第84話『陰謀 ――灰色の賢者の導き』
夜明け前の廃駅。
冷たい風が吹き抜け、誰もいないはずの構内に緊張の気配が漂っていた。
リュウジは仲間たちと共に足を踏み入れる。
薄暗い空間の奥に、かつて異世界で幾度も共闘した男――「グレイ」が立っていた。
その姿はかつての戦友そのものでありながら、纏う気配は別物だった。
「久しいな、リュウジ。お前は変わらぬな……だが俺は違う。」
グレイは冷笑を浮かべ、背後に黒い気配を広げた。
「灰色の賢者……本当に、お前だったのか」
リュウジの声が震える。
異世界で共に数々の修羅場を潜り抜け、互いに命を預け合った相手。
その男が、今は現代で暗躍し、国家さえも操ろうとしている。
「なぜだ、グレイ! 俺たちは仲間だったはずだ!」
叫ぶリュウジに、グレイは薄い笑みを返す。
「仲間……? 俺にとっては、あの世界も、この世界も“駒”でしかない。
リュウジ、お前もその一つに過ぎなかった。」
背筋に冷たいものが走る。
その言葉は、過去の思い出を踏みにじる裏切りそのものだった。
だが同時に、グレイの瞳の奥に一瞬の揺らぎをリュウジは見た。
本当に全てを捨てたのか?
それとも――まだ何か別の真意が隠されているのか?
「……もう一度だけ聞く。お前の目的は何だ」
リュウジが問いかけると、グレイは視線を伏せ、低く呟いた。
「この世界を――“あの世界”のように作り替えることだ。」
次の瞬間、闇の魔力が駅構内を覆い尽くす。
現代ではあり得ないはずの異世界の力が、現実を歪ませていく。
仲間たちが臨戦態勢を取る中、リュウジはただ一人、かつての戦友の瞳を見据えた。
「ならば、俺が止める。
お前がどんな思惑を抱えていようと……この世界を壊させはしない!」
廃駅を揺るがす衝突が、今始まろうとしていた。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
第84話ではついに「灰色の賢者」の正体が明かされました。
リュウジにとってはかつての仲間との再会であり、同時に大きな裏切りを突きつけられる衝撃の展開でした。
戦友であったはずの相手が敵となる……これは物語の転換点でもあり、ここから先はさらに緊張感が増していきます。
次回はついに二人の衝突が描かれます。リュウジがどう決断するのか、ぜひ楽しみにしていてください。
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