第79話『決着 ――砕けた理想と残された道』
剣戟が地下闘技場に響き渡る。
アキトの刃とユリウスの剣が幾度もぶつかり合い、火花を散らす。
力と技の応酬はすでに限界を超えていた。
「……やはり、君は強いな、アキト」
息を切らしながら、ユリウスは不敵に笑った。
その瞳には疲労よりも、なお燃え続ける狂気じみた理想が宿っている。
「強いからこそ! 俺はこの世界を正せる! 君こそがその証明だ!」
「まだそんなことを言うのか……!」
アキトは剣を振り抜き、ユリウスの攻撃を弾き飛ばす。
脳裏に蘇るのは、異世界で共に戦った日々。
彼は仲間だった。肩を並べた戦友だった。それがなぜ、今は剣を交えねばならないのか。
「ユリウス……お前は変わった。でも――俺は変わらない」
アキトは剣を構え直す。
「力は人を縛るためじゃない。守るためにあるんだ!」
再び交差する二人の刃。
ユリウスの剣が閃光のように突き込まれる――が、その動きに迷いがあった。
アキトは一瞬を逃さず、刃を弾き上げる。
「……っ!」
ユリウスの手から剣がこぼれ落ち、硬い床に転がった。
静寂。
アキトは剣をユリウスの喉元に突きつける。だが、その目に宿るのは憎悪ではなく、悲しみだった。
「終わりにしよう、ユリウス。……これ以上、誰も苦しめるな」
ユリウスは唇を噛み、肩を震わせる。
しかしやがて、その瞳から力が抜けていった。
「……君は、いつだって……まっすぐだな」
呟いた声は、敗北の響きだった。
アキトは剣を下ろし、深く息を吐く。
戦いは終わった。だが――その結末が新たな火種を生むことを、彼自身が最もよく理解していた。
暗い天井を見上げながら、アキトは静かに拳を握った。
「これで終わりじゃない……これからが、本当の戦いだ」
ここまでお読みいただきありがとうございます!
第79話ではついにアキトとユリウスの直接対決に決着がつきました。
かつての仲間同士でありながら、理想の違いから刃を交えることになった二人。
戦いの果てに訪れたのは「勝利」と「敗北」だけでなく、それぞれの想いが交錯する切ない結末でした。
ですが、物語はこれで終わりではありません。
アキトの勝利によって見えてきたのは、新たな陰謀の影と、これから立ち向かわなければならない現実です。
第80話からは、戦いの余波や仲間たちとの再会、そして次なる章への序章を描いていきますので、ぜひ楽しみにしていてください!
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それでは、次回もよろしくお願いします!




