第49話 白君と愉快な仲間たちに新メンバー追加 その2
悠真はスマホを手にしながら、グループチャットでのやり取りを思い返していた。
悠真:城山葵さんも勉強会に参加したいみたいだけど、みんな良いかな?
真琴:えっ??
菜月:えっ??
美咲:えっ??
悠真:なんで全員が「えっ?」から始まるの(笑)
真琴:いやいやいや、状況説明してくれる?
菜月:そうそう。なんでアイドルが勉強会参加希望してるの?
悠真:まあ、たまたま話してたらテスト心配だって言われてさ。
真琴:たまたま??
菜月:テスト心配??
菜月:白君は城山さんの知り合い??
美咲:……(疑惑の目スタンプ)
悠真:ボッチに知り合いないし・・・
美咲:(よしよしのスタンプ)
悠真:今日、たまたま廊下で会って、流れでそういう話になっただけ。
真琴:いやいや、それ普通じゃありえないでしょ。漫画の世界かよ。
菜月:これ、絶対「白君フラグ立てました」案件じゃん。
悠真:そんなのじゃないってば(笑)単純に勉強したいって言ってただけ。
美咲:……(考える顔スタンプ)
悠真:ねえ、橘さん、なんかスタンプだけで圧かけてくるのやめてくれない?
教室では、この話題がまさに中心となって広がりを見せていた。
「いや、すごくない?美少女四天王の城山さんが加わるとか、豪華すぎじゃない?」
真琴が机に頬杖をつきながら、目を輝かせて言った。
「確かに!でもさ、美咲、大丈夫?こ城山さんが参加なんて、プレッシャーじゃない?」
菜月が美咲を覗き込むようにして心配そうに尋ねた。
「え、別に……私は何も気にしてないけど?」
美咲はそっけない態度を見せつつも、どこか微妙に落ち着かない表情を浮かべている。
「えー、そんなこと言ってさ、本当は気になってるんじゃないの?」
真琴がニヤリと笑いながら、美咲の肩をつついた。
「だから、全然気にしてないって!」
美咲が声を張り上げると、教室の他の生徒たちが振り返り、彼女を見つめた。
「もしかして、ライバル心とか燃えてる?」
菜月が興味津々な目を向ける。
「そんなのじゃないってば。ただ、勉強会がちゃんと機能するのか心配なだけ。」
「ふーん、それだけ?本当に?」
真琴は疑わしげに美咲を見つめながら、からかうように笑みを浮かべた。
「もう……二人とも、いい加減にしてよ!」
「でもさ、美咲って普段から注目されるの慣れてるよね?その美咲がちょっと焦るくらい、城山さんの影響力ってすごいんだな。」
菜月が感心したように言った。
「影響力って……別に比べる必要ないでしょ。勉強会なんだから、みんなで集中してやればいいだけ。」
美咲は少し頬を赤らめながら、視線をそらした。
「ま、確かに。城山さんが来たからって、急にアイドルショーになるわけじゃないもんね。」
真琴が同意するように頷いた。
「それにしても白君、何気にすごいよね。ボッチのくせに美少女四天王二人と接点を持つなんて、ちょっと信じられないんだけど!」
菜月が大袈裟に腕を広げながら言った。
「それな!普通じゃ絶対無理だよ。ねえ、美咲、本当は白君に何か特殊能力があるんじゃない?」
真琴が冗談交じりに話すと、教室全体に笑いが広がった。
「特殊能力って……そんなわけないでしょ。ただ、なんだかんだで優しいから、頼りやすいんじゃない?」
美咲の言葉に、真琴と菜月が顔を見合わせる。
「え、美咲、妬いてる?」
「もしかして、白君が取られちゃうと思ってる?」
「違うってば!全然そんなのじゃないし!ゆ、悠真君の事信じてるし……」
言葉を口にした瞬間、美咲は自分が何を言ったのかに気づき、ぱっと顔を赤らめた。その様子を見た真琴と菜月は、まるで猛禽類が獲物を見つけたかのように目を輝かせる。
「おーっと、出ました『悠真君のこと信じてる』発言!」
「美咲、今のセリフ、完全に彼女っぽくない?」
真琴が両手を頬に当て、菜月がニヤニヤしながら美咲の顔を覗き込む。美咲はさらに顔を赤くしながら、ぷいっと横を向いて反論した。
「そんな意味じゃないから!ただ……その……勉強会で一緒にいるから、信じてるってだけ!」
「へぇ~、勉強会だけの関係なのに、そこまで信じるんだ?」
「菜月、聞いた?『信じてる』だって。」
二人の追及に、美咲はますます焦る。手元のノートをぱたんと閉じて、半分立ち上がるような勢いで声を上げた。
「もー!なんでそんなにからかうの!?悠真君に何かあったら、私がちゃんとフォローするから心配しないで!」
その発言に、真琴と菜月は一瞬目を丸くしたが、すぐに顔を見合わせてくすくす笑い出した。
「はい、確定。これ、完全にフラグ立ちました。」
「白君が美咲に感謝する未来が見えたよ~。」
「ちょっと!何の話してるの!?」
美咲が抗議の声を上げると、真琴と菜月は軽く肩をすくめた。
「いやいや、美咲って可愛いなぁって話だよ。」
「うんうん、白君、絶対美咲のこと気づいてるよね~。」
「だから違うってば!」
頬を膨らませる美咲。その様子に、教室の雰囲気が柔らかい笑いに包まれる。
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