第91話『選択 ――希望か絶望か、未来を賭けた一手』
夜明け前の空気は張り詰めていた。
王都の上空を覆う黒雲は、まるで人々の不安を象徴するかのように重く垂れ込めている。
「……リュウジ、選ぶんだ」
目の前の“影の主”が低く呟いた。
その顔は、まさしくリュウジ自身――だが未来に破滅を選んだもう一人の“自分”だった。
「お前が今の道を進めば、仲間を裏切り、世界を裏切り、やがて俺になる」
「……そんな未来、絶対に受け入れない!」
リュウジはきっぱりと叫ぶ。
しかし影の主は嗤う。
「理想で腹は膨れない。友情で命は救えない。お前が抱える責任の重さが、やがてすべてを潰す」
影の主の言葉に、仲間たちの顔が脳裏に浮かぶ。
共に笑い合ったリュシア。
己を信じてくれたユウマやミナト。
そして、現代で助けを求めてくれた人々。
彼らを守れなければ、この未来と同じ結末が待っているのか――。
「……迷うな、リュウジ!」
リュシアの声が響いた。
戦場の中央で立ち尽くすリュウジに向かって、仲間たちがそれぞれの想いを叫ぶ。
「お前はいつも俺たちを導いてくれた!」
「だから、今度は私たちが支える!」
「諦めるな!」
リュウジの胸に熱が宿る。
たとえ未来が破滅に向かう可能性があろうと、仲間と共に進むことでしか希望は切り開けない。
「……俺は、絶望じゃなく希望を選ぶ!」
魔力が爆発的に迸る。
異世界で鍛え上げた知恵と力、そして現代で築いた絆すべてを注ぎ込むように、リュウジの体から白い光が広がった。
影の主の黒き力と、リュウジの光が激突する。
世界が震えるような衝撃の中、光と影は拮抗し、やがて――。
「俺は絶対に、俺を超える!」
リュウジの叫びと共に光が爆発し、黒い影を押し返していった。
その瞬間、暗雲が裂け、朝日が王都を照らし出した。
未来を決める戦いが、いま始まったのだ。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
第91話では「未来の自分との対峙」という、物語の大きな分岐点を描かせていただきました。
リュウジが選んだのは“絶望ではなく希望”。
しかしその選択がどんな未来を呼び寄せるのかは、まだ誰にも分かりません。
いよいよ物語は最終決戦へと加速していきます!
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