、誰なんだ...
今の姿のオレを見て、そう呼ぶってことは、
さらにわけがわからない。
考えたくはないが、
最悪のケースも考えておかなければ。
実は、オレは転生者だった。
と最近気づいた。
いや、転生犬?狼?というのか?
そして、この世界は前世で読んだファンタジー小説と同じ世界だ。
こんなあるあるなパターンがあるとは。
そして自分の身に起こるなんて。
そしてオレの前世の名前を知っているということは、
黒いフードの男も間違いなく転生者だろう。
ということはアイツは前世のオレの知り合いなのか?
いったい誰だ。
そして、小説の中ではオレはフェンリルになる予定はなかったはずだ。
それを思い出したのも、
ある日突然犬になってしまった時、
前世の記憶と共に小説の概要も思い出したからだ。
しかし、
よもや今の姿が、
前世の愛犬、黒柴の「クロ」と瓜二つの姿とは・・・
ストーリーは変わっている。
なぜかオレは犬、もといフェンリルになり、
(そんな設定はなかったぞ)
フードの男は出てこなかったはずだ。
もちろん柴犬だって出てこなかったが。
有賀 真
それがオレの前世の名前だ。
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