第89話『決戦 ――運命を裂く刃』
夜空を裂くように轟音が響き渡った。
政府施設の地下深く、リュウジと“影の主”の激突がついに始まる。
「お前が……世界を滅ぼす因子、だと?」
リュウジは吐き捨てるように言いながらも、その心の奥底にわずかな不安が芽生えているのを自覚していた。
「そうだ。お前が異世界で得た力と知識は、やがてこの世界を飲み込む。ゆえに――ここで消えてもらう」
影の主の声は冷たい。だがそこには確かな確信が宿っていた。
瞬間、闇が具現化する。黒き霧が槍のように伸び、リュウジへ襲いかかる。
リュウジは瞬時に魔法陣を展開し、光の壁を作り出して防ぐ。
「ちっ……これが、俺と同じ“帰還者”の力か!」
「理解が早いな。そう、俺もまた異世界から戻った者。そして俺は知っている、この世界の結末を」
一瞬、時が止まったように感じられる。
その言葉が意味するのは何なのか。なぜ“帰還者”同士が敵対しなければならないのか。
「なら……なおさら俺は負けられない!」
リュウジは全身に力を込めた。異世界で鍛え上げた魔力が奔流となり、空気を震わせる。
光と闇の衝突。
火花が散り、石造りの壁が砕け、地下施設全体が揺れる。
後方で支援する仲間たち――アヤ、タクマ、そして救出された王女も息を呑んでその戦いを見守っていた。
「リュウジさん……!」
アヤの声がかすかに響く。
だがリュウジは振り返らない。
仲間の声を背に、ただ前だけを見据えた。
「影の主――お前の陰謀も、未来も、この刃で断ち切る!」
リュウジが放った一閃は、光の奔流となって闇を切り裂いた。
闇と光が交錯し、轟音が爆ぜる。
その中心で――運命を裂く決戦の幕が切って落とされた。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
ついにリュウジと“影の主”の直接対決が始まりました。
光と闇の激突、そして同じ「帰還者」であるという衝撃の事実……物語はいよいよ核心に迫ってきています。
仲間を守り抜くために戦うリュウジと、未来を知っていると語る影の主。
彼らの戦いの果てに待ち受けるものは一体何なのか――次回からはさらに真実が明らかになっていきます。
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