第9話『潜入、首相官邸!異世界賢者 vs 国家権力の情報戦』
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第9話では、物語が学園からついに国家の中枢へと舞台を移します。
ユウトと美咲は国家特務機関のデータベースに潜入し、ついに「異世界帰還者」としての存在が公的にマークされていたことを知ることになります。
敵は内閣府。味方は、信じられる仲間と自分自身の知恵のみ。
緊張感と疾走感のある情報戦、ぜひお楽しみください!
深夜、都心の高層ビル群のなかで、唯一窓に灯が灯る建物があった。
そこが「首相官邸別館」――表向きは会議室棟だが、実際は国家機密を扱う特務局の中枢が存在する。
「ここが……敵の本丸ってわけか」
俺――神谷ユウトは、夜色のウインドブレーカー姿で無言のまま屋上から建物を見下ろしていた。
隣に立つのは桐生美咲。彼女の手には、内閣府が極秘で使うアクセスコードを収めた小型USBが握られている。
「父から直接入手したコードよ。本当なら、家を捨てる覚悟がいる代物」
「ありがたく使わせてもらう。だが、あとは俺の責任だ」
「いいえ、私たちの責任でしょ?」
彼女の目に迷いはなかった。
◇ ◇ ◇
20分後、特務局地下セクターに侵入した俺たちは、警備ロボットの巡回ルートを読み切って進んでいた。
「ここで“空間遮断式魔法”が使えれば楽なんだけどな」
「現代には魔法はないけど、代わりに“量子干渉妨害装置”があるわ」
美咲が展開したのは、異世界で見た“沈黙結界”に酷似した技術。
俺は思わず笑った。
「科学ってのも、進化すれば魔法と変わらんな」
そして目的の中枢コンソールへとたどり着いた。
◇ ◇ ◇
国家が追っていた“異世界関連資料”――それは、世界各国が極秘裏に調査していた“並行世界干渉”の証拠だった。
そしてそこに、“俺自身”の情報があった。
『コード名:帰還者K-07 / 能力:魔術構造知識 / 危険度:S』
「……完全にマークされてたのか。異世界の知識、やっぱりただの“偶然”じゃなかったんだな」
だがそのとき、警報が鳴り響く。
『侵入者確認。全セクター封鎖』
「バレたか!」
俺たちは資料をダウンロードし、即座に脱出を開始する。
ルート確保。非常用通気ダクトを滑り抜け、外壁から脱出用グライダーで屋上へ。
だがそこに現れたのは、一人の男だった。
「初めまして、神谷ユウト君。君の力、我が国のために貸してもらえないか」
彼の名は――首相補佐官・神保雅人。
政界の若き天才官僚にして、国家統制情報の“本物の黒幕”だった。
「君が“元異世界の賢者”であることは、ほぼ確信している。だが敵に回るなら、我々は容赦しない」
俺はその瞳を真正面から見据えた。
「なら俺は、貴様らの“異世界支配計画”を止める側に回る」
神保はうっすら笑い――こう言った。
「宣戦布告、受け取ったよ」
◇ ◇ ◇
そして俺たちは、夜の空へと滑空していった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
今回は一気にスケールが広がり、国家権力との直接対決が始まりました。
首相補佐官・神保の登場により、物語の“裏のラスボス”が姿を見せつつあります。
「異世界と現代」がただのファンタジーではなく、現実の権力構造と交差し始める瞬間――
その第一歩として描いた回でした。
次回はさらに異世界と現代が交錯する“扉”が登場します。どうぞご期待ください!