第51話『炎の中の誓い ――希望を繋ぐ者たち』
王都の南区画が、赤々と燃えていた。
空を覆う黒煙の下、人々は逃げ惑い、剣と魔法が交錯する中で、希望の火は消えかけていた。
「リュシア様!こちらへ!」
地元民の案内を受けながら、リュシアたちは市街地の中心部へ急ぐ。瓦礫に塞がれた道、倒壊寸前の建物。全てが敵の攻撃によって変貌していた。
「……くそ、まさかここまで押し込まれるとは」
レオンが歯噛みする。情報部の予測を上回る速さで、敵の特殊部隊が王都の内部に潜入していたのだ。
「急ぎましょう。王都防衛の最終陣地が突破されれば、王宮も時間の問題です」
「わかっている。でも……私は、見過ごせない」
リュシアは道端にうずくまる少女の手を取り、静かに語りかけた。
「大丈夫。あなたは、ここで生きる権利がある。守ってみせるわ」
その瞳に揺らぐことはない。――たとえ、全てを賭けることになったとしても。
◇ ◇ ◇
王都地下、避難指令が出されていたはずの政庁跡で、結月は重傷者たちに包帯を巻いていた。
「……みんな、大丈夫。リュシア様は必ず来てくれるから」
子どもたちに向ける微笑は、希望を繋ぐ最後の炎だった。
だが、遠くで聞こえる爆音。敵が、地下にも迫っている。
◇ ◇ ◇
リュシア一行は、王宮前広場に到達した。
そこに立ちはだかったのは、黒衣の男――帝国側の幹部、ゾルク=ナバロ。
「やはり、来たか。火の中を抜けてなお、その目が死んでいないとはな」
リュシアは無言で剣を構える。
「あなたのような者が、この国を滅ぼそうとするなら、私は全力で立ち向かう」
「面白い……ならば、ここが貴様の墓標となるだろう」
ゾルクの掌に闇魔法の波動が集まる。だがその瞬間、リュシアの背後から仲間たちの声が響いた。
「リュシア様!援護します!」
「我ら、リュシア様と共にある!」
傷だらけの兵士たち、市民志願兵、そして結月――彼らが一人、また一人と剣を取り、盾となる。
「私は一人じゃない。この国は一人じゃない。皆が、信じてくれている」
リュシアの剣に、焔が灯った。
その炎は、希望の象徴。破壊を焼き尽くすではなく、未来を照らす光。
「ここで終わらせない。私たちは……この国を生き延びさせる!」
◇ ◇ ◇
王都の南門で、炎の中に立ち尽くすリュシアの姿が、希望の象徴として広がっていく。
誰もが、自分に問いかけていた。「この国に生きる意味」を。
そして人々は、再び立ち上がる。――それぞれの、小さな決意を胸に。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
今回は王都での緊迫した戦いの中で、リュシアの「守る」という意志と、それに呼応する人々の結束を描きました。
リーダーとは何か、信頼とは何か――そうしたテーマが、少しでも伝わっていれば幸いです。
次回はいよいよ、王都を巡る戦いの大きな転換点へと進みます。
どうぞ引き続き、お付き合いいただければ嬉しいです!
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