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ツインレイ・オブ・スターシード  作者: 露藤蛍
MISSION:2 Awakening the White witch
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第五章 閉塞輪廻性は変わらず 5

 ひとまずジオが夢見たタイトロープ島の崩壊は避けられた。まさかシャルロットが元凶だったとは彼も思っていなかったようだが、危機は過ぎ去ったとみていいだろう。


 展開されていた名無しの固有魔法は、術者の意識喪失によって解除された。が、ブラックアウトしたようなものなので、都市機能が元に戻るまではしばしかかるだろう。今は関係各所の人員が目覚めて大慌て、といったところだろうか。


 この分だと、救急車だってすぐには来ないだろう。やるべきことはタワー内で作業していたはずの爆発物処理班を救助することと、オーウェンとミアの捕縛、或いは任意同行。オーウェンは逃げられないようにガチガチに拘束するとして、問題はミアだろうか。


「エルさん、手錠を。オーウェンを拘束する」

「いや、お前は葬儀官だろ」

「……妹さんの介抱を、優先したいでしょう。特例で許可してください」

「──分かった。代理で手錠をかけてくれ」


 エルが懐から取り出した手錠を受け取って、オーウェンを後ろ手に拘束する。両腕は前にするんだったか、後ろだったか。まぁ動きにくいので良しとしよう。


「……全部、聞いたからな、ミア。全部だ。ジオからも、シャルロットと話したことも」

「……ごめん、なさい」

「いや、ほんとはねぇ……私が気づいた時点でどうにかできてればよかったんだけど……命惜しさに逃げちゃったからねぇ」

「灯台下暮らしたぁこのことだ。お前が真っ当に戦えるようになってたことも、おかしいって思えてりゃ……」


 己に投げかけられた謝意の塊に、ミアが苦しそうに痛みを堪えて身をよじる。上体を上げ、無理矢理エルの膝の上から逃れてからしゃがみ込んだ彼女は、ぐすりと鼻を鳴らした。


「違うの……ちがうの! 迷惑かけたくなかったの、エル兄達の役に立ちたかった、側に居たかったの、でもちゃんと戦えないと、捜査官になんてなれなかったから──!」

「だからってね、方法ってものがあるよ。私も兄さんも、ミアが体を傷つけてまで、側にいる必要はないと思ってる」


 ジオ、とエルが咎める前に、ミアが泣きだしてしまった。


 またいつもの煽り癖かと小言を言いたくなるが、兄妹の語らいを邪魔するほどドミニクは空気が読めないわけではない。


「やだ! そんなのやだ! あたし、お兄ちゃんたちと一緒じゃなきゃやなの!」

「……ごめん、言葉選びを間違えた。別に必要ないなんて言ってないよ」


 エルに頭を引っ叩かれたジオは、申し訳なさそうに眉尻を下げて頭を下げた。


「ミア。なんでそう思うか、俺達に話せるか?」

「正直、話を聞いてみな──」

「お前はしばらく黙ってろ、この煽り魔」

「……ハ、このやり取りも懐かしいね」


 苦笑して肩を竦めたジオがドミニクに視線を寄越した。しばらく三人だけにしてほしいのだろう。


 ドミニクは促されて、オーウェンを担ぎ上げて車の中に放り込んだ。復旧していないタイトロープタワーへと歩を進め、無線が通じるか確認しながら自動ドアをこじ開ける。


 全く、事後処理が面倒で困る。倒れたままの相棒を放っておくことは忍びないが、まぁ意識はないし──回復体位を取らせるしか介抱できないので、他の優先事項を片付けてしまおう。


