第106話『崩壊 ――黒幕の宣告と揺れる王城』
王城の玉座の間は、今や戦場だった。
崩れた壁から差し込む夜明けの光が、血煙と瓦礫を照らし出す。篠原の剣が悠真の魔力障壁を砕き、火花が散った。
「くっ……篠原、お前は本当に加納に従っているのか!」
「従う? 違うな。俺は選んだんだ。強い者が世界を導くべきだと。お前の甘さは邪魔なんだよ、悠真!」
篠原の瞳は狂気にも似た光を宿していた。
かつて異世界で共に戦った仲間が、今や刃を向ける敵になっている。その事実に胸を締め付けられながらも、悠真は剣を振るうしかなかった。
その背後で、黒幕の加納がゆっくりと歩み寄る。
闇色のスーツに身を包み、余裕の笑みを浮かべる姿は、異質な存在感を放っていた。
「やはり君は面白い。異世界の力を持ち帰り、この現代で企業を築き、仲間を集め、ここまで抗ってきた。その力を、我が計画に捧げろ」
「……計画?」
悠真の問いに、加納はあざ笑う。
「世界の統合だよ。異世界と現代を完全に繋ぎ、古き秩序を壊す。人々は支配者を求めている。その座に立つのは、私だ」
その言葉に、王女ミレイアが震える声で叫んだ。
「あなたは狂っている! その計画は両の世界を滅ぼすだけ!」
加納の目が冷たく光り、指先が僅かに動いた。瞬間、床に刻まれた紋章が赤く輝き、玉座の間全体が震動した。
「っ……転移陣!? まさか……」
悠真の顔が蒼白になる。
足元の魔方陣が唸りを上げ、空間が歪む。王城そのものが、異世界との狭間に引きずり込まれようとしていた。
「止めるんだ、悠真!」
篠原の剣が再び振り下ろされる。だが、その表情にはわずかな迷いが浮かんでいた。
かつて共に過ごした日々の記憶が、彼を縛っていたのだ。
悠真はその一瞬の隙を見逃さず、力を振り絞った。
「加納! お前の野望は俺が必ず止める!」
魔力が爆発し、剣と剣、魔法と魔法が交錯する。
崩壊する王城、異世界と現代を繋ぐ門が開きかける中、彼らの戦いは極限へと突入していった。
――そして、すべての運命を決する時が近づいていた。
お読みいただきありがとうございます!
第106話では、ついに黒幕・加納がその計画を口にしましたね。
「異世界と現代を繋ぎ、世界を統合する」という途方もない野望に、悠真たちがどう立ち向かっていくのか……物語はますます加速していきます。
そして篠原。
かつての仲間でありながら、今は敵として刃を交える彼の心情には、まだ迷いが残っているようです。
彼が最後に選ぶ道はどこへ繋がるのか、今後の展開にぜひご注目ください。
次回はいよいよ、戦いの核心へ。
どうぞお楽しみに!
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