第22話 女子会(橘美咲視点)
昼休み、教室の一角で真琴と菜月と話していた。普段の何気ない会話が続く中、突然、真琴が話題を切り出してきた。
「そういえば、美咲、先週の土曜日さ、あのイケメン君と一緒にいたよね?」
「えっ……?」
思わず硬直してしまった。まさかそんな話題が出るとは思ってもみなかった。
「ほら、ショッピングモールでさ。一緒にプリクラ撮ったりしてたでしょ?」
真琴がニヤリと笑いながら追撃してくる。私が答えられないでいると、横から菜月が静かに口を開いた。
「でも、名前何だったっけ?悠……なんとか君?」
「悠真君だよ!それで?」
真琴がすぐに名前を補完し、私をじっと見つめてくる。
「そ、それは……たまたま会って、一緒に遊んだだけだから。」
なんとか平静を装って答えるけど、真琴と菜月の視線が痛い。きっと目が泳いでいるのがバレてる。
「たまたまで手を繋ぐの?」
菜月が控えめに笑いながら問いかける。その一言に、私の顔が一気に熱くなる。
「そ、それは……その場の流れで……!」
「流れで手を繋ぐって、どんな流れ?」
真琴が目を細めながら問い詰めてくる。もう逃げ場がない。
「だ、だから違うってば!」
私は思わず声を上げてしまう。けれど、それが逆効果だったみたいで、真琴と菜月は顔を見合わせ、同時に吹き出した。
「美咲がそんなに慌てるなんて珍しい!」
「だよね。普通の友達ならそんな顔にならないし!」
二人の笑い声が恥ずかしさをさらに増幅させる。机に伏せて顔を隠すしかなかった。
「でもさ、どういう人だったの?悠真君って。」
真琴が少しだけ声を落として尋ねてくる。その質問に、私は少しだけ迷った。
「えっと……優しい人、かな。」
「ふーん。優しいだけ?」
真琴がさらに深掘りしてくる。それに菜月が楽しそうに加勢する。
「優しいだけじゃなくて、イケメンなんでしょ?」
「それは……まあ、そうかも。」
自分で言うのがなんだか恥ずかしくて、また机に伏せたくなる。でも、二人の顔が気になって、こっそり視線を上げると、菜月がぽつりと呟いた。
「でも、同じ学校の人じゃないよね?」
「そうだよね。見たことないし、他校の人?」
その一言に、胸がぎゅっとなる。二人は全然気づいていないみたいだけど、悠真君の正体を知っている私だけが焦っていた。
「うん……たぶん、他校の人だと思うよ。」
小さな声で答えると、二人はそれ以上追及しなかった。でも、その分だけ心臓の鼓動が大きく感じられる。
「まあ、美咲が楽しそうだったなら良かったけどね!」
真琴が笑顔で言う。それを菜月も穏やかに頷いて受け入れてくれた。
「そうそう。今度また会ったら、どんな人かちゃんと紹介してね!」
「う、うん……。」
曖昧に答えながら、心の中ではホッとしていた。二人が悠真君と白石君を同一人物だと気づくのは、まだ先の話になりそうだ。
明けましておめでとうございます!✨
2025年も2日目となりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?お正月の余韻を感じながら、この物語も一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。今年も笑いとドキドキを詰め込んだ展開をお届けしていきますので、ぜひご期待ください!フォローや⭐︎の評価も、引き続きよろしくお願いいたします!