 起きたら病院送りにしてしこたま叱りつけてやる。あの阿呆が。



 *



 正直、ドミニクには聞いてもらいたくない話ではあった。


 ──分かっていながら。一人黙っていたから、こんなことになったのだと。自責の念がなかったわけではない。けれど。


「ミアが何を思ってるか、何を感じてたのか、俺は知らねぇ。知らねぇことは、理解することも納得することもできねぇ。受け入れることだって、自分の想いを返すことだって」


 兄ほど饒舌でない自信があったから、忠告通りに黙っておく。


 ぐずるミアをなだめるのは、いつもエルの仕事だった。


「……お前がこんな方法取ったのだって、ミアをきちんと分かってやれなかった俺達の責任だ──なんて言ったら、お前は否定するだろ?」

「……うん、絶対、エル兄たちはわるくないの」

「じゃあ、なんでなんだ?」


 エルは穏やかに問うた。静かな沈黙が走ったが、暖かみが溢れていた。


 この包容力が、エルの長所だと思う。同じ双子なのに私とは大違いだな、とジオは目を伏せた。


「……お父様もお母様も、なんであたしを産んだのか、分かんないの。エル兄達が来た後でしょ、あたし、産まれたのって」


 ジオ達双子は今年で三十七歳。ミアは二十五歳。一回りは歳が違う。


 ただ、養子と実子では立場が違うもの。ジオにとっては捨てた家だが、家督の継承権はミアにあったはずだ。エルもそれを了承した。


 既に忌まわしい義理の両親だが、彼らも分かっていたはずだ。後継はミアであると。


「だってさ、エル兄もジオ兄も優秀で、特別で、すっごい人じゃん。勉強も運動もできてさ、エル兄は魔法がすごいし、ジオ兄は……うん、まぁ」


 なんでそこで濁すんだい、と聞きたくなったが、黙っていろと言われたのでぐっと堪えておく。


 ギフテッドであることは、基本的にデメリットしかない。ジオの様に魔力を無力化できるのも、ほんのわずかだ。


「別に血筋にこだわる家柄でもなかったし、だからエル兄達を養子にとったんだし……じゃああたし、いらなくない? って、思ってたの」


 ぽつりぽつりと、紡がれる言葉が不穏になっていく。


 あまり、聞きたくない言葉だった。義妹からは、とくに。


「いらないかもしれないけどさ、でもあたし生きてるし。エル兄もジオ兄も良くしてくれて、面倒見てくれて、二人とも、大好きでさ。だから、役に立ちたかったの。お兄ちゃんたちの役に立つために産まれてきたって思ったの。優秀なお兄ちゃんたちを守るために、お父様もお母様もあたしを産んだのかなって。でもさ、なんかうまくいかなくって。魂もそんなに強くないし、魔力もあんまり使えないし──焦ったの」


 ジオはエルと顔を見合わせた。そんなことを考えていたのは、あまりに予想外だった。


 確かに彼女の言う通り、元々ジオ達はヴェルト家の跡継ぎ候補として養子に来た。あまりに能力が高すぎて、タイトロープ島では適切な教育が施せない可能性があったことと、直前に父を亡くし、母が養育費を捻出できなかったのも理由の一つ。


 だからといって、彼女の居場所が旧家になかった訳ではない。ミアを産んだはいいものの、忙しくなり始めた義父母に代わり、面倒を見ていたのはエルとジオだった。


 生を受けたことに意味はない。ただ、生きることに意味はある。脳裏に過ぎった言葉を、ジオは噛み殺した。最初の言葉だけ受け取られかねないからだ。


「これじゃエル兄達と一緒にいれない、役に立てない、守れないって。そしたら──お父様が紹介したい人がいるって言うから、会ったら」

「それが、オーウェンだった、と」


 ミアは静かに頷いた。この流れ、もしや。


「魔法が使えないギフテッド向けの、体質改善薬を作ってるって言ってた。効果を確かめるために治験がしたかったんだって。でもギフテッドなんて早々いないでしょ?」

「……ギフテッド向けの体質改善薬、ねぇ? いや、確かにあるよ、実用化されたのは最近だ。私みたいな人間は魔力への感受性がないから使えないけどね。魔力が見えたり触れる程度のギフテッドなら、極少量の魔力放出が可能になる」

