第82話『影の輪郭 ――黒幕の正体に迫る』
王都を包む静けさは、ただの夜の静けさではなかった。
戦いの余韻は人々に安堵を与えつつも、その裏で「何かがまだ終わっていない」という直感が街を覆っていた。
リュウジは執務室で資料を広げながら、仲間たちと次なる一手を練っていた。
王女セシリア、技術主任のユウト、そして情報屋のカレン――全員がそれぞれに疲労を抱えている。それでも、緊張の糸は誰一人として切っていなかった。
「……やはり、背後に“もう一人”いる。」
リュウジの言葉に、場が静まる。
捕らえた裏切り者たちの供述を整理した結果、明らかになったのは一つの真実――。
彼らは単なる駒に過ぎず、その背後には“黒幕”が存在するということ。
「具体的な名は?」
ユウトが問いかける。
カレンは沈黙を挟んだのち、声を落とした。
「……名前ははっきりしない。でも、呼び名だけは出てきたわ。『灰色の賢者』――そう呼ばれている人物がいるらしい。」
「灰色の……賢者?」
セシリアの声に緊張が走る。
その名は、リュウジの記憶を大きく揺さぶった。
異世界にいた頃、魔術師や賢者と呼ばれる存在は数多くいた。だが、“灰色”という二つ名はただの装飾ではない。それは「均衡を揺さぶり、秩序を壊す存在」に付けられる呼び名だったのだ。
「まさか……奴が現代に?」
リュウジは眉をひそめる。
その瞬間、部屋の窓が音もなく揺れた。
ユウトが即座に機器を操作し、侵入者を感知。だが反応は一瞬で霧のように消えた。
「幻術……!」
リュウジは立ち上がる。
机の上に置かれた一枚の紙。
そこには、乱雑な筆跡でこう記されていた。
――『真実を知りたくば、夜明けの廃駅に来い』
仲間たちが顔を見合わせる。
それは明らかに罠。しかし、同時に確かな呼び声でもあった。
「来いって言うなら、行ってやるさ。」
リュウジの瞳は静かに、だが確実に燃えていた。
物語は次なる舞台、“夜明けの廃駅”へと進もうとしていた――。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
第82話では、ついに“黒幕の影”が名前として浮かび上がりましたね。
その名も――「灰色の賢者」。
リュウジが異世界で耳にした不穏な呼び名が、現代にも繋がっている……
この事実が、物語を大きく動かすきっかけとなります。
次回はいよいよ「夜明けの廃駅」での邂逅。
仲間を信じて挑むのか、それともさらなる裏切りが待つのか――どうぞご期待ください!
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