第17話『継ぎ手の使命 ――王国再建への道』
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今回の第17話では、異世界〈ティエラ〉へ再び戻ったユウトたちが、かつての仲間と再会し、荒廃した王国の現実に直面します。
“王女を救っただけ”では終わらない――。再びこの地で立ち上がる彼らの決意を、どうぞ見届けてください。
異世界〈ティエラ〉――
かつてユウトたちが死線を越えたこの地に、彼らは再び足を踏み入れた。
薄く靄がかかった草原に、懐かしい香りと気配が漂う。だが同時に、どこか異質な静けさも感じられた。
「……王都が、沈黙してる?」
結月が呟く。
リュシアは頷いた。
「王国〈アスフェリア〉は崩壊寸前よ。私が連れ去られた後、“魔核暴走”で政庁区が壊滅したと聞いている」
ユウトは拳を握る。
かつて守ったはずの国が、またもや滅びかけていた。
「まずは生き残った仲間と合流する。王都の北、“光の砦”に向かおう」
◇ ◇ ◇
半日ほど歩いたその場所は、既に砦と呼べる状態ではなかった。
焦げた石材、崩れた塔、苔に埋もれた紋章。
かろうじて残っていた避難地下室の中、薄明かりの中に人影があった。
「……ユウト……? 本当にユウトなの……?」
声の主は、かつて王国親衛隊を率いていた女騎士・シェリアだった。
彼女は驚きと安堵、そして怒りの入り混じった表情でユウトを抱きしめた。
「なぜ戻ってきたのよ……あの時、“もう戻らない”って、あなた……!」
「約束は破るためにある。守るべきものが、まだ残ってるなら――」
その言葉に、シェリアは目を伏せた。
「なら……見せてあげる。“今のアスフェリア”を」
◇ ◇ ◇
彼らが向かったのは、かつて王都だった“白銀の都”。
そこには、王家の紋章も、聖堂も、市場も、もう何もなかった。
灰と廃墟。魔物に焼かれ、魔核汚染に浸食された土地。
それでも――生きている者たちがいた。
瓦礫の間に、小さな集落が形成され、子どもたちが微笑み、年老いた兵士が火を守っていた。
「王がいないのに、なぜ彼らは生きている?」
ユウトの問いに、リュシアは涙を堪えるように微笑んだ。
「希望が残っていたから……“帰還者が戻る”という噂だけが、彼らを支えていたのよ」
◇ ◇ ◇
その夜、ユウトは燃え尽きた城の瓦礫に腰を下ろし、夜空を見上げる。
「ここから、始めるんだな。もう一度……この世界を」
その決意に応えるように、空に一筋の流星が走った。
――再建の旅は、始まったばかりだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
崩壊した王都と、そこに残された希望。ユウトたちは今、再建という新たな使命に向き合います。
次回の第18話では、王国崩壊の真相に迫る禁術と、再建の鍵を握る“黒の書”が登場します。
ますます物語が動き出す展開になりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
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