1人無双
その店に入るのは、今日が初めてだった。
暖簾はちょっと年季が入ってる。
嫌いじゃない。
「いらっしゃい」
「一人です!」
返事は即答。
「今日はね、誰にも誘われなかった女の自主トレです」
間。
次の瞬間、笑い。
――よし。
カウンターに座って、上着を脱ぐ。
知らない店、知らない人。
こういう日は大体、楽しい。
「何飲みます?」
「今日いちばん出てるやつで!」
「雑っす!」
「強気っす!」
もう完全にこっちのペース。
「一人で飲むの、寂しくない?」
「寂しい日は来ません。今日は元気な日です」
自分で言って、納得する。
「強いなあ」
「弱いから喋れるんですよ。強かったら無言です」
拍手。
なんか出た。
奥の席の男がこっちを見る。
あ、来るな、これ。
「話、うまいですね」
「ありがとうございます!私初対面のプロなので!」
「どゆこと!!」
はい、線引き完了。
それ以上は踏み込ませない。
別に悪意はない。
今日はそういう日じゃないだけ。
散々飲んで食べて
会計して、外に出る。
風、気持ちいい。
コンビニで缶コーヒー。
これがたまにやる私のルーティン。
今日も楽しかった。
以上!
反省なし!