「ただ結束点に負荷がかかる副作用がある。乱用できるもんじゃねぇ」

「そう。だから服用は、一月に五回、一週間に最大三回、連続使用は禁止。きっちり用法が決まってる」


 ジオは頭の中からかつて医者に勧められた薬物の情報を引っ張り出す。そもそも強力な薬なので副作用も大きい。体質改善薬とは名ばかりで、一時的に魔力への感受性を上げる増幅剤に過ぎないのだ。その効果を強くしたのが、義妹が使ったらしいドーピング剤だろう。


 ギフテッドだから副作用の範疇で収まる薬だ。普通の人間が使えば、先ほどのシャルロットの様にトランスを引き起こしかねない。魂が宿る臓器への負荷もギフテッドとは比べ物にならないだろう。


 しかしなぜ、治験の依頼がミアへ来たのだ?


「……あたしもさ、ギリギリ適用範囲内だったっぽいんだよね。ほら、あたしの魂ってカッチコチで動き鈍かったじゃん? それを柔らかくできるかも、って話で」


 試してみたら、本当に効果があった、と。ミアが余人と同じほど魔力を使えるようになったのは、確か学生になってから。その時点では、エルとジオは既に捜査官として働いていた。


「……別に、ミアが治験を受けなきゃ私をどうこうする、って話じゃなかったんだね?」

「うん。ジオ兄に使っても意味ないって言ってたから」


 自分の存在を人質にされていたら、あまりに滑稽極まりない。見当違いで一安心だった──とも、言えないのだが。


「その時はさ、オーウェンさんがテラサルースの関係者だって知らなくって。あたしはほんとにただの治験だと思ってたし、実際に医療現場で使われ始めてさ。あたしはもっと魔力使えるようになるし、オーウェンさんは体質改善薬の研究ができてウィンウィンでしょ?」

「……まぁ、魂の働きが極端に低下した人間にも使われる、って話は聞いたことあるが」

「あたしも普通に戦えるようになったし、捜査官になることだって認めてもらえたしさ。良かったんだけど……その時にはジオ兄いなくなってるしさ」


 聞きながら、ジオは己を落ち着けるようにどっかりと胡坐をかいた。


 単純に許せなかった。大切な妹分の身は、潔白でいてほしかった。だから彼女が使っている薬の出所を割って、義父に問い詰めたのだ。


 何故こんなことを許可した。テラサルースの人間と繋がりを持たせた。


 ──本当に、ミアの事を想っての事か、と。


 どう返事が返って来ただろうか。正直なところ、頭に血が上っていたからよく覚えていない。


 お前には理解できまい、と、言われた気はする。


 法の穴を見つけるのが得意な策士の義父だった。限りなくグレーゾーンに近いところまで、ミアの意志を尊重しようとした結果だろう。


「でも捜査官になって、エル兄と一緒に働きたかったのに田舎に飛ばされてさ。手柄上げて、エル兄のところに行くんだって頑張ってたら……ちょくちょくオーウェンさんから話が来て、捜査状況だったり情報だったり、横流しするよう頼まれたの。一度は断ったんだけど……ダメなら、体質改善薬の処方を止めるって言われたから、そのまま受けたんだ。薬なきゃ、働けないから」

「そんな頻繁に飲む薬じゃないだろ、もしかして続けて飲んでるのか? 体への負担は?」

「ないよ。単純にあたし、体が丈夫だったから。長期間の治験にもってこいだってオーウェンさん言ってたし、元々毎日飲む前提で取引してたから」


 そういう問題かよ、とエルが忌々し気に呟いた。


 この分だと、彼女がかかっている病院自体、テラサルースの息がかかっていそうだ。


 とはいえ、この反応だとオーウェンには渋々従っていたようなもの。ここに至るまでシャルロットの名前は出てきていないし、何故彼女へあれほどの敵意を持っていたのかの理由がない。


