第81話『蠢動 ――黒幕の影と不気味な囁き』
戦いの翌日、街はまだ重い空気に包まれていた。
瓦礫の山と化した広場を前に、人々は再建に取りかかっている。しかし笑顔は少なく、囁かれるのは「まだ終わっていない」という不安の言葉ばかりだった。
主人公・慎一はその様子を見つめ、胸の奥にざらついた感覚を覚えていた。
「勝ったはずなのに……まるで誰かに見られているようだ」
その違和感は、仲間たちも同じだった。
ミリアは周囲を睨みながら小さく呟く。
「敵は表から消えただけ。裏では、必ず何かを仕掛けてくるわ」
慎一たちは王宮に呼び出され、被害報告と今後の対応を話し合うことになった。
王宮の会議室。重厚な扉を開けると、そこには重臣たちの緊張した顔が並んでいた。
「敵の残党が潜伏していることは間違いない。しかも内部に協力者がいる可能性が高い」
そう切り出したのは老練な宰相だった。
部屋に重苦しい沈黙が落ちる。
その瞬間、慎一は視線を感じて顔を上げた。
窓際に座る一人の青年官僚――どこかで見た顔だ。だが、思い出す前に彼の口元がかすかに歪んだ。
まるで「お前たちの動きはすべて掌の上だ」とでも言うように。
胸の奥に冷たいものが流れ込む。慎一は拳を握りしめた。
「……黒幕は、まだ動いている」
その夜。王宮の地下にひっそりと灯る燭台の下で、闇の会合が開かれていた。
「計画は順調だ。奴らが勝ったと信じ込んでいる今こそ、次の一手を打つ」
不気味な声が響く。
黒いフードの影から覗く瞳がぎらりと光り、王都全体を飲み込む陰謀の幕開けを告げていた。
そして慎一たちが知らぬまま、運命の糸は静かに絡まり始めていた。
お読みいただきありがとうございます!
第81話では、表向きの戦いに一区切りがついたものの、裏で動き続ける黒幕の存在を強調しました。勝利の余韻に浸る間もなく、不穏な空気がじわじわと広がっていく……そんな「嵐の前の静けさ」を描ければと思いました。
次回は黒幕の正体に迫る断片が現れ、物語はさらに緊迫していきます。
ぜひ引き続きお付き合いください!
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