第17話 プリクラデート
「悠真君、今度の土曜日って空いてる?」
スマホ越しに、美咲の少し弾んだ声が耳に届いた。
「特に予定はないけど、どうしたの?」
「プリクラ撮りに行かない?」
「……プリクラ?」
あまりに意外な提案に、思わず聞き返してしまう。
「うん!ずっと悠真君と撮りたいと思ってたの。それに、悠真君、まだ撮ったことないんでしょ?」
「まあ、確かにないけど……。」
「じゃあ決まり!楽しみにしててね!」
電話を切った後、しばらくスマホを見つめてしまう。プリクラなんて自分には無縁だと思ってたけど、美咲があんなに楽しそうだと断る理由なんてない。
土曜日の午後。待ち合わせ場所で落ち着きなく周りを見渡していると、美咲が小走りで近づいてきた。
「お待たせ!」
「全然待ってないよ。行こうか。」
ゲームセンターに入ると、プリクラ機がずらりと並んでいた。周りには女子高生のグループが多く、男子の姿はほとんど見当たらない。
「なんか……場違い感すごいな。」
「そんなの気にしないの!ほら、こっちの機種が新しいから試してみようよ。」
美咲は慣れた様子で操作を始めた。画面にタッチするたびに小さく笑う彼女の姿を見ていると、こちらまで楽しい気分になってくる。
「準備できたよ!ポーズ決めて!」
画面に映る自分たちを確認しながら、美咲がポーズを指定してくる。
「じゃあ、まずは普通に笑顔でね!」
「了解!」
カウントダウンが始まる。残り1秒のところで、思い切って美咲の肩に手を回してみた。
「ちょっ、悠真君!?それは……!」
カシャッ!というシャッター音と共に、画面に美咲が驚いた顔のまま固まっている写真が映し出される。
「あはは!美咲、いい顔してるね。」
「もう、悠真君のせいでしょ!」
「だって、こういうのも記念になるかなって思ってさ。」
「もお〜!」
拗ねたように口を尖らせる美咲だったが、その表情はどこか楽しそうだった。
写真の加工画面に進むと、美咲が夢中になってデコレーションを始めた。
「ここにハートを付けて、背景をキラキラにして……どう?」
「美咲、なんか目が大きくなりすぎて、俺たち別人みたいになってるんだけど。」
「ふふっ、これがプリクラの醍醐味だよ!」
「いや、美咲はそのままでも可愛いんだから、加工なんて必要ないと思うけど。」
思わず口をついて出た言葉に、美咲が手を止める。そして、ちらりとこちらを見上げ、顔を赤らめながら微笑んだ。
「……ありがとう、悠真君。」
その一言で、こちらの方が照れてしまう。
「いや、まあ……事実を言っただけだから。」
何とか取り繕うように言うと、美咲は楽しそうに笑い、再び画面に向き直った。
プリクラを撮り終え、ゲームセンターを出る頃にはすっかり夕方になっていた。美咲がカバンからプリクラのシートを取り出し、嬉しそうに眺める。
「これ、大事にするね。」
「いやいや、大げさすぎでしょ。」
「そんなことないよ!悠真君と撮った初めてのプリクラだもん。」
その言葉に、胸の奥が少し暖かくなる。
「……じゃあ、次はもっといい写真撮れるように、また一緒に行こうな。」
「本当?約束だからね!」
美咲が楽しそうに笑う。その笑顔を見て、今日のデートが彼女にとって少しでも特別な時間になったなら、それでいいと思った。
本日は、もう一話投稿します
今回もお読みいただきありがとうございます!✨
プリクラって本当にすごいですよね!最近の機械は進化が止まらなくて、目がキラキラどころか宇宙人みたいに加工までできちゃうんです!いや、本当に(笑)。試しにやってみたら、自分でも誰かわからなくなるレベルでした。
そんな不思議なプリクラ体験、皆さんもぜひシェアしてくださいね!次回もお楽しみに!感想や評価で応援していただけると嬉しいです!