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第38話 ゴールデンウィークとダブルブッキング

 ゴールデンウィーク1日目、カフェのランチタイムがようやく落ち着きを見せた頃、俺はカウンターの端で息をついた。忙しい時間帯が過ぎ、ようやく訪れた休憩時間。スマホを取り出し、溜まっていたメッセージを確認すると、麻衣からの通知が目に留まった。


▼メッセージ

麻衣:先輩、明日お休みですよね!どこか一緒に行きませんか?(キラキラスタンプ)

悠真:いいよ。でも、バイトじゃなかった?

麻衣:午後からなので、お昼前まででお願いします!(ペコリスタンプ)

悠真:了解。どこに行きたい?

麻衣:じゃあショッピングに行きたいです!(ワクワクスタンプ)

悠真:(OKのスタンプ)午前9時に駅前で集合でいい?

麻衣:やったー!楽しみにしてますね!(嬉しいスタンプ)


 テンション高めな麻衣のメッセージに思わず苦笑いしながら返信を送る。明日の予定が決まったことに、少しだけ気が楽になる。


(午前中にショッピングか……麻衣となら気楽に過ごせそうだ。)


 そんなことを考えていると、新たな通知音が鳴り、画面に美咲の名前が浮かび上がった。


▼メッセージ

美咲:悠真君、明日、一緒に出かけない?(お願いスタンプ)

悠真:いいよ。ただ、午前中は麻衣と買い物に行く約束があって、午後なら大丈夫。

美咲:そっか、麻衣ちゃんと。ふふ、いい後輩だよね。

悠真:うん。なんか妹みたいな感じだし、買い物つきあってって頼まれると断れなくて(笑)

美咲:「……妹、ね。」(少しムッとした顔を隠すように微笑む)

悠真:え?なんか変だった?

美咲:別に(笑)じゃあ、午後は私と映画ね。映画館の前で2時に待ち合わせしよう?

悠真:了解。楽しみにしてる!


 美咲との約束も無事に決まり、俺はスマホを置いた。けれど、彼女の「妹……ね」という言葉と、微妙なトーンが頭から離れなかった。




 翌朝、駅前に到着すると、すでに麻衣が待っていた。明るい私服姿で手を振る彼女は、いつも以上に活気があった。


「先輩!おはようございます!今日はよろしくお願いします!」


「おはよう。元気だな、麻衣。」


「あ、そうだ!今日のショッピング、先輩にも似合う服を探したいんです!」


「俺の?いや、いいよ、別に……。」


「ダメで〜す!私が選んだ服、絶対似合うはずですから!」


 麻衣の勢いに押されつつ、ショッピングがスタートした。彼女は店内を次々と見て回り、「これどうですか?」と俺に意見を求めてくる。


(いや、むしろ俺が聞かれてる側なんだけど……。)


 その頃、美咲は映画館のチケット売り場の前でスマホを眺めていた。悠真と麻衣の買い物風景が頭をよぎりながらも、どこかそわそわした様子だ。


(麻衣ちゃんって、悠真君にとって本当に妹みたいな存在……なのかな?)


 スマホの画面を見つめながら、胸の中に広がるモヤモヤした感情に気づく。これが何なのかは、まだ自分でもはっきり分からないままだった。




 麻衣とのショッピングが終わり、俺は慌てて映画館へと向かった。ギリギリになりながらも、なんとか美咲との約束の時間に間に合う。


「悠真君、お疲れさま。間に合って良かったね。」


「ごめん、ちょっと時間ギリギリになっちゃった。でも、楽しみにしてたから。」


 美咲が微笑みながらチケットを手渡してくれる。その自然な仕草に、俺の焦りが少し和らいだ。


「じゃあ、映画楽しもうか。」


 映画が始まると、美咲の横顔が時折視界に入る。画面に集中しようとするが、彼女が微笑むたびに、心が妙に落ち着かなくなる。


(美咲との時間って、なんか特別だな……。)


 映画が終わり、二人で駅へ向かう途中、ふと彼女が口を開いた。


「悠真君、今日はありがとう。麻衣ちゃんとの時間も、楽しかった?」


「うん。麻衣とは気楽に話せるから、楽しいよ。でも、美咲との映画もすごく良かった。」


 彼女は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに優しい笑顔を返してくれた。


「そう言ってもらえると嬉しい。私も楽しかったよ。」


 その笑顔を見ながら、俺は今日一日を振り返り、自分の中にある微妙な感情の揺れを感じ取っていた。


(ゴールデンウィーク初日がこんなに慌ただしく、でも楽しいものになるとは思わなかったな……。)


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願いが叶う“ドリームノート”を拾った僕、急接近する美少女との予想外な日々も同時に連載中ですので、そちらもよろしくお願いいたします。温かい感想もお待ちしています


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