表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/69

第19話 甘くて秘密の時間

投稿の予約を失敗していました。本日は、20話までUPします

「美咲!」


 振り向くと、美咲の友人らしき二人の女子が駆け寄ってきた。一人は明るい髪色で活発そうな雰囲気の桜井真琴さくらい まこと。もう一人はおっとりした控えめな印象の中村菜月なかむら なつき。二人とも親しげに美咲に手を振りながら、笑顔を向けている。


「美咲、こんなところで会うなんてびっくり!……あれ、その隣の人は?」


「あ、えっと……。」


 美咲が一瞬言葉を詰まらせた。その間に僕は軽く会釈しながら、できるだけ自然に答える。


「初めまして、悠真です。」


 名字を伏せて名前だけを名乗る。美咲と同じ学校のクラスメイトだと気づかれないように、内心ひやひやしていた。


「悠真君?美咲の……もしかして彼氏さん!?」


 菜月が少し驚いた様子で尋ねる。その言葉に、美咲の顔が一気に赤く染まった。


「えっ、ち、違うよ!そういうのじゃなくて!」


「なになに?それじゃどういう関係なの?」


 真琴がニヤニヤしながら詰め寄ると、美咲は慌てて首を振った。


「も、もう、真琴!やめてよ!」


「やめてって言われてもさ~、こんなイケメンと一緒にいるのに説明なしって、それは気になるでしょ?」


「だから、そんなんじゃないってば!」


「でもさ、さっきから手も繋いでるし……。」


 菜月が控えめな声でぽつりと指摘すると、美咲の顔はさらに真っ赤になり、言葉を探し始めた。その時、僕は軽く手を上げて口元に人差し指を立て、軽く首を傾けながら少しだけ笑みを浮かべる。


「……秘密なんだ。」


「秘密って何それ~!?」


「美咲、こんなイケメンどこで見つけたの?」


 美咲はさらに慌てた様子で、二人の腕を軽く叩きながら抗議する。


「違うから!ほんとに!悠真君も変なこと言わないで!」


「いやいや、変なことじゃなくて、少しだけ遊んでみただけだよ。」


 冗談を軽く返しながら、美咲の困った顔を見ていると、胸の奥に少し暖かいものが広がった。


 二人の友人が去った後、美咲が小さな声で呟いた。


「……悠真君、ずっと手を繋いでたね。」


「当たり前だろ。手を離したら、俺が美咲を拒絶したみたいになるし、繋いでた方が安心するだろ?」


「……うん、ありがとう。」


 彼女の顔がほんのり赤いままなのが可愛くて、僕は口角を上げた。


 夕焼けに染まる街を歩きながら、美咲がちらりと僕を見上げる。


「……ねえ、まだ帰りたくないな。」


 その言葉に少し驚きながらも、僕はすぐに答えた。


「じゃあさ、一緒に夕飯でも食べる?」


「えっ?」


「お腹減ってるだろ?ちょうどこの先にファミレスがあるし。」


「……うん!」


 ファミレスの店内は心地よいざわめきに包まれていた。美咲がメニューを真剣に眺める横顔を見ていると、どこか穏やかな気持ちになる。


「悠真君はいつもファミレスとか来るの?」


「たまにかな。一人で来ることがほとんどだけど、こうして誰かと来るのは久しぶりだよ。」


「そっか……私は、真琴や菜月と来ることが多かったかな。でも、今日は特別かも。」


 照れ隠しのように視線をメニューに落としながら話す美咲。その言葉に、僕は自然と微笑みが浮かんだ。


 夕飯を終え、駅へ向かう途中、美咲がふと立ち止まった。


「今日は本当にありがとう。すっごく楽しかった!」


「俺も楽しかったよ。こんなに笑ったデートは久しぶりかも。」


 美咲は嬉しそうに微笑みながら、少しだけ間を置いて言葉を続けた。


「また一緒に出かけようね。」


「もちろん。次も楽しみにしてるよ。」


 彼女と別れた後、手に残る温もりを感じながら、今日の出来事を思い出していた。その記憶の中で、美咲の笑顔が何よりも輝いて見えた。

今回もお読みいただきありがとうございます!✨


突然、美咲の友達に見つかっても堂々と手を離さない悠真……これぞ真のイケメンですよね!こんな頼れる男子が世の中にいっぱいいたらいいのに~、と心の底から思います(笑)。美咲が羨ましい!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