第25話『偽王の影 ――揺れる民意と決戦の兆し』
王女リュシアが王座に就いてから一週間――
民の間に広がる「偽王」の噂は、静かに、だが確実に王都にも届いていた。
「“真なる王”とやらが、北部の集落で民に演説しているそうです。前王家の血を引いているとも」
報告を受けたユウトは険しい表情を浮かべた。
「またかよ、血筋か……!」
「でも、支持が広がってるのは事実だわ」とリュシアは言った。
「私が即位したことで、かえって心を閉ざした人もいる。とくに、戦火で故郷を失った者たちは……」
◇ ◇ ◇
リュシアはユウト、レオン、結月と共に北部の村へと向かった。
そこで彼らが目にしたのは、かつての王宮のような絢爛な装飾に彩られた「仮宮殿」。
その中心に立っていたのは――
「……セシル・オルディネ……?」
ユウトが呟く。
現れたのは、かつてリュシアの遠縁にあたる王族の末裔。
死んだと思われていた人物だった。
「久しいな、従姉。いや――“女王”陛下と呼ぶべきか?」
セシルは笑った。美しく、冷たいその微笑みに、どこか虚ろさがあった。
◇ ◇ ◇
「私は民を救うために帰ってきた。だが、あなたは即位とともに軍を動かした」
「……私は国を守るために剣を取った。民のために血を流す覚悟もある」
ふたりの主張は、すれ違いながらも、本質は近い。
だからこそ――争いは避けられない。
「ならば証明しよう。どちらが“真に民を導く王”かを」
「私たちはもう、争うしかないのね……セシル」
◇ ◇ ◇
帰還後の王宮。
リュシアは玉座に座らず、ただ静かに立っていた。
「避けて通れないなら、私は戦うしかない。
でも、私はこの戦いで“誰も殺さない方法”を探す。
ユウト、あなたも……力を貸してくれる?」
「もちろんだよ、リュシア。俺たちは――最初からそういう約束だったろ」
最後までお読みいただきありがとうございました!
今回ついに登場した“偽王”セシル。
彼は敵か味方か、ただの野心家なのか、それとも――…。
リュシアとセシル、2人の「王」が向き合うことで、国と民の運命は大きく動き出します。
次回は、いよいよ決戦前夜。覚悟と選択が交錯する重要な回になります。ぜひご期待ください!
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