第85話『衝突 ――戦友との決別』
地下施設の奥、光も届かぬ石壁の間で、二人は対峙していた。
リュウジと――かつて共に戦った戦友、灰色の賢者ヴァルト。
「……リュウジ、お前がここまで来るとは思わなかった」
その声は懐かしくもあり、同時に刃のような冷たさを帯びていた。
「ヴァルト。どうしてだ……なぜ現代で、あの政府の手先なんかになっている?」
リュウジの問いに、ヴァルトは薄く笑みを浮かべる。
「俺たちが守った異世界の平和は、一時的な幻にすぎなかった。結局、人は争い続ける。ならば――この世界で力を掌握し、支配する方が合理的だと思わないか?」
「合理? 仲間を裏切り、利用し、支配することがか?」
リュウジの瞳には怒りが宿る。だがヴァルトは動じない。
「理想論を語るな、リュウジ。お前はまだ甘い。俺は“真実”を知ったんだ。異世界もこの現代も、裏で繋がっている。影の存在に操られてな……」
「影の存在……?」
リュウジの胸に不安がよぎる。だが、それ以上の説明はなかった。
「詳しく知りたければ――俺を倒して掴み取れ!」
叫ぶと同時に、ヴァルトは魔力を解き放った。
灰色の光が渦巻き、空気そのものが震える。
「来い、リュウジ! 戦友としての最後の戦いだ!」
リュウジも深く息を吸い込み、両手に魔力を集中させる。
異世界で培った知識と、この現代で得た技術が融合し、鋭い光がほとばしった。
「……お前を止める! 仲間を裏切るなら、俺がその手を砕く!」
魔力と魔力がぶつかり合い、轟音が響き渡る。
地下施設の石壁が軋み、天井から瓦礫が崩れ落ちた。
戦友同士の衝突。
それはただの戦いではなく、互いの信念と未来を賭けた――決別の一戦だった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
第85話では、リュウジとヴァルト――かつての戦友同士がついに衝突しました。
裏切りの真実、そして「影の存在」という新たな伏線も登場し、物語はいよいよ大きな転換点へ進んでいきます。
戦友同士の戦いは、ただの力比べではなく、それぞれの信念と未来を賭けた決断の場。
次回以降もさらに激しく、そして深く物語が動いていきますので、ぜひご期待ください!
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