 聞かねばなるまい。ジオはエルに、話を戻すよう促した。


「……でも、今回の件はそうじゃない、んだよな」

「……取られると思ったの」


 ぽつりと呟いたミアの瞳から、治まっていた涙が再び溢れだした。


「あたしはこんなに努力して、頑張って、テラサルースと取引しなきゃいけないくらいだったのにさ。ぽっと出で、他所から来て、才能だけはあって、エル兄直々に教えてもらえてさ。しかも女で、エル兄もなんか楽しそうだったじゃん?」

「いやまぁ……才能を生かせてないだけだったからな。原石の塊だったっつーか……」

「それ。磨いたらさ、圧倒的にあたしよりもできる訳じゃん? だから……物になったら、もしかしたらエル兄が選ぶの、そっちかもって思って」


 んなわけないだろ、とエルが小さく呟いたが、ミアの耳を素通りしたようだ。


「なんか嫌で。エル兄がスカウトしたけど駄目だったって言ってたのも、よかったけど、なんか腑に落ちなくって。それでどっか行ったと思ったら、田舎のアウロラでジオ兄の後輩になってるでしょ? あたしにはできないことして、それであの戦績でしょ?」

「そもそも仕事が違うだろ? キャンサー相手なんだから、比べたって仕方ねぇ」

「分かってるけど! でもさ、実際会ってみたら『自分なんか大したことないですー強くないですー』みたいな態度されて、それが欲しかった人間に対してリスペクトも何にもないし、戦ってる最中はふざけまくってるし……単純に、目障りだった」


 シャルロットは自分の力を過小評価するところがあった。それが、ミアにとっては嫌味に思えたのだろう。


「エル兄もジオ兄も普通に認めてるしさ……作戦だってあの子ありきだったしさ。あたし、今回の仕事で、いらなくなかった? 必要なくなかった? 全部あの子がいればよくなかった?」


 大粒の涙をこぼしながらミアが問う。


 そんなわけがない、と言っても、今の妹に届くかどうか、ジオには判断できなかった。


「んなわけあるか。隠蔽術式の解析だってお前がやったろ。仕組まれたものではあったが、魔導砲の最終調整もお前がやった。お前がいなけりゃ式典会場吹っ飛んでたんだろ、いなきゃだめだった」

「あたしがいなかったらそもそも撃たれてなかった! あたしはエル兄達を守りたかったの、役に立ちたかった、でも守る力なら、あの子の方が上でしょ! いらないって思われるのが怖かった、エル兄達の横を取られるのが嫌だったの! エル兄達に守られるんじゃなくって、守りたくって、後ろで見てるだけなんて嫌で! あの子がいたら、あたしはエル兄達といれなくなっちゃう、いらないって言われるの、怖かったから──!」


 だから戦う事と、前線に出ることに固執していたのか。


 ジオは一言前置きをしてから、ミアに言った。さながら言い聞かせるような、至極穏やかな声色で。


「……そうか。ミアは、私達の側で役に立てないと意味がないと思っていたんだね」

「……うん、そう。エル兄達の役に立つために産まれたのに、そうじゃなきゃあたし、生きてる意味ない……」

「前置きするけど、最後まで聞いてね? あぁ、質問はいいけど。とにかく落ち着いて聞いて」


 きちんと最後まで聞いてもらえないと、真意は伝わらない。うん、と頷いたミアに、ジオは続けた。


「私達二人の総意はいつだって変わらない。ミアが健康で、普通に生きてくれたらそれでいいんだ。別に役に立つとか立たないとか、守るとか守れないとか、そういうのは度外視してね。ミアが捜査官になりたいって言った時に反対したのは、単純に危ないから」

