第31話『揺らぐ絆 ――迫る罠と新たな試練』
王都フェルグレインの朝は、重たい雲に覆われていた。
雨こそ降っていないものの、空気は湿り、まるでこの国の未来を暗示するかのように感じられる。
「この情報は確かなんだな?」
リュシアは静かに問いかけた。報告書を差し出したユウトは、迷いのない声でうなずいた。
「はい。王都内の地下水路を通じて、武装勢力が侵入を試みようとしているようです。背後には“黒い手”が動いていると」
“黒い手”――反王政勢力の中心的存在。長年、闇の中から王政の転覆を狙ってきた者たちだった。
◇ ◇ ◇
作戦会議が開かれた。リュシア、ユウト、レオン、結月、そして新たにセシル側から派遣された特使・カミラが同席する。
「罠である可能性は?」とレオンが口を開く。
カミラは目を細めて言う。
「高いでしょう。しかし、黙って見過ごせば王都は内部から崩壊します」
リュシアは席を立ち、部屋の窓から外を見つめる。
「私たちが同盟を結んだと知って、“黒い手”は慌てて動き出した。ならば、今こそ――決着をつける時」
◇ ◇ ◇
夜。リュシアたちは少数精鋭で地下水路に潜入する。
冷たい石造りの通路を、足音だけが響いていた。
突然、前方の壁が崩れ、十数名の傭兵たちが現れる。
その背後には、かつての王政に仕えていたはずの元将校の姿があった。
「ようやく出てきたな、王女リュシア。お前のような“理想家”に、この国は任せられん」
リュシアは剣を構え、真っ直ぐに相手を見据える。
「理想を笑う者には、未来を語る資格はない。……この剣に、民の意志を託す!」
火花が散る。闇の中で、光が生まれる。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。
今回は、密かに動く“黒い手”との対峙を通じて、リュシアたちの絆と覚悟が試される回となりました。
協力関係を結びながらも、それぞれが抱える疑念や使命が交錯し、物語はいよいよ緊迫感を増していきます。
次回は地下水路での激戦――それぞれの信念が交わる、大きな転機を描く予定です。
引き続き楽しんでいただければ嬉しいです。
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