第10話『異世界の扉、開く――交錯する未来と過去』
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第10話では、ついに“異世界と現代”を繋ぐ「扉」が開かれます。
国家権力の核心にいる男・神保との直接対決。
世界の法則そのものを歪める“異界干渉”と、それを食い止めようとするユウトたちの情報戦&潜入戦が描かれます。
過去の記憶が揺らぐ中、再び“あの声”が届く――
物語は次なる局面へ。どうぞお楽しみください!
首相官邸からの脱出から数日後。
俺――神谷ユウトは、妙な胸騒ぎを覚えていた。夜になると、耳鳴りのような音が遠くから聞こえ、視界の端に“異世界の風景”がチラつくのだ。
「……これは、次元干渉か?」
異世界にいたとき、俺は“転移門”と呼ばれる空間魔法を何度も目にしてきた。
だが今感じるのは、それよりもっと不安定で、世界をねじ曲げるような違和感だった。
◇ ◇ ◇
その夜、美咲から緊急の連絡が入った。
「ユウト! 東京湾沿岸で不可解な“光の渦”が観測されたわ。父の情報によると、それは……」
「……次元門だな」
「やっぱり、あなたも感じてたのね」
俺は即座に決断した。
「現場へ行く。放置すれば、こっちの世界に“何か”が流れ込む」
◇ ◇ ◇
東京湾・廃コンテナ置き場。
夜の闇のなか、巨大な光の輪が音もなく回転していた。
「これが……異世界の扉?」
美咲の声が震えた。
だが俺には、懐かしさすら感じる匂いがあった。
「この“門”は自然発生じゃない。誰かが開けたんだ。……俺を呼んでる」
そのとき、光の渦から“影”が現れた。
狼のような輪郭に、赤い眼。
「……魔獣か。やっぱり来やがったか!」
俺は腰のバックパックから、異世界技術を応用した“衝撃波ブレード”を取り出す。
「美咲、下がれ!」
ギャァアアアッ――!
咆哮とともに魔獣が跳ねる。
俺は刃を一閃。火花が散り、影が爆ぜた。
「すご……これ、本当に魔法みたい」
「まだ序の口だ。門は完全には閉じていない」
◇ ◇ ◇
その直後、通信機から声が入る。
『神谷君、こちら神保だ。……どうやら本物だな、異世界の“扉”は』
「見てたのか、首相補佐官」
『国家はこの事態を“利用”する。君が敵に回るなら、門の向こうから来る力を使うだけだ』
「……なら、俺は門を閉じる側だ」
俺は決意を込めて、ブレードを“渦の中心”に突き刺した。
眩い光とともに、扉はゆっくり閉じていく。
◇ ◇ ◇
静寂が訪れた。
美咲がそっと俺の背に手を置く。
「ユウト……あんた、やっぱり本物の“勇者”だね」
「勇者って柄じゃないけどな。だが、やるべきことは決まってる」
その瞳に迷いはなかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
第10話は、前半の物語のひとつの山場となる「異世界の扉」開放とその阻止を描きました。
現代日本で国家が異世界に干渉するという構図は、現実とフィクションの狭間を意識した構成となっています。
そして今回ついに、“あの人物”の存在がデータの端で兆しを見せはじめました。
次回、第11話では――
異世界で別れたはずの「結月」との再会が、意外な形で訪れます。