「……危ないのはジオ兄たちだってそうじゃん」

「私達は別にいいのさ。自分で選んだからね。ミアを独りぼっちにしたり、蚊帳の外にしたりだとか……蔑ろにしてたわけじゃ、決してない」

「あたしだって自分で選んだのに、なんでそんなこと」

「ミアがただ私たちに憧れてるだけに見えたからだよ。魔法犯罪を止めたいとか、被害者を減らしたいとか、そうじゃない。まだ子供だった君の選択は、理念よりも感情が勝っていた。そんな半端な気持ちで魔法犯罪に挑んだら、いつか返り討ちに遭うさ。気づいていないかもしれないけど、ミアは意外と周りに影響を受けやすいタイプだ。相手の感情や意思に対する感受性が強すぎる。染まりやすいとも言うけど……自分を見失いやすい」


 だから止めた。


 そもそも薬を使ってまで魔力生成量を増やす事自体、私は反対だった。


「ミアがどれだけ私達の役に立ちたいと思っても、私達は──少なからず私は、受け入れることができなかった。全ては君の体と心を守るためだった」

「……まぁ、捜査官になってタイトロープ島に飛ばしたのは、余計な虫がつかないためにだしな」

「え……」

「子供の頃過ごしてたから、俺達の名前だけは知れ渡ってるからな。その義妹ってんなら、融通してくれる奴は多い……多かった、だろ?」

「確かにそうだけど……でもそれじゃあたし、だって、エル兄もジオ兄も守れるようにって、そのために──」

「その前提から、おかしいのさ。ミアが私達を守りたいように、私達もミアが大切なんだよ。気持ちはありがたいんだけどね」


 真っ暗だった街並みに、ぽつぽつと灯りが戻っていく。空を覆うオーロラが全天を覆い、紅紫色に強く輝いていた。


「もしも君が、私達の役に立てなければ妹で在れないとか、守れなかったら隣にいれないとか、そう思ってるなら……それは違うと断言しておこう。ついでに言えばシャルロットちゃんはただの後輩で、あの子はドミニクの相棒だ。頼りはしたけど、特別ではないよ」

「じゃあ……あたしのこと、なんて、思ってるの?」


 ミアが頬に一筋涙を溢しながら問う。いつの間にか横に座っていたエルと、一度深く頷いてから答えた。


 迷いはなかった。彼女が産まれた時から、何一つとして変わらない事実だけがあった。


「妹だよ。私と兄さんの、大事な妹。ミア一人しかいないじゃないか」

「血が繋がってなかろうが、仕事が一緒じゃなかろうが、お前が俺達になんの益をもたらさなくたって。生きてるだけで特別な、俺達のな」

「そう、生きてるだけでいい。君には君の人生を生きてほしい。私達に縛られず、一人の人間として、幸せになってほしい。それだけなんだよ」

「……ま、ちょっと過保護だったかもしれねぇが?」

「否定しないよ。父さんみたいに死んでほしくなかったし、母さんみたいに悲しんでほしくなかっただけさ」


 あまりに歳が離れているから、ちょっとした親心も混ざっていたかもしれない。


「ミアが望む形じゃないかもしれないけれど……心配しなくても、私達にとっての唯一無二は君だけだよ、ミア」


 無条件の愛を向けられるのは、怖いのかもしれない。役に立つという理由の対価に双子の隣という居場所を得ていたつもりのミアにとっては、手放しで渡された居場所が信じがたいかもしれない。


 けれど、それはこれから慣れていけばいい。彼女がやったことは変わらないし、責任はとってもらうことになるけれど。


 もう、役に立たなきゃ生きてはいけないなんて、強迫観念に縛られて生きなくてもいい。


 泣きながら飛びついてきたミアを、ジオとエルは片腕ずつで受け止めた。


「……ッ、居ていい? あたし、弱くても、戦えなくても、守れなくても、役に立てなくても──エル兄とジオ兄の、妹でいい⁉」

「いいよ。初めからそうじゃないか」

「なぁに今更言ってんだ。当然だろ」


 随分、こうなるまで時間がかかったな。思いながら、ジオは都市機能が復旧し、シャルロットを運ぶための救急車が来るまで、ミアの好きにさせていた。


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